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恋と破壊

真夜中乙女戦争


主人公が恋と破壊、別々の世界と出会い、交わる中で退屈だった日常が大きく変化していく過程を時に生々しく、時に激しく描いていて、鑑賞中ずっと登場人物たちに自分を重ねてみたり、いろんなことに思いを馳せたりしながら観ていた。完璧に満たされることなんてないと頭ではわかっているけど、満たされたいと思ってしまう人間の根底に潜む欲というものがあることをこの作品で改めて痛感したし、映画が描く深く強いメッセージ性が心にグサグサ刺さった。


人生の中で何と、誰と出会うか。何を選び、何を捨てるか。その選択や縁で良くも悪くも人生や自分自身が変わったり、他人や世界をも変えたりする。
主人公の「私」が先輩や黒服との出会いで、退屈で味気のない日常が一変する場面は、きっと生きていれば経験したり遭遇したりするようなリアルさがあって、映画の世界なんだけどすごく身近なものに感じた。
これから先、自分も必ず何かと、誰かと出会い、何かを選び、何かを捨てることがあるはずで。そういう瞬間にきっとこの映画でのセリフや登場人物たちを思い出すんだろうなと思った。
そして、この作品は映画館で観てほしい、いや観るべき作品だなとも思った。映画館の大きなスクリーンだからこその臨場感溢れる映像や刺激的な音楽を思う存分堪能できるのは、映画館ならではの醍醐味だなと思ったので、たくさんの人に見てほしいし、映画を見た人の感想もすごく聞いてみたい。


それと、永瀬廉くんについて。永瀬廉くんの「私」を演じている時の「死んだ魚のような目」が先輩や黒服と出会って、徐々に魂や光を宿していくのがとても印象的だった。彼の目の吸引力は作品ごとに違う魅力があるなと思っているけど、この作品では「闇」と「光」という両極端な表現を強く表しているような気がしたし、表情や佇まいなど当たり前かもしれないけど、普段目にしているキラキラ輝く姿とは真逆、全く別人で、永瀬廉の新たな魅力を知れて心が踊ったし、嬉しくてたまらなかった。


「かっこいい映画にしましょう」二宮監督と永瀬廉くんが交わした約束。ずっしりと大切なものを残してくれるとても痺れるかっこいい映画を作り上げてくれてありがとう。