推しくんと私『ep.1 推しの「おはよう」はオタクにとって最大の栄養。』


オタクにとって、朝は天敵と言っても過言ではない。

もっとも朝が苦手なのはオタクだけに限らず、人類にとって天敵であると言えよう。

学校に行くのが面倒くさいとか、仕事に行きたくないとか、満員電車が嫌だとか、布団が恋しくて抜け出したくないとか、理由は様々であろう。

特に我々オタクにとって、夜更かしはデフォである。推しのイベント期間は寝る間も惜しんで、短期間集中ランニングを続けるほど、ランキング維持という推しへの愛情表現を完遂すべく、オタクは全身全霊で夜を生きているのである。そうなれば当然、オタクは朝に弱い生き物となってしまうのである。

しかし、推しという神の登場により、そんな朝は一変する。

朝、目覚めたくなくても、推しが「おはよう」と言ってくれるのだ。推しが起こしてくれるならば、我々にとって朝など敵ではない。「今日も一日頑張ろう」なんて付け足されたならば、もう天にも昇る心地である。

オタクは単純な生き物であるから、推しに「頑張れ」を言われるだけでエネルギー供給されるチョロい奴なのだ。

実際私の場合、生活中心時間は午後に設定されていて、朝早くに起床することが求められるのは、アルバイトがある日だけである。
そういう日に限って夜は眠れないもので、朝は憂鬱な気持ちと共に目覚める。
行きたくないが、推しに課金するためにはアルバイトが不可欠だと言い聞かせ起きようと努力してみる。
だが、重たい体は人肌のごとく温もりを帯びた布団から出ようとしない。

現実逃避の始まりである。

そんな時に活躍するのが、推しによる「おはようボイス」である。
(某青い猫型ロボットのソレっぽくなったが、意識したわけではない)
最も、普通に推しが「おはよう」と言ってくれるだけでもありがたいのだが、少々の贅沢を言わせていただけるならば、私は立体音響による録音をされたものを拝聴したい。
そう、ダミーヘッドマイクである。
ダミーヘッドマイクは画期的なもので、なんと吐息までもリアルに感じられ、もはや添い寝をしていただいている状態を疑似体験できるのである。

例えば、推しの声でこんなことを耳元で言われたらどうだろう。

「ほら、早く起きて。遅刻しちゃうよ? ……ん、起きたね、偉い偉い」

……最高すぎではないか。

ついでに帰宅したら、こういうボイスも楽しみたい。

「今日も一日お疲れ様。よく頑張ったね」

始まりも終わりも推しに挟まれれば、どんな一日も最高にできてしまう。オタクは、そういう単純な生き物なのだ。

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余談であるが、私の推しくんこと『お耳の恋人』は甘いセリフを言うのが非常に苦手と言っているためか、シチュエーションCDがものすごく少ない。というかむしろほぼ存在していない。
それゆえ、私の主食はドラマCD(腐)ということとなる。推しに「おはよう」と言われずして生きていけてしまう変態オタクもまた存在することを、念のため最後に触れておきたい。

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