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現代4コマという新しいジャンルについて

 この記事では現代4コマについて紹介しますが、非網羅的です。より詳しく知りたい方は@wikiニコニコ大百科などをご参照ください。

現代4コマとは

 現代4コマとは、「漫画の形式にとらわれない4コマ」として主にX(Twitter)上にて投稿されている作品群及びそのジャンルです。最初のうちは少し尖った4コマ漫画くらいの認識に留めておいても良いかもしれません。

 2023年3月に端を発した現代4コマですが、その自由度の高さと意外性のある面白さから同年6月にはオルタナティヴ・スペース美術紫水にて個展『いとととの現代4コマ展』が開かれ、11月には東海大学の建学祭にて企画『現代4コマ展 in 湘南』が催されました。また翌年4月には清須市はるひ美術館にて再び個展『いととと4コマ展 現代4コマ空間』が開かれ、5月には東京大学の五月祭にて同人誌即売会『コミックアカデミー24』に出展しました。

 しかしその一方で難解な作品も多く、初見では困惑してしまうような(名前の通り)現代アートのような側面も持ち合わせています。ここでは現代4コマの系譜を紹介し、その魅力を少しでも伝えられたらと思います。

・現代4コマの作品例

 最初にこちら、『運命を思い付いた瞬間』は現代4コマにおける金字塔的作品です。

『運命を思い付いた瞬間』
作:いととと

 運命とはベートーヴェンのダッダッダッダーン!というフレーズで知られるあの曲です。見て易いように従来の4コマ漫画とはかけ離れています。

『爆発』
作:ぷらりね

 何か実験をしていたことが見受けられます。このように4つのコマを描かずに4コマを想像させる手法は補完4コマと呼ばれています。補完4コマは現代4コマにおける主要な手法のひとつで、描かれていないコマに言及する方法は多岐にわたります。絵柄の可愛らしさも含めてとても好きな作品のひとつです。

『4コマに当てはまる言葉はなんでしょう』
作:こーやん

 4コマに当てはまる言葉はなんでしょう?

 現代4コマになぞらえた謎解き作品は謎解き4コマと呼ばれ、ハッシュタグ「#現代4コマ」「#謎解き」「#謎解き4コマ」をつけたりつけなかったりして投稿されています。他にも秀逸な作品はたくさんあるのでぜひ調べてみてください。

 皆さんはこの謎解き、解けましたか?

『純粋4コマ主義』
作:いととと

 「中に何も描かれていなくても、これだけで美しい作品じゃないか」という文言が添えられた4コマです。

 枠の内外に何も描かず、ただ純粋に4つのコマのみを提示する作品群は純粋4コマ主義と呼ばれています。多分、この作品を説明するのにもっとも相応しいと思われる言葉があるので、引用させて頂きます。

(前略) また、これを言及すること自体がナンセンスであることは承知の上だが、「現代4コマ」とは、芸術とおふざけとの曖昧な境界を、いかにも「私は生粋の芸術家である」という顔で創作し、鑑賞者もそれを理解しながら楽しむことに、面白さの真髄があると考えた。

引用元

歴史と派生

 ここからは現在までの現代4コマの動向を簡単に紹介していきます。

・現代4コマのはじまり

 X上に投稿されているこれら現代4コマは、そのほとんどがハッシュタグ「#現代4コマ」をつけて投稿されています。そしてこのハッシュタグがつけられた最初の投稿がいととと氏による『is this 4 frames?』です。

 ただし同氏はこの投稿以前から“漫画の形式を崩した4コマ”を投稿しており、本当の日常系4コマ国旗4コマなど多くのよく分からないものが乱立していました。

 こちらは日常に潜む4コマを発見するとして本当の日常系4コマを称する投稿です。この時点では名付けられていませんが、のちにハッシュタグ「#本当の日常系4コマ」とともに多くの投稿がなされるようになります。

 こちらはもっとも古い国旗4コマ『フィンランドの4コマ』です。ここまで来ると何でも4コマに見えてしまうテトリス症候群ですね笑。

 さて、実は当初、現代4コマもこれら“漫画の形式を崩した4コマ”の内のひとつに過ぎず、現代アートのパロディという位置付けでした。しかし直後に開催された現代4コマ投稿祭などにより認知度を高め、定義が拡張され、現在では上掲の「本当の日常系4コマ」や「国旗4コマ」などをも含む大きな枠組みとなっています。

・派生

 現代4コマはその自由度の高さから様々な派生ジャンルを生み出しました。先述の謎解き4コマもその内のひとつです。そして派生ジャンルの中でも群を抜いて作品数が多いのがコマ4表現になります。

『4
  4』

作:qpdb

 コマ4表現とは、コマを4つ用意するのではなく、4でコマを表現すればそれは4コマたり得るのではないか、というぶっ飛んだ思想のもと始まった派生ジャンルです。

『群集』
作:視力

 さらに現在では、抽象絵画のパロディとして4をデザインする作品ジャンルにまでその定義を拡張させています。そして何より恐ろしいのが、100を優に超える作品数を誇るコマ4表現のそのほとんどが、視力氏1人よって制作されていることです。

『空蝉が喚き囁き泣き叫ぶ』
作:等速人/トウソクジン

 こちらは俳句内の文字の「くちへん」からコマを見出し、「叫」の右部を4に見立てた俳句で、4コマ詩に分類されます。ただし4コマ詩は、乱立する多様な詩に関連した現代4コマをひとまとめにした呼び名のため注意が必要です。

・現代4コマ公式Xアカウント

 現代4コマには公式Xアカウントがあります。

 こちらでは毎日2〜4作品の現代4コマが投稿されています。それらの作品はGoogleフォームから誰でも寄稿することができ、匿名での投稿も可能です。

 また、現代4コマ公式Xアカウントでは不定期で色々な企画が開催されいてます。皆さんもぜひ参加してみて下さい。

4コマ目

 この記事が現代4コマを知る第一歩に、または現代4コマについての知見を深める一助に、もしくは現代4コマの面白さを再確認する一点に、あるいは新しい現代4コマ作品のインスピレーションになれば幸いです。

 最後に、もし誤字脱字や情報の誤り(または誤解を招く内容)等ありましたらお知らせください。ここまで読んでいただきありがとうございました。





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