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ロビンソン

わたしはよく哲学者になるんですが、わたしよりもひどく哲学者になる人がいるんです

彼女は刺々しくてね、最初は苦手でした

けどいつの間にか、夜な夜な話すようになってですね

二人で哲学者になるんです

一晩中、結婚とか人間とか生と死とか男と女の話をするんですよ

それは二人だけの世界で、どこにでもいけそうな気がするんですよ

ああ、これがロビンソンなのか、

と19のわたしは思うわけです

これが誰も触れない二人だけの国なのかと思うわけです

そんな二人の処女による二人だけの国はどこかにいってしまって、ほんとに在ったのかも分からなくなってしまって、他の誰かと二人だけの国をつくってるんでしょうけど

わたしは未だにあの二人だけの国に戻りたくて戻りたくてたまらなくなります

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