見出し画像

寒色の筆跡

「書は人なり」という言葉がある。

今や時代はIT社会。
ペンや筆で書かれた生の文字を目にする機会はほとんどないように感じる。

先日、友人との雑談で手帳やノートについての話題になり、最終的に「好きな人の筆跡っていいよね」と共感し合った。

好きな人の文字を初めて見たときに、意外と繊細なところがあるのかも、と感じたことがある。
大胆な文字を書きそうな人だなぁと勝手に想像していたけれど、その人は、サラッとした、流れる川のような、色に例えるならば寒色の文字を書いていた。

「書は人なり」
文字は人柄や性格を表すといった意味の言葉だが、たしかに文字を見て初めて気付くその人の意外な一面など、新鮮な発見がある。

日記とか手紙とか、作りこんだ文章じゃなくていい。
読みたい本や行きたいお店のメモとか、買うものリストの走り書きとか、そんな生活の一瞬を切り取った筆跡が愛おしい。

なぜかわたしのノートに挟まっていた、一度捨てようとしたのかシワだらけのメモ紙。
数字や丸バツや無機質な覚え書きしかないメモ紙だけど、寒色の筆跡が愛おしくて今でも捨てられずにいる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?