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ボーはおそれている ユダヤ教とストーリーへの考察 覚え書き

ネタバレを書いています

2つの筋がラストまで同時進行する
・ユダヤ人の受難と旅の話
・ユダヤ人家庭におけるボーと母(モナ)の話
1アパート、2医者夫婦、3森と移動劇団、4母との対峙

オープニング、制作会社のロゴにMN(モナの会社)のマークがある
スタートから、母の支配下にあることが後半の仕掛けでわかる

フロスの広告があり、子供のボートが転覆し、男が自殺するのを群衆が見ている
聖母像を手に入れる

1
街のエピソードはバビロン捕囚を思わせる
神=母のもとへ帰らなければいけないのに、罪深いので悪徳の栄える街に住まわされている
神を侮辱する言葉、娼館、ドラッグ、暴力のはびこる街、これら全てを恐れるボー
タトゥー男はモナ社員
部屋の電子レンジ、食品はモナの会社のもの
アパートをあけたら、無法者に居場所を奪われてしまうのもユダヤ的
母親の死の後、お風呂に入る これはユダヤ教の禁忌なのでもう死亡確定演出…
外階段で眠り、目が覚めると大工(キリストは大工)
キリスト教ポスター
ユダヤ人に刺される、手と脇腹なのでキリストの受難でくどいくらい、キリストの起りを示唆

2
医者の家
偶像崇拝(キリスト教)の家
ボー、2日寝て目覚める(キリスト!)
ローマ帝国を思わせる ユダヤ教はローマの庇護を一時的に得るものの、キリスト教が優勢となりまた国を追われることになる
薬を飲んでいる
お父さんは医者ではない(開いた傷を治せない)
娘の成り代わろうとしている、はユダヤ教とキリスト教間の摩擦を示唆している?
母、ボーの庇護者であったが娘の死をきっかけに、八つ裂きにしろ派に ローマっぽい
父はモナ社社員、母はスポット契約者かなんか?
母の埋葬に行けそうで行けないが、ボーが行くかどうかをモナに試されている?
弁護士(母、神の使者)からはよ帰れと言われるが、モタモタして帰らん

3
流浪の時代
移動劇団はロマ(ジプシー)のメタファーではないか
ロマとユダヤは流浪の民という部分で性質が似ている 
この演劇シーンはよくわからなかった
3人の息子はオズの魔法使いのようであり、洪水で散り散りになった家族は旧約聖書的であり、バベルの塔の崩壊のように言語が理解できず…の話もあり
演劇によってボーは自分の内在化させてしまったユダヤ教の歴史を追体験するが、本来の演劇は違う筋を追っていたようで、彼らなりの神様を見つけてがんばるぞい!というような内容だったか?
ここは解釈できてない

4
母の家で伏線回収
全てを監視されてました はい
普通の映画トーンでちょっとホッとする…
女(穢らしい売女!)は何故死んだのか
これはよくわからん
音楽を最初からかけないとダメ、にボーと同じ強迫性障害を感じさせる

屋根裏のおっさん、双子と解説されてるけど、いきなりすぎて懐疑的 エピソードあった?いや、夢で出てきはしましたが…
ボーの妄想(わがまま言ったら屋根裏に閉じ込められて一生そこにいなければならなかったら?)が差し込まれてる風に感じられた

オチンポはパパです
これはユダヤ家庭的なものではないだろうか
女は働き者、女がえらい、強いので父親不在のような関係になりがちとかなんとか
男は何もしない(聖書研究をするのが最も尊いユダヤ教的態度)、精を与えるだけの存在 
監督はちょっとふざけたことをしたかったとの弁なので、まあ、こんなものではなかろうか…

ラスト
裁判シーン
ユダヤ教はキリスト教と違って赦しがないので、最後の審判は当然ああなる

ユダヤ教的理屈上でも、母である神の期待にに応えられなかった、もはや死を持って償うしかない罪ばかりのボー(弁護人の声の小ささが悲しい)は当然死刑なんだが
神によって殺されるというより、自分の中に内在化させたユダヤ教教義によって死なざるを得ない
と、オープニングの自殺する男を重ねている?同一人物?と理解
ボーの死後、スタジアムからさける観客、静寂は映画館と我々みたいな雰囲気
人の悲劇を喜劇みたいに傍観して、捨て置くんですよね

作中に何かと出てくるドラッグ
宗教は民衆の阿片、というように
モナ=母=神の世界でドラッグによって支配されている
神様というのを表に出さずに宗教映画を作ったら?みたいな話だったかもしれない

ストーリー総括?考察?解釈?
モナはボーを徹底的にスポイルして育ててきた
エレインと出会い、母からの自立の芽生えがあった時点からその影響は強まってきたように考えられる
エレインにキスされた直後にエレインは船から降りるとこになる
このときすでにエレインの母がモナの支配下にあり、コントロールされたのだろう
モナは他の女の子に近づくのか執拗にボーにけしかける 人格障害と言われる人のよくやる試し行為であり、まんまとエレインにキスされたボーは失格

スポイルの結果か、薬漬けにされたのか
冴えない中年無職男っぽいボーは、モナの実験区画に住まわされる
クレジットカードもモナが用意したもので、恐らくこれを止めたのもモナのように思う
あの区画に住んでいるのは、精神を病んだ人かなんか社会から逸脱した人らとモナ社員
タトゥーは定期的にボーを脅す役目で、母のもとへ帰るように促しているのだろう
母、神が全ての命運をコントロールしている、ユダヤ教的な宗教観が舞台設定にも反映している
ボーをはねた医者もモナの社員、ボーのパジャマに刺繍があり重くてきもいが、これも一連の流れが計画されたものであるという親切なヒント
薬を飲んでいるが、恐らくこれもモナの関係のもの

森にいる移動劇団はモナの支配下にない
ここで出会う父親の写真にも似た男も、モナの支配から逃れるために劇団に合流したのであろう
キリストの父は大工ではあったが処女受胎した母の種が人間のものではなかったので、本物の父親かどうかは物語に本質的に影響しないような気がしつつもなんともかんとも 

エレインとの再会も母が仕組んだもの
彼女のことも恐らくは意図的に母親が雇ってコントロールしていた
モナ社が作ったニュースにもわざと映して、息子を釣っていたと思う
 あのニュース、配達員が妙に後ろめたそうなのが印象的

母の寝室でことに及ぶがエレインは死んでしまう
エレインが死んたのがモナのせいなのか、ボーの資質によるものなのかはわからなかった…
ちんちんがでかいのはわかりました

母の家でのネタバラシ、全部見てました
神なので 天使(精神科医)からきいてました
母は全部コントロールしていました、で、ラストは前段で書いた通りだが、
このような仕打ちを受けてなお、罪の意識から逃れられないボーは自殺してしまう

この世にある大多数の人が神の支配下にあり、宗教というドラッグが蔓延し、まともじゃないのにまともなふりをして生きている
逸脱したものは実験都市に送り込まれ、ゆくゆくは自滅して死ぬか、薬で更生してモナの社会に帰っていく



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