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秋の夜

10/13,2019
秋社の夕 辻々を行く御神灯 月と並びて我照らしをり 九葉

今日は宵宮。旧村の秋祭りの日。辻々に大きな提灯が上がる。御神灯・みあかし。この提灯、なんと光源は蝋燭。はじめ、ちらちらと揺れるのは電気の配線が接触不良を起こしているに違いないと思った。それにしても自然な蝋燭風の色だなと思って下から覗き込むと、本物の蝋燭の灯が揺れている。わずかに風が入るらしく、炎が揺れるのだ。

提灯の表は和紙で、そして黒い部分は漆の様に思う。カシュー漆かもしれないが、本漆かもしれない。大きくて立派な提灯。立派な屋根も掛けられている。

御神灯の屋根に月の映える群青色の夜は冴え冴えとし、吸い込む空気はひんやりと湿度を持って冷たい。祭りで人々の出払った村はいつもよりひと気の無いような気もし、眼下に狐火でも見えそうな気がしてくる。地温もすっかり下がってもうすぐ冬。

この秋祭りは、15年ほど前にNHKの取材もあったようで、当夜制度などの残るいまではとてもレアな形式の祭り。明日の本宮では家々からの供物が並ぶ。これがまた美しい。

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