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クラウドファンディングのこと。

【御礼】金具屋千社札プロジェクト2024-2025は6月30日23時59分をもって募集を終了しました!80名様より1,035,000円、たくさんのご支援ありがとうございました。詳細は下記リンクよりご覧ください!



歴史の宿金具屋九代目の西山和樹です。
金具屋では2021年からちょっと変わった取り組みをはじめました。

金具屋千社札プロジェクト。
どうしてこんなことをやっているのか、ちょっとはじまりについてあらためめて記事にしておきたいと思います。

金具屋と千社札

金具屋の木造4階建の「斉月楼」。外観だけでなく、館内もほぼ昭和11年当時の建築が残っています。同時に建設された巨大な木造宴会場「大広間」とともに、登録有形文化財に認定されています。

その斉月楼の1階の廊下に、「千社札」という札が貼られていました。古いお寺や神社などで目にすることがあるかと思いますが、太い文字で名前が入った白い紙を千社札といい、昔は「ここにきたよ」という足跡として、さらには旅人の交流のきっかけとしても使われていたようです。

少し前ですが、千社札のプリントシール機が観光地にあらわれて以降、若い年代にもなじみがあるものになったと思います。名前だけでなくキャラクターとのコラボや顔写真も入れられるものも人気ですね。

千社札プロジェクト前の廊下。これはこれでよい感じではありました。

だだ、近年、そのようなプリントシールが金具屋の廊下に貼られるようになってきました。そりゃ過去の千社札もたくさん貼られているわけですから、禁止しているわけでもなかったので、悪いことではなかったんですが…。

やっぱりちょっとプリクラみたいのとか、すぐ褪せてしまう印刷の悪さとか、残念な文言とか、はがすときに跡が残ってしまうとか…。どうにも廊下の見た目が悪くなってしまってきたんですね。
千社札という文化は昔からのものなので、すべて禁止するのはしたくない。ただその線引きをどうしたものか、といろいろ考えてはいたんです。


新型コロナとクラファン

そんな時に、新型コロナウイルスの猛威、パンデミック、観光業壊滅。

収入がゼロになる中、かなりの旅館さんがクラウドファンディングに取り組み、支援を集めているという様子を傍目に見ておりました。

クラファンのことはちょっと前から知っていたので、ウチもなにか取り組むべきかなあと思っていたんですが、この時行われていた多くのクラファンが未来の宿泊権販売だったんですね。落ち着いたら来てくださいという。

それはもちろん、コロナまっただなかで資金(現金)が「今」必要!というわけですからまったくもって当然のやり方なのですが、旅館というのは在庫のきかないものなので、未来の分を売ってしまったら、未来に売れなくなるわけなんです。「その時間が商品」なので。今失ったものを補填することは一生できない。

クラファンをやるのならば、宿泊とは別のコンテンツを商品にするべきだろう。それも一過性ではなく、継続してやれるなにかがないか。そんなことを考えていました。


お寺でひらめく

そうこうしているうちに激動の2020年も終わりに近づき、コロナでのクラウドファンディングもブームはひと段落してきました。
ますますありきたりの内容では支援も集まらないだろうと思っていた時に、出かけた先、寺か神社だったと思うんですが、維持の為の支援者の名前が貼り出されているのをみて、あ!となりました。

そういえば日本は昔からお寺や神社では支援をあつめてお堂をきれいにしたり、設備を整えたり、修繕をしたりしていたなと。で、支援者の名前が金額順に貼り出されていたり、石柱に刻まれていたり。これは日本中どこでも見かける光景です。
クラファンの支援者のお名前を千社札として館内に貼り出す形ととれば、金具屋の千社札問題も解決し、継続的なクラウドファンディングとしても行けそうなのでは…と。なにしろ日本人にはとても馴染みのあるもので、社寺建築である金具屋とも相性がいい気がします。

当初の案では、よくある白地の和紙に名前を印刷して貼るだけのものにしようと思っていたんですが、つくってみてダメだ、と。面白くない。
今まで金具屋で貼られていたのは、自分たちが好きでやっていたから貼ってあるのであって、これをわざわざお金を出してまでやる人なんかいないぞと。

好きでやってもらえるもの、千社札自体が記念になるようなもの、持っていたいと思えるようなものにしなければ。
ただ自分でデザインをするのは限界があるし、誰かにお願いするにも…。

もういっちょひらめく

そこでもうひとヒラメキしたのが、これまで金具屋に関わってくださったクリエイターさんたちにお願いすることでした。アートイベントや音楽イベント、番組ロケや取材でも多くの多才な方々と金具屋はご縁ができていました。

コロナ禍、実は観光業だけではなく、クリエイターさんたちも活躍の場が大きく奪われて、仕事がなくなってしまったという方も多くいました。

ご縁のあるクリエイターさんたちに仕事としてお願いし、さまざまなデザインの千社札をつくってもらう、それはクリエイターさんたちの収入にもなるし、あわよくば告知をしてもらって、あわよくばファンの方々が支援をしてくれるかもしれない!

そんな半分よこしまな思いもありましたが(実際それが大当たりするのですが)、このようにして金具屋千社札プロジェクトがはじまりました。

金具屋千社札プロジェクト

そんなわけで2021年3月。第1回目のクラウドファンディング、金具屋千社札プロジェクトを行いました。なんと104名の方から1,642,500円のご支援をいただきました。これは斉月楼正面の電動防火シャッターの刷新の費用にさせていただきました。今回で5回目となりますが、延べ400名以上、計600万円近くのご支援金をいただいております。

プロジェクトの内容もリニューアルを繰り返し、今はデザインも25種類から選ぶことができます。

2024-2025千社札デザイン

お送りする千社札はウォールステッカー仕様になり、自由に貼りはがしができますし、今回からは千社札を貼れるアクリルスタンドやクリアファイルもついてきます。

加えて、ご支援いただいた方限定で、メルマガみたいな形で金具屋の修繕工事の話や裏側のことをいろいろお伝えする活動報告も1年間行ってまいります。

ご支援をいただいて終わり、ではなく、ここからが本番ということになるんですが、旅館のもろもろを知って頂くのにとてもよい機会と思ってやっております。そしてまた継続していただくという…

これが金具屋九代目式のクラウドファンディング・・・。まぁ妙なことにみなさまお付き合いいただきまして、本当にありがとうございます。
引き続きどうぞよろしくお願い致します!

金具屋 西山和樹

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