関西弁が好きだ。 元々お笑い芸人が好きだった。幼少期からお笑い番組は家族揃ってみていた。 周りに訛っている人はいなかったけれど、なぜか私は関西弁が聞き馴染みがあった。むしろ、心地が良いくらいだった。 「へぇ、お笑い好きなんやな!」 Tinderとは面白いもので、自分の興味のあるものを選択できるようになっていた。「映画鑑賞」「お笑い」「カフェ巡り」「読書」と自分の趣味近しい項目を選択する。 会話を広げるためのものだとわかったのはこの瞬間。ニキは私の「お笑い」に食いつ
「○曜日って暇じゃない? ご飯でも行かない!?」 副業ニキのお泊まりから約十三時間後。朝帰りをキメた私は次のアポに向かうべく身支度をしていた。 副業ニキとの恋人ごっこも楽しかった。けれど、まだまだ私は遊ばなければならぬ。強迫観念にも近いそれが私を縛りつけた。 一人暮らしを始めて5年。2年半2年半を別々の男(元々彼と元彼)に捧げてきたものだから、私は二人の男しか知らなかった。 2年半も付き合ったんだから、わかるだろうと言われるかもしれない。男を知ってると言っても過言
「宅飲みしよ? 俺の家でいいよね?」 メタバースニキは去り際に「いろんな男をみた方がいいよ」と言っていた。大いに間に受けた私は、遊びまくらなければならない! と思ってTinderをぶん回した。 ぶん回すというのは、左右にスワイプして男たちをリロードしまくるということ。私も夜通しぶん回した。 当時の私は、 の二つを念頭に置いて右にスワイプしていた。 あとは、メッセージのやり取りの雰囲気とか。流石に日本語が上手に使えない人と会う気はなかった。流石にヤリモクとはいえ、
「ドライブでも行かない?」 マッチしてから一週間、それなりに近所のお兄さん(以降ニキと表記)からメッセージがとんできた。Tinderをはじめて一週間とちょっと。初めてのアポだった。 彼氏と別れて二週間が経とうとしていた。そこまで心の傷はなかったものの、季節は秋にさしかかり、それなりの寂しさを抱えていた私はマッチングアプリをインストールした。 新しい恋人が欲しかったわけではない。久しぶりの恋人なしフリー期間。悲しませる相手もいないものだからと、興味本位で簡単なプロフィー