気まぐれ朝バイトで得た知見

普段は学校終わりにシフトに入っているのだが、この前気まぐれで昼に入ってみた時の話をする。僕は手先がかなり不器用なタイプで、ADHDゆえか数秒前のことを平気で忘れるからシンプルな作業効率では意外と苦戦している。スタバは学生が多いので、完全に朝と夜では顔ぶれが違うことが多い。出勤時に少々眠さを感じていたが2ショットのアイスオーツミルクラテを飲んで目を醒ます。喉を労るため、ディカフェに変更しているが、もちろん有料カスタムも無料で頂けるのがスタバの福利厚生である。
さて、その日、ドリンクを作っていて、明らかに感覚が違った。大袈裟ではなく、明らかに冴えていた。その要因は二つあると考えている。おそらく、意識高い系界隈で唱えられているように、朝は間違いなく判断能力が著しく高まっている。絶対に人間は早起きをするべきだと気づけたし、大学で僕が午後練の部活と超午前練の部活で迷った挙句後者を選んだ理由の1つはこれである。そもそも手元のキレがやばい。集中力の問題かわからないけど、不器用な人って日頃疲れやすい体質なのか、と謎の仮説を立ててしまうぐらいには冴えるものであった。朝気分いいし。
もう一つは、ベテラン社員であろう"お局"のサポートである。これが非常におもしろい。あともう1つあるとしたら、朝は変なカスタムしてくる客が少なく、明らかにラテが多かった。フラペチーノがやはりめんどくさいので、意外とそう言うのも関係している気がする。お局は、僕が勝手に名付けたあだ名である。本当に、お局だった。シフト後もバックルームにて40分、あらゆる店員の悪口に仲間と花を咲かせ、新入りの仕事を覚えていない女の子に対して散々陰口を叩いていた。何よりその悪口を聞いて、「間違いないです〜」しか言わない帰国子女系女子大生。あなたの存在が、"お局"をお局たらしめたんじゃないかと僕は思っている。仲間に囲まれながらあらゆる方面に悪口を言っている姿、圧巻のお局っぷりだった。
とはいえ本題に戻ると、このお局、確かにデキるのだ。そこがまた面白い。ギリ悪口を言う資格が十分にあるんじゃないかと思わせるほどの仕事っぷりではあるのだ。迅速かつ完璧な指示出しと立ち回りで、僕の作業を途中まで終わらしてくれるのだが、その終わらせ方もよく、また僕が一番感銘を受けたのはその後。作業をフォローしてくれる先輩は夜でも学生でもいらっしゃるのだが、スタバの作業の構造上、全ての作業が脳死でこなせるようルーティン化されて教えられているため、途中で作業を奪われてしまうと次はどこの段階からやればいいのか、どのドリンクに手をつければいいのか、瞬時には判断できなくなるのだ。しかしこのお局はそれを踏まえて全てが心地よい指示を出してくれる。彼女には"見え"ていた。また、おそらくだが体育会系が好きで、また若い男の子にも甘い。てか高校の女子バレー部で下級生を虐げているタイプだと思う。僕が「uberでーす」と声を出している姿を見て「ハイよー」と応えてくれるお局のその声、部活を思い出させられてかなり気分が高揚した。気の抜けた高めの音域の「はーい」とかがスタバ店員多いのだが、意表をついての「ハイよー」である。
ともかく、彼女とシフトに被るのは3ヶ月ぶりぐらいなので、成長してた自分を見せることが出来た。僕としてもシンプルにスタバ人生で一番出来のいい日であった自覚もある。あれからちょくちょく朝に入ることが楽しみになった。収穫の多い1日だった。てか僕にだけ対応がどう考えても甘かった。


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