くじら

ミニマムなショートショートを書けたらと思います。海外文学のレビューもして行ければ!

くじら

ミニマムなショートショートを書けたらと思います。海外文学のレビューもして行ければ!

最近の記事

[掌編小説]テキサス・キャノン・ボール

近所のコンビニを右に曲がって、暫く真っ直ぐ行くと、10畳程の小さなコインランドリーが見えて来る。 その隣に、同じ位小さな蕎麦屋がある。 2人掛けのテーブルが4つあり、入り口には5.6冊の新聞や雑誌がブックスタンドに並んでいて、厨房には棒切れみたいな腕の大将が、何時も寸胴鍋をかき混ぜている。 メニューは掛け蕎麦、盛り蕎麦の2種類のみと少ないが、喉越しは格別だ。どれだけ口に詰め込んでも、喉が蕎麦に合わせて形作られたかの様にフィットする。 私は学生時代から合わせて6年間通っているが

    • [掌編小説]タバコを吸いに

      大学構内の喫煙所が撤去される1週間前の話、物凄く暑い夏だった。 僕ら文学部が使うそこは、コンビニで見かける様な円柱形の灰皿が2つと、白くて半紙の様に頼りないプラスチック製の椅子が4脚、並んで置かれている小さな喫煙所だった。 地面のアスファルトは黒く汚れ、椅子には沢山の落書きが描かれている。 お世辞にも綺麗とは言えないボロ小屋だったが、狭い教室と長い講義から解放されるその場所は、束の間だが高級ホテルの待合室の様に感じた。 ここには沢山の人がやってくる。 友達や、教授、何かの授

      • 初めて

        noteを始めるにあたって、くじらと名前を付けてみた。特に鯨が好きだって訳では無いが、今日は暑かったから、涼しげな海の生き物を想像したのかも知れない。まぐろだってしゃちだって、めだかだって良かったのだけれど。 どういう風にnoteを使えばいいのか。 とりあえず気が向いたら短編の文章を書こう。数年前からごくたまに書いているが長いスパン継続した事は無いので、少し挑戦してみよう。 読書も、中でも海外文学が好きだ。カーヴァー、エリックファーユ、ヴォネガット、カポーティ、ポールオ

      [掌編小説]テキサス・キャノン・ボール