哀愁の町に霧が降るのだ(椎名誠の多伝的バカ話型自伝的エッセイ)
このエッセイは俺の記憶を遡っているので適当極まりなく、年月に至っては平気で数年間違えるかシャッフルされている恐れがあるのだが(まだ一篇しか書いていないけど)、『哀愁の町に霧が降るのだ』を初めて読んだ歳は間違いなく覚えている。
十歳。
小学四年生。
昭和59年。
西暦1984年。
ロサンゼルス五輪の年です。
十二月の夜でありました。
父が俺の部屋に駆け込むや、超興奮しながら「この本は面白いからな! 本当に面白いからな! 本棚のここに置いておくから、読んでみて