ニポン國の新しい風習

これは、架空の国 ニポン國の話である。

その國では、その布に効果があるという事を信じて疑わない 

わけではなく

おそらく ほとんどの人が
「あの人もやってるから」
「あの人たちになんか言われるのが嫌だから」
「空気読めないと思われるのがやだから」


その白い布のさるぐつわを顔に巻いていた。
それをしなければならないという法律はなく、
勝手にそれぞれの場所でルールをつくってお互いを縛りあっていた。


ほとんどの人が、

「人の目を気にしてさるぐつわをはめているだけ」

全体の うち、 
その白い布に効果があると「思い込んでいる」のは
少ない割合だと思われた。

ただ、どのくらいが
「効果があると思い込んでいる」のか、
きちんと調べるのは難しい
ので、だれも調べようとはしない。

なぜなら、
「効果がないと知っている人」
でも、
その
白い布のさるぐつわをはめるようなひと

ほとんどが
「私は効果がないとは

思っていない」


「自分の心に嘘をつく」名人であったため、

「これ(白いさるぐつわ)に明確な効果があるとおもいますか」

アンケートをしたところで

正直に答える気もなく、
そのまま
なんとなく
さるぐつわをはめたままの毎日を過ごすのが自然だと
「思い込みたい」
と思っていたからだった。

なぜ、
「思い込みたい」
のか

というと、
「それに効果がない」と公に自分の意思表示をすると、
そのニポン國の偉いといわれている人たちや、
頭の良いと言われている人たちや、
人々の健康や命をまもると言い張っている人たち
「カドが立つ」のを恐れているからである。


人々は、
そのようなひとたちに責任追及したり、
間違っているとあからさまに言う事によって、
攻撃されたり変な人と言われ 仲間外れにされる
のを
極端に恐れているために、
自分の意見を言うつもりがない

自分の気持ちにも嘘をつくことに馴れているため、
「この白い布はめんどうくせえな」
とか
「この白い布は役に立たないこと知ってるんだけどさ」
とか
「こんなもの一生買うのは嫌だよ」
とか
言う心の声にはフタをして
「白い布をかっこいいデザインですればかっこいい」
とか
「白い布で息が制限されると、かえって酸素が無いから無酸素トレーニングになるかも」
「白い布で、かえって美人にみえるからいいや」

などと、
限りないプラス思考に転換している気になって、
「自分って
考え方を上手に転換して
自分の機嫌がとれて
人にも攻撃されないようにして
頭いい
だから
最高にかっこいい」

と思っていたり

あるいは
「なにも考えていなかったり」することに
「なんとも思わないようにする」ことに
慣れている。

そうしているうちに
自分の心にも嘘をつきすぎて、

自分の本心でなんと思っているのかも分からなくなっている人がほとんどなので、問題はまったく無いので常にハッピーな気分なのである。

一方
こうして、新しい「風習」を身に付けた
ニポン國には、

外国から、いろんな人がきて
白い布をしている人々がいても気にせず 
あちこち歩き回る。

外国人が、白い布をつけないことは気にならないが、

おなじ人種の人たちが白い布をしていないと 
仲間外れにしても良いような気がしている。

ニポン國の新しい風習は、こうして何年も先まで根付いていくことになったのだった。

めでたしめでたしってめでたくねえよ。


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