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大正浪漫探偵譚-エデンの歌姫-観劇レポ

大正浪漫探偵譚-エデンの歌姫-、千秋楽観劇してきました。学生の身でお財布が豊かではない上、就活と期末試験やレポートにも追われていたので1公演しか行けず、セリフやシーンなどうろ覚えで至らない点も多いとは思いますが大目に見てもらえればと思います。

そもそものきっかけ

初めて舞台を観に行ったのは今年の1月でした。『テニスの王子様』の原作に昨年ハマり、冬にテニミュ公演があるということで同じく原作ファンの友人に連れられて観劇デビューしました。そして現在の推しである三井淳平くんに出会い今に至ります。今回のろまたんも淳平くんが出ているからという理由でチケットを取りました。

どういう視点で観ていたか

日本史専攻なので舞台設定が大正時代ということに興味を持っていました。観劇中に当時の時代の人の思想の話が出てきた際、現在「ある思想が元々どういった意図で記され、後世の人によってどう読み替えられ、どう政治利用されたのか」という授業を受けていることを思い出しながら観ていました。そして推理小説を読むのが好きで、江戸川乱歩の作品をよく読んでいるので大正という時代と探偵という設定も相俟ってミステリファンとしても楽しみました。西宮愛里さんの「愛里」の由来がシャーロック・ホームズが唯一愛した女性であるアイリーン・アドラーが由来だということには気づけましたが、作中の暗号は難しかったです。数字の方は解けましたけど音符の方は難しかったですね……通りゃんせの歌と電線に止まっている鳥が音符みたいというのが伏線だというところまでは気づきました。そしてオペラに興味を持って調べていた時期があったので、夜の女王のアリアが所々で流れているなとは思っていましたがまさか生で歌うのを聞けるとは思っておらず……。『魔笛』をモチーフとして利用したのはこのオペラはモーツァルトが所属していた秘密結社であるフリーメイソンのために書いたものだという説があるからだと思いますが、西宮さんを夜の女王に例えるなど物語との絡め方がわざとらしくなくて好きです。

エデンと思想の話

大正時代(というよりはその前の明治時代からですが)は、従来の価値観と異なる価値観が海外から流れ込み、資本主義や民主主義といった考えが広まっていった時代ですが、そうした時代の中で従来から存在していた「武士道」の精神は数々の戦争に向かう中で「国のために死ぬことこそ美徳」という考えに変化していきます。新しい考えが流入するだけではなく、従来あった考え方も時代によって変化し、時には権力者によって都合のいいように歪められます。作中で上野さんが西南戦争で死んだ父を尊敬していると語っていましたが、その死を「自らの主人に殉じた結果」としているのは父の死を自らが信じるエデンの思想に当てはめた結果なのかもしれません。東堂さんの「思想は強制できない」という考えに私も賛成しますが、強制されてなくても知らないうちに思い込んでいることだってあります。特にエデンの思想は一見素晴らしく理想的な考えなので、歪んでいっていたということを信者たちも認めたくなかったのではないかと思います。理想を滔々と語る沼田さんの周りから人が消えていく演出が理想通りには行かないということを示していて胸が痛みました。
歴史を扱う以上、重い話になるのはある程度避けられないことだと思っています。でもそれはその時代を一生懸命生きた人たちの人生の重みだと私は思っています。ろまたんをきっかけに歴史に興味を持つ人が増えたら嬉しいなと思う今日この頃です。

しょうたくんの話


出てきた時に自信なさげに俯いて背中を丸めていたことが強く印象に残っています。序盤でねずみくんに「こいつはまだ仲間じゃない」と言われていましたが、同じ孤児でも自信なさげなしょうたくんと活発なねずみくんの大きな差は「仲間の有無」だと感じました。誰からも頼りにされたことがない、誰にも必要とされていない。そうした意識が彼の背中を丸めていましたが、東堂さんと出会い、彼を守ろうと咄嗟に前に出たことでねずみくんに勇気を認められ、東堂さんの役に立ちたいという彼の思いが彼の背筋を伸ばしたと思います。後半、クライマックスのシーン辺りではしょうたくんの目が見えるようになっていて、彼の変化がよく表れていると感じました。役紹介などでずっと「しょうた」とされていた彼が「北早翔太」になれたことが成長をよく示していて、助手としての彼の姿をもっと見たくなり過去作を観ていなかったことを今更後悔しています(配信の日都合が合わず……)。

本編と関係ない推しの話

淳平くんの髪色、暗めが好きか明るいのが好きか人によって好みが分かれるところではあると思いますが、私は圧倒的黒髪派なのでろまたん仕様で黒髪にしたのを見たとき思わずガッツポーズしました。ありがとう黒髪。あわよくばしばらく黒髪でいて欲しい。もちろん髪型髪色以前に人間性とお顔が大好きなのは言うまでもないですが、それはそれとして久々の黒髪、嬉しかったです。そして席が本当に良くて日頃の自分の善行に感謝しました。やや上手寄りの前方席だったのでカーテンコールの時ちょうど淳平くんと目が合う位置でした。勘違いだとは思いますが、幸せな勘違いをしたまま怒涛の8月を乗り切りたいと思います!

長文乱文失礼致しました。展示会も楽しみにしています。

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