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拭っても拭っても、額や首にジワリと汗が滲む。夏の駅のホームは、これからどこかへ出かける人たちの熱気やら、異常なほど高い気温によって蒸されていた。 『大変混雑しております』 北千住から特急に乗ろうと、チケットを買いに券売機へ向かうと手前に赤字で大きく書かれていた。 「そうか、世の中は今日からお盆だったか」 頭の片隅にあったはずなのに忘れてしまっていた事実に、思わず声がでた。 全席指定の列車は、午後まで空きがないというので駅構内で2時間ほど時間を潰すこととなった。コー