perfect days

江國香織の「とるにたらないものもの」に旅行鞄がある。旅行が好きな理由が綴られてて、それは旅行鞄を詰めるときに自分の生活になにが必要なんかがはっきりわかるからやそう。

自分自身がなにが好きで、どれが実用的かとか、どうしないと侘しい気持ちになるかとか。何色がすきかとか。


perfect daysの平山は、旅行鞄を詰めた状態で生活を生きてると思う。平山の生活で起こることは、これだけ?と思うくらいなんでもないことたちやけど、それで暮らしていける。それは平山を自由でやすらかな気持ちにさせる。


ええ仕事したと思った後にはまだ日は明るくて、風呂屋にいく。風呂屋でぼーっとテレビを見てから行きつけの居酒屋に行って、自分で選んだ本を読んで寝る。休みの日はまとまった洗濯物をコインランドリーに持って行って、綺麗なママがいるスナックに顔を出す。植物を愛でて、木漏れ日が綺麗なところで昼休憩する。
これで十分と思えたらそれは自分にとって完璧やし安心。


はっきり描かれてない平山の過去は、勝手に想像できる。平山が旅行鞄を詰めるきっかけになったんは父親なんかな。姪のニコが家出する時、鞄に平山から貰ったカメラを詰めたのはなんでかな。スナックのママの元夫は死という旅にむけて旅行鞄を詰めだして、ママに会いにいくことにしたんかな。じゃあ平山の父親は平山に会うことを旅行鞄に詰めるかな、もう忘れてるかな。

人生の旅行鞄には自分ではどうにもならへん他人も詰まってるから、なんでこのままじゃいられないのかなってこともたびたび起きるんやろうと思いながら、自分はなにを詰めるか考えた。

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