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正倉院展と古刹で仏具磨き

先日近くの長久寺薬師院の写経の日だった。ここは聖武天皇ゆかりという古い密教寺院で、美術的に美しい仏様などもあり参詣するたびに発見がある。だいたいにおいて、古代からここにあるというだけで驚く。

この年末最後の写経の日は、仏具磨きの日だから来るといいと何処かのおばあちゃまに誘っていただいて、出かける約束を果たしてきた。

仏具を皆で磨く。古くなった五色幕で磨く。陰陽五行の五色の布で拭くなんて、何か呪術をやっている気がしてくる。

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わたしの好きな鈴と香炉。
今年の正倉院展では、さやかな石の嵌め込まれた細工の細かい香炉が出ていた。

紫檀金鈿柄香炉(したんきんでんのえごうろ)

これは土台は紫檀という南国産の木に、生命の樹かなと思う文様が金の線で象嵌され、水晶や色ガラスが嵌め込まれている。

仏典の中に見られる七宝(七寶)にちなんでいるのかもしれない。わからないけど。仏典にあるらしい七寶の記述を具現化したらこの様な絵になるのではないかと。

豪華絢爛というよりは、細部にわたって神経をすり減らしー喜んで心血を注いだ品だと思う。

植物の線が優雅で、作る者に喜びがなかったらこういうものにはならないと思う。自由を奪われ、管理された中で作るのではこうはいかない。ぜったいに不満が乗り移る。

そして、ただ高価な材料で絢爛に彩ったから人の心に残り、大切にされるかというとそうではないことを改めて感じる。

愛らしい色ガラスなどが使われて。美しさや清らかさを純粋に求めたのかもしれない。そうだといい。

神仏への祈りを込めて造られる品。

写真出展 宮内庁 紫檀金鈿柄香炉
http://shosoin.kunaicho.go.jp/ja-JP/Treasure?id=0000014568

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