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30万円、好きに使っていいよ。

今日はわたしが世界で1番仲が悪い、お金の話。
もうこの左右対称の字面を見ただけでちょっと具合悪いくらい。

1年前に参加したMakers u18の最後の2日間。1日目、起業家の方に自分が人生を懸けたいと思える事業のプレゼンを作るよう言われた。「自分が人生を懸けたいと思える事業??」そんなの数時間で思いつくわけない!そう拗ねながらも何とか思いつきプレゼン動画作成。外面だけはいいのでいい感じのができる。 2日目。ドラフト会議のように起業家さんが興味を持ったプレゼンの名前がスクリーンに現れた。私の名前もある!!そのあと直接交渉。そんなこんなで、私は自由に使って良い30万を、手に入れた。

奨学金授与者発表の後、ある子は佐俣アンリさんに奨学金への感謝を述べつつ「でも、僕はこのプロダクトにすべてを懸ける気はありません。」と言った。心臓がとくんと跳ねた。私もこのプロダクトにすべてをかけられる?そうじゃなくてもまぁ良いか。もしこのプロダクトに使わなくても使いたいと思う何かに出会えるだろうし、使う過程で何かに出会えるでしょ、きっと。そんな感じでホクホクしながらお母さんに連絡した。「30万もらったよ!!!!」バイト禁止の高校。お金を稼ぐという概念がない。ただ、今まで自分のやりたいことをやる為に無料のプログラムを血眼になって探してきたから、ちょっと自分に自信ある。そんな16歳、高校1年生の私の、はじめて稼いだお金だった。

インドに来て数カそのプロダクトに取り組んでみたけれど、やっぱり無理だった。あまりにも規模が大きすぎて、これは30年くらいかけてやっとできるものだな、と。実現すれば凄い革命的だけど、それまでにハードルが多すぎる。来年は受験もあるし今やることじゃない。そう自分の中で結論付けたけど本当は自分が人生をかけられないと判断したからだろう。

それでもここにきて「何もしない」という選択肢は自分には無かった。そこで始めたのがファッションショーだ。まぁチャリティーといってしまえばチャリティーだし、お金も何とかなるだろ!!そう思っていたけど、まぁ何ともならなかった。ビジネス志向のファッションモールオーナーからは「私達は社会的インパクトには何の興味もありません。いくら出せますか?」と聞かれた。相手の私を汚いもののように見る目に反抗的な態度を取りたくなり、「私は20万くらい出せますよ?」と整然と言い放つと相手の態度が一変し、あっ、やってしまったと気づいた。後から保護者のインド人にこっぴどく叱られ、交渉の末9万強で借りることになった。

その他、ライト代、オーディオ代、とどんどんかさむ。どんどん増える金額に困惑しながらもまぁ何とかなるだろうと思っていた。(書きながら気づく。わたしは何て馬鹿なのだろう…)

そして今日。ボランティアを全員集めた話し合いで、金額の詳細を出すことになった。
会場代。ライト代。オーディオ代。メイクアップアーティスト代。プロカメラマン代。そして、子どもたちをスラムから会場まで運ぶ交通費。事前にファッションショーを途上国でされている方と電話して教えてもらった必要出費を概算して出して、高い… と思いつつもまぁ私がしたかったことに敵う額だなと思った。

すると、インド人たちが色々付け加えてきた。
プログラム時間は長いから、チャイティーとお菓子がいる!振付師もいるだろ!ポスターも沢山いるな。あと、プロの司会者もいるな!!どんどん額がは膨らんでいく。え?あの、お金は無限じゃないんんですけど… チャイティーっていらんくない?振付師??私の方でダンスも出来てるんですけど?ポスター???日本でミュージックコンサート主催したときポスター経由の集客効果ほぼ無かったばい?プロの司会者?そこまでする??私日本でラジオも好評だったし司会の経験もあるよ?それは要らないですと言うと、インド人に言われた。「良いか、君にはショーを良くするため出来ることは全てやる義務がある。子どもたちは彼ら自身のためじゃなく『君の』プログラムに参加するため来ているんだからね。30万あるんだろ?なら迷わず使えよ。そんな困ったような顔するんじゃない、全ては君の決断だ。僕達からお金を集めようなんてはくれぐれもするなよ、な。」

限界額まで近づいた総額を見て、暫く言葉が出なかった。わたしは、何がしたいんだろう?

30万円。それは凄く大きな額に思えて、色んな夢を膨らませていた。まずは今年の夏は東京に行ってインターンするんだ!そのためには交通費もいるし食費もいる。友達の家に泊めてもらえそうだから住居は大丈夫。それでも合計6万くらいは使うかも。ファッションショーで20万くらいかかるから、それで丁度いいくらいか!自分で納得したつもりだった。今年になって少し頂いたお仕事や成績優秀者やエッセイコンテスト受賞者としての賞金を合わせると8万くらいはある。38万。日本の初任給を、大きく超えている。それなら思い切って20万出せばいいのに!そう思ってもすぐには結論は出せなかった。

もしこれが、お金が循環するソーシャルビジネスだったら迷いはなかったと思う。今回のわたしのファッションショーは善意の循環。喜びの循環。幸せの循環。だけどお金は回らない。ただただ私が出費をしているだけ。支援者の皆さまがお洋服をくださっただけ。子どもたちはそれで笑顔になるし唯一無二のショーも出来るし、支援者様には手紙が届く。循環するじゃん!と飛びついたアイデアだったけど、お金は回っていない。

本当に喜びも循環しているのだろうか?自己満足ではないか? そもそも私は20万をすぐに出せないほどこのプロジェクトへの思いは薄いのか?何度もそんな考えがよぎった。

無料のプログラムを血眼で探した。往復2万の航空券を取るのにも凄く心が苦しかった。凄く挑戦したい!というプログラムが見つかったときも、7万という文字を見た瞬間笑って画面を閉じた。誰がそんな払うん?って。

100万かけてインドに来た。170万かかるアメリカに来るという選択肢はほぼなかった。70万の差?高すぎるやろーもん?最初は凄くお母さんとお父さんに申し訳なかったけど、中高で塾にも行ったことないし(90万弱)成人式にも多分出ないし(10万弱)修学旅行にも行かないしそれを鑑みたらお願いできるに値するはず… 何よりインドに行くのと行かないのじゃ人生は変わってくるはず。そう自分に言い聞かせ罪悪感を振り切った。

インドは物価が安かった。32円で絶品のロールが食べられた。よく買う板チョコは64円。こっちにきて1000円以上のものは食べたことない。
リキシャは交渉すれば112円で20分乗れる。インド人は物凄くケチだ。わたしのホストファミリーも隙あらばわたしに払わせようとする。うちのホストマザーはお金が勿体無いからと妹を遠足に行かせたことがない。今日は200円も多くいつもより使ったな!!とお母さんを怒鳴りつけるお父さんを私は若干見下していた。今まで友達に貸して返ってこなかったお金は数しれず。基本的にインド人はお釣りは返さない。10円以内のお釣りは無いものとみなされる。

外に行けば物乞いに囲まれる。お金をあげても良いのだけど、いつもビスケットか果物を上げるようにしている。そっちのほうが高いのだけど。

今までの人生、私はいろんな価値観で物の値段を考えてきた。たった16円の為に大声で交渉もしたり、800円のタピオカを勢いで買ったり、100万かけてインドに来たりした。

おかねの流れは気持ちの流れだ。それに価値がないと思えば16円でもケチるし、それ相応すると思えば100万も親にお願いできる。

20万をファッションショーにかけるのを妨げているのは何だろう。20万あれば子どもふたり学校に通わせられる。そんな価値ある金額をこの自己満足かもしれないショーにつぎ込むのか?自分の成長に繋がる?子どもたちの自信は本当につく??

数時間必死に考えた。そして、覚悟を決めた。わたしはこのショーに20万使ってみる。使うなら佐俣アンリさんの、山田進太郎さんの信頼に恥じないくらいやり切ってやる。17歳の私にとって万単位のお金がばこんばこんと動いていく様はかなり衝撃的だった。

何かと比べた相対的な基準でなく、絶対的な基準で物事を選ぶ。そういうことも人生ではたまに必要なのかもしれない。

「このプログラム、本当に凄いよな。この起業家さんたちにとっては、今100万くださいって言ったほうが安いものだよ。この数時間あれば100万以上彼らは稼ぐ。なのに彼らは来てくれてる。俺らにお金を与えるために。俺らの話を聞くために。すげぇほんとすげぇ。」メイカーズの同期の呟きをまだ覚えている。

将来わたしはどれくらいお金を稼ぐだろうか。300円くらいのコンビニスイーツを迷わず買えるくらいの人間にはなりたいなぁと思う一方、お金のことを全く考えず途上国の荒野で働くのにも憧れる。
ただ後者には、覚悟がいる。コンビニスイーツも恋しくないと思えるほど、コンビニスイーツも買えない自分を惨めに思わないほど、自分の生き方に誇りを持てるならそれでも全く問題ない。ただお金がないことを惨めに感じるようなら、心が貧しくなる前に豊かになるしかない。もしもっと稼ぐようになり、どんな金額でも出せるくらいの人間になれたとしたら…?? 私は絶対的な基準で人生を選ぶ人間になりたい。信頼できるNGOに膨大な額を寄付したかと思えば意地悪な店主とは16円で怒鳴り合いながら交渉する。そんな生き方が出来るくらい強くあり続けられるのなら、どれだけお金があろうと無かろうと綺麗でいられるはずだ。

お金の流れは優先順位の流れ。価値観の流れ。優しさの流れ。あたたかさのながれ。応援の流れ。

「30万円、好きに使っていいよ。」
お金は稼ぐより使うほうが難しいと聞いたことがあったが、それをこの時期に実感できて良かった。
どんな価値観を大切にしたいのか?どんな挑戦をしたいのか?自分が懸けたいと思えるものは何か?
苦手だったお金が、少しずつ色づき始めた瞬間だった。

明日、起業家さんの信頼を振り込みに行く。
子どもたちの未来へと。

P.S.
加藤くんへ 加藤くんのChallenge Funのお陰ででたくさんの温かな思いが届きました。ありがとう!

親友Kへ バイトの初任給わたしに投資してくれてありがとう!!!!!普通初任給とか親御さんに行くやろ… こんな私に… いいと?
その優しさを使って東京のあなたに会いに行くよ。待っててね!✨

https://fun.crystalroad.jp/archives/488

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