ミュージカルジョジョの感想など①

2024/2/12-4/14
「ミュージカル ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド」の感想です。

現地では有澤ジョジョ回を観劇したため有澤ジョジョに対する感想が多め
→全く収まる気配がないため今回はジョジョミュという作品についてのざっくり感想文。

舞台だからできることの贅沢パック

 荒木先生の使われる独特な効果音はアニメ版でも実際に文字で描かれ、
アニメ放送当時もかなり斬新な表現として話題になった。
 これを今回どのように舞台で表すんだろう?2.5ではよく使われるプロジェクトマッピングかな?と思っていたら、まさかの生バンド演奏!!加えてコーラスやダンス。

 冒頭ディオが馬車からシャンッと軽やかに降りた瞬間に、この作品は間違いなく実写化において大当たりだなと確信した。
以下、楽器で効果音を鳴らす部分で好きなところ。

・果敢にエリナを助けるジョナサンがモブの腹を殴る時
→鈍くあまり響かない低音(ベースかな?) しょぼくてかわいい
・ボクシングなど他の戦闘シーンで思いっきり殴打する時
→殴られた対象が吹っ飛ぶのと同じくらい響くドラム 痛そう
・ディオがエリナの唇を奪う瞬間のズギュウゥゥン!!
→思いっきりひずんだエレキギター かっけえ、しびあこすぎる

 またM23と26での波紋隊によるダンスやコーラス!
「🎶パッパッパッパウ」や、\メメタァ/など、あえて人を使って表現するところから、舞台ならではの表現にこだわり抜いたんだろうなと感じた。
 プロジェクションマッピングも使用されていたが、基本的に背景に使われていたことが多いような印象。あとは回想シーンの補助など
 でもタルブラねぶたに表情が映し出され、ずっと顔がモゴモゴ動いていたのは流石に驚いた。細かすぎる…兵庫まで気づかなかった
ブラフォード様の最期には、安らかに目を伏せておられた。

…など、細かいこだわりが感じられて胸が高鳴った。原作愛があるからこそのこだわり!
 ジョジョが好き!!!というクソデカ感情爆弾を投げつけられたような感覚になった。

ジョジョミュ独自の感情表現と構成

 当たり前に曲が全部かっこいい。
音源出して!!!!!!!あと歌詞も出して!!!!!!ナワトル語分からないから!!!!!
(権利関係とかあるのはわかるんだけどね)

 「君が泣くまで殴るのをやめない」や、「生まれついての悪」をはじめ、主にファントムブラッドにおいて本筋で重要な過程は曲にのせているが、原作で時代背景を表す場面や、ストーリー上場面転換しながら時間が飛ぶ場面でも曲が使用されているのでスッと入ってきやすい。ミュージカルとしての特性を生かしているなと感じた。
 あと大体時間飛ぶときはヤングダイスピードワゴンがラップで解説してくれる。カッケェ!!大好き 

 また、ジョジョミュ独自の構成として特に顕著であったのは、ディオの過去である。
 ディオがどうしてあんな非人道的な悪党になってしまったのか、おそらく原作やアニメでは深く掘り下げられることはなかった。
 だがミュージカルジョジョでは、父親のせいで母を失った影響がずっとディオを蝕んでおり、かなり人間らしいディオあった。
そのためディオが何故あんなことになってしまったのか、原作を深く知らない人でも分かりやすい構成となっていた。

→宮野真守さんのブログにも興味深い一言もあるのでぜひ読んでみてほしい。

 ジョナサンがジョースター卿から受け継ぎ、世界が一巡するまで受け継がれる「ジョースターの血と誇り高き精神」。
 これに対しディオもまた、ダリオという大嫌いな父親の血が流れていて、ディオ本人もその運命に蝕まれている…。これが二幕まで続くのは衝撃的だった。途中から「ダリオもうやめてやれ」と思ったのは私だけではないはずだが、多分それもまた"敢えて"の表現なのだろう。

 このしつこい(良い意味で本当にしつこい)までのダリオの呪いと血は脈々とディオにも流れているという表現は曲中にもある。
 最初こそ「俺はお前(ダリオ)とは違う…!」と否定していたディオもダリオと同じように女性(エリナ)に手をあげ、酒に溺れ、果てには人間をやめてまで人から奪い全てを手に入れようとする。
 また、ディオは人間を辞めた二幕冒頭ド頭から父ダリオと同じメロディで
「ジョジョ 聴こえるか俺の声が、お前を呼ぶ声が」
と繰り返している。悲しいかな、蛙の子は蛙なのだ。

 そもディオは幼少のころから実父であろうと人殺しも厭わない、生まれついての悪である。
 であるにも関わらず、今作を観ていると自然と「なんか…ディオちょっとかわいそうだな…」という感情にさせられるのだ。
…怖い!ちょっとした洗脳に近い。悪のカリスマたるディオの新たな可能性を見た。

 その美しさにワンチェンやジャックは惹かれていったのだろうか。
 自らの星たる母を失ったディオは泥を見たが、善なるタガの外れた者たちからしたら彼は一番星だったのかもしれない。
 そしてまた、それを演じきった宮野真守さんは言うまでもなくとんでもなく凄い。ぜひともまた宮野さんのディオで再演してほしい。

ジョジョミュの神席は2階のセンブロ説

 舞台は総合芸術という言葉があるが、1階だけではその総合芸術の6割くらいしか視えてなかった気がする。
 ジョジョミュにおいても、今まで満遍なく見るには一階のセンターブロックで十分だと思っていた。だが甘かった。その実2階だと基本的に引きの画角なので首を動かさずともアンサンブルの方々の動きまで満遍なく観ることができ、満足感が凄い…!
 そのため2階のドセンで入った日、開幕後すぐのM1は今までで最も鳥肌が立ち、最速で泣きそうになった。

 また、1階では物理的にこんなにも視えていなかったんだな…と実感したのは照明。特に二幕「M25 ディオの世界」が顕著だった。
 M25は客席にもライトが飛んでくる仕様で、1階で観劇時は「所々眩しいな…」という気持ちが勝っていたが、2階から観たことで照明の動きがしっかり把握でき、「これがしたかったのね!」と納得した。
 さらにステージ床部分にも2幕ディオの衣装のような柄が投影されており、これは1階から観劇していただけでは絶対気づかないままだった。
(実際その後1階後方に入ったが全く見えなかった。※S席での話です)

 あと個人的に2階席でちょっと得をしたなと思ったのは、1幕終盤で屋敷が燃える中、ジョナサンが舞台セットの○部分にいる時に、後ろで横倒しのセットを移動しているのが見えたこと。
 あのタイミングで転換があるだろうというのは分かってはいたが、少しばかり裏側が見えた瞬間があってワクワクした。

 ミュージカルジョジョという作品は座席がステージから遠くとも、様々な発見があり毎度新鮮だった。とにかく生の舞台はこんなにもエネルギーがあるんだぞ!!!という気持ちが演者を始め製作陣から感じられた。
 何度観ても目が足りず、まだまだもっと観たかった。

 そして2階席に入り一番実感したこと。
 どの席で観ようとも、まさに場外ホームランの如く遠くまで、真っ直ぐ響いて観客の心を震わせる、有澤さんのお芝居と歌声が好きすぎる!!
 前方席には前方席の良さがあるし、当たったら嬉しいのだが、やはり有澤さんのお芝居とミュージカルジョジョは座席に関係なく圧倒的満足感をくれる!と確信に至った。

ジョジョミュの血よ永遠に

 冒頭でもラストでもスピードワゴンは「この世界が一巡するまでの物語だ」とある意味メタ的な発言をして今作は幕を閉じた。

続くよね???

 曲中の歌詞でも黄金の風やら時間を止めろやら跳躍しろみたいな匂わせがあった。オタクはやる気満々で安心したよ。絶対続いてくれ。
 2部はまだ波紋での戦いだが、3部以降の幽波紋スタンドもかなり楽しみだ。全スタンドねぶた祭なんだろうか。
 波紋隊をはじめ、今作も「こうなるの!?」と予想をはるかに上回る演出だったので大いに期待したい。

「全て繋がっている、全てに意味がある」
この歌詞を胸に、ミュージカルジョジョのより良き未来を祈りたい。


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