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【エッセイ】五月祭でローズマリーとキャビアを

こんばんは。
パスタを茹でようとしたら
パスタを焦がして引火して
危うく火事になるところだった
シンガーソングライター、葵 音人です。

皆様は「五月祭」を知っていますか?

日本で1番偏差値の高い学校といわれる
東京大学の春の文化祭です。

私は専門学校の卒業で
忙しなく学生時代を終えたので、
四年制大学ならではの
キャンパスライフの空気を味わいに行くのが
擬似学生体験しているみたいで
学園祭が大好きなのです。

今回のお目当ては2つ。
1つは「キタニタツヤの講演会」です。
あの有名なアーティスト、キタニタツヤは
東京大学卒業生で今年は学生の頃を語る
凱旋講演会がありました。
ですが惜しくも抽選にも外れ、
整理券配布にも間に合わずだったので
残念ながら講演会は聞けませんでした。

でも大丈夫!2つ目があります。
それは「カノウサトル」という出店ブースです。

サークルやクラス単位で出店している中、
まさかの個人出店です。

金髪ロング!怖い!でも無邪気な笑顔がイイネ!
※掲載許可頂いてます。


みんなが団体で勝負するところを
この"狩野 恕"という少年は
「思い出作りをしたい」という一心で
1人で出店を決意したようなのです。
とてもロックである。

出店内容の説明欄
キャビア入りの創作焼きそばがなんと1000円!
料理経験もあるようでとても楽しみ。

「これは絶対に行って
 思い出作りのお手伝いをしなければ!!!!」

私のうちなるお節介精神が騒ぎ出す。
焼きそばのテーマソングもとっても気になる!

道中、サイトから飛べる彼のXに飛んでみる。

カノウサトルのXの投稿

「やばい!狩野くんが落ち込んでいる!!!」

1日目は売れ行きが良くなかったらしく
とても落ち込んでいる様子。
キャビアという高級食材を使っていながらも
勿体無いから無料配布を検討しているなど、
大変心が痛いのが伝わって、
もういち早く彼の焼きそばを食べたくなった。

赤門をくぐり横に広がる道を歩くと
周りの賑やかな出店に紛れて
彼の店「カノウサトル」はあった。
A4用紙にテープで
1文字ずつ描かれた"キャビア"の看板
ドラえもんの代金入れ、そして鉄板。
非常にシンプルな外装。
2間のテーブルの内側に準備する狩野くんがいた。
「もうやっていますか?」と声をかけると
「一応やろうとは思っています。。」
と第一印象のちょっと怖そうカモ。。
という印象とは裏腹に
謙虚に、自信なさげに彼は言いました。

偉すぎるんだよな。狩野くん。
昨日挫けてしまったはずなのに、
今日ももしかしたら
同じ日になるかもしれないのに、
"思い出作り"をやり遂げようとしている事に
大変尊敬し、感動しました。
暇人の私は彼の学生生活の1ページを、
全面バックアップしたくなり
彼の勇姿を学園祭終了まで見届けるという
決意を勝手にしたのです。
本当に怖いのは
圧倒的ストーカー気質が証明された私です。

少し色んなところをふらついて、
戻ると開店していました。
焼きそばを注文すると、目の前で作ってくれる。

驚きなのが使ってる素材である。
油はオリーブオイル、調味料にローズマリー、
炒める際に白ワイン、お好みでレモン果汁
超絶本格メニュー!!!
そして仕上げに乗せるキャビア。
ぶっちゃけこんな量のキャビアを
食べたのは初です。
かつて学祭でローズマリーの香る焼きそばを
見たことがあるだろうか、私はない。

「水じゃなくて白ワインを使ったら
            オシャレかと思って」
という姿は完全にシェフである。

キャビアの看板と
【レモン香る】エビと白ワインの焼きそば
~キャビアとローズマリーを添えて~


「仕入れも全部1人でやったんです」
「海老も余ってるのでいくらでも入れられます」
「知り合いから金を巻き上げてるだけで、、、」
「本当にありがとうございます。」
と見た目に反してとても謙虚な狩野くん。
金髪ロングを見てDQNだと思ってしまう
先入観はもう捨てるよ。。。。!!!!

味はもちろんとっっっても美味しい!!!
屋台の焼きそばを食べてるはずなのに
イタリアン感じるお味でした。
ローズマリーがこんなにいい感じに合うのか!
きっと試行錯誤したのだろうなと感じる作品。

「あまり昨日から数出てなくて作れてないので
             味が不安なんです」

と味見をした後、

「なんかわからなくなってきました。、。」

と言う彼。大変謙虚。
親だったら頭を撫でている所でした。

彼の納得して出した商品を食べたい
&
そんなこと言っても美味かったから
おかわりしたい。

ということで実は計3食購入しました。

2食めはお昼過ぎに
レモン果汁をかけて食べてみた。
また違う香りがして違う美味しさ!
彼曰く、私の購入を境に
お客さんが来るようになったとのことで
調理の腕も調子が出てきたよう。
それのせいか焼き加減もちょうど良くなって
もっと美味しくなっていました。

3食めは〆の1食。
気がつけば17:30。
五月祭には様々な催しがあり、
襖同好会による襖の張り替え実演や
物理工学科による
電子の移り変わりで起こる不思議現象、
ボードゲームサークルの作ったボードゲーム販売、
盆踊りサークルの盆踊り大会など
カノウサトル以外にも
五月祭の楽しい催しを私は楽しんだ。
その締めくくりの1皿。
カノウサトルの焼きそばを最後に食べに来る
お客さんを眺めながら焼きそばをいただく。
本当に美味しかった。本当に楽しい一日だった。

彼の勇姿は私の音楽活動の糧にもなりました。

スランプな時でもそれでもやってみよう。
きっと大事なのは数字とか評価じゃなくて
そこまでの過程とか、なった気持ちとか、
やり抜く努力とかなのだと!!

彼の2日間は私の気持ちを動かしたのです。
すごく素敵な出会いをしたなぁ。

そして遂に
お店のA4サイズ用紙の看板を下げようとした時、
彼の頑張った証を残してあげたくて
本当にお節介なのだけど写真を撮ってあげた。

「本当はこれ被ろうと思ってたんです」
と行ってコック帽を被って写真を撮る狩野くん。
写真を渡すためにエアドロで出てきた
彼のiPhoneの名前は「Xperia」と表示されてた。
絶対この人面白い人だ。

狩野くんはカノウサトルをやり遂げた。
確実にそこにはドラマがあった。
紛れもないヒューマンドラマを私はみたのです。

帰り際に一言かけると
何度もお辞儀をしてくれた。
お礼を言うのは私のほうですよ。
素敵な1日をくれて
どうもありがとうございました。

翌日彼のXはこんな投稿が。

私はこれを朝見て泣いたよ。
これを見て次の日の仕事も頑張れたよ。
帰ってきて疲れたけどギターも触ったよ。
カノウサトルは人の心を動かすお店でした!

私だけでなく他のサークルの人や
実行委員の心も動かしているではありませんか!
心動かされたのは
私だけではなかったみたいです。
"カノウサトル"どうもありがとう!!!!

そして忘れてはいけないのが
紛れもない他人なのに
執着の仕方がだいぶキモいことです。
ちょっと反省しながら元気に出勤するのでした。

焼きそばを作る狩野くん

狩野 恕くんへ
noteに記事にすることを快く了承してくれて
どうもありがとうございます。
残りの学園生活、
輝きと希望に溢れるものになりますように。
美味しかった!

追記:
焼きそばのテーマソング、恥ずかしそうにスマホから聞かせてくれたよ!打ち込みもボカロも手が混んでてすごいのに結局恥ずかしくて流さなかったみたい。そこも彼らしくていいね。

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