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漫画家・絵本作家・詩人「やなせたかし」

オススメのアーティストを紹介する「芸術手帖」マガジン。
第30弾はやなせ たかしさん。

アンパンマンの生みの親。また、誰もが一度は口ずさんだことのある「てのひらを太陽に」の作詞者。本名は柳瀬 嵩さん。漫画家、詩人、イラストレーター、絵本作家など、多岐にわたって活躍。

1969年、50歳の時に雑誌「PHP」にて「アンパンマン」を発表。
1988年にはアニメ「それいけ!アンパンマン」の放送が開始された。

戦争を体験したやなせさんは「空腹」のつらさを体験し、一番大事なのは「食べられること」だと感じた。そこから一切れのパンをあげる人を正義の味方とした「アンパンマン」が生まれた。パンの中でもアンパンなのは、やなせさんが子供の頃好きだったからである。

当初はアンパンを配るおじさんだったが、アンパン自身が飛んだ方がおもしろいということで、アンパンの顔をした「アンパンマン」が生まれた。尚、「傷つくことなしに正義は行えない」そんな思いから、「アンパンマン」は自分の顔を食べさせることでひもじい人を助ける。

ところで、アンパンマンはお腹のすいた人に顔を分け与えるのに、自分自身は決してものを食べない。気付いていただろうか?「いただきます」というセリフは出てこない。これは究極の自己犠牲。

正義と悪は国や時代によって簡単に逆転するけれど、「ひもじい人を助ける」という正義は逆転しない。

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今年の初め、名古屋市博物館で「やなせたかしとアンパンマン展」が開催されていた。実は3月に行こうと計画していたのだけれど、コロナの影響で博物館が閉館してしまい、そのまま本展覧会が閉幕してしまったのはとても悲しい思い出…。観に行きたかったのに。

アンパンマンから話は変わるが、私が小学生の頃「ニャニがニャンだー ニャンダーかめん」というアニメが放送されていた。あれもやなせたかし先生の絵本が原作。「助けて!」と呼ばれれば、誰でも助けるニャンダーかめん。

このように、アンパンマン以外にも多くのアニメやキャラクターデザインを手掛けてきたやなせたかしさん。岐阜県多治見市のゆるキャラ「うながっぱ」もその一つ。

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ご当地キャラを調べていたらこんなものも見つけた。実は、全国200のご当地キャラを無償で制作していたそうだ。

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やなせさんは昨年ちょうど生誕100周年を迎えた。数多くのイベントが開催されたり、「勇気の花がひらくとき やなせたかしとアンパンマンの物語」のDVDが販売されていたり。

また、やなせさん亡きあとも、色んな人が彼の意志を引き継ぎ活動している。例えば、アンパンマンの声優を務めている女優の戸田恵子さんは、東日本大震災の被災地支援時にはラジオ番組に出演し、やなせさんのメッセージを朗読するなどの活動を行っていた。

アンパンマンを観て育った子たちが、僅かでもその精神を受け継いでいくのも素晴らしいことだよね。アンパンマンのようにそばに寄り添ってくれる、困っている人がいたら助けてあげる。やなせさんの作品を通じ「相手を思いやる心」を忘れないように留めたい。

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