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GERMANY (1)

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時間はあるけどお金がない女子大生の私がヨーロッパを周遊した旅行記。このマガジンでは最初に訪れたドイツのお話を綴っていきます。
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記事一覧

#14 はじめまして、Joana【後編】

次に向かったのは、ミュンスターのクリスマスマーケット。 規模はフランクフルトやケルンほど大きくはないが、人が結構いて賑わっていた。ここでもホットチョコレートを飲んだ。Joanaはグリューワインを飲んでいた。大人だ。 Joanaに「あそこはこんなものが売っているよ」などと教えてもらいながら周るクリスマスマーケットはとても楽しかった。現地の人に案内してもらうと、思いもよらない発見があったりする。私が英語が話せたら、もっと楽しかっただろうな。この日の思い出を振り返ると、英語力を身

#13 はじめまして、Joana【前編】

ドイツ3日目。 この日はミズノの友人・Joana(たぶんお名前はジョアナ、違ったらごめんなさい)に街案内をしてもらうことになっていた。 ミュンスター駅でJoanaと待ち合わせ。 Joanaを乗せた電車が遅延していたため、改札外のベンチに座っていたら、品の良い優しげなドイツ人マダムが声をかけてきた。 短めのグレイヘアがたおやかなマダムは、英語で「どこから来たの?旅行?」などと話しかけてくれたので、ミズノも私も「親切な方だな〜」と思っていたが、徐々に様子がおかしいことに気づき

#12 ドイツのクリスマスマーケット【後編】

翌日にはケルンのクリスマスマーケットに行った。 ここの屋台で食べて感動的に美味しかったのが、ハッシュドポテト。 ただのハッシュドポテトではなく、りんごジャムを付けて食べるのだ。最初は「じゃがいもとりんご……?合うのか……?」と半信半疑だったが、甘じょっぱくて本当に美味しい。 この世で一番おいしくてやみつきな味は「甘じょっぱい」かもしれない。 家でもやってみたい、ハッシュドポテトとりんごジャムの組み合わせ。 ミズノは、ここで初のグリューワインに挑戦した。お口に合わなかったの

#11 ドイツのクリスマスマーケット【前編】

今回のヨーロッパ周遊を12月に設定し、最初の滞在国をドイツにしたのは大きな目的があるからだ。 「本場のクリスマスマーケットに行く」 これが今回の旅行のメインといっても過言ではない。 クリスマスマーケットの開催期間は11月下旬からクリスマス前日ぐらいまで。クリスマスイブやクリスマス当日は、クリスマスマーケット含め街中のお店がお休みになり、みなお家のなかで家族と一緒に過ごすそうだ。確かに12月24日・25日は街中は静まり返っていた。クリスマスマーケットに行くならクリスマス前に

#10 スーパーマーケットという名のテーマパーク

ホテルにほど近いスーパーマーケット「Scheck-In-Canter Frankfurt」は、チェーン店ゆえに建物が大きく、店内に入ると天井の高さと奥行きに驚かされた。ほぼコストコ。 ……というのはさすがに盛ったが、本当に広い。品揃えが豊富すぎる。まるでテーマパークだ。なんならテーマパークより楽しい。 ドイツだけでなく他のヨーロッパ諸国のスーパーにも言えることだが、野菜などの生鮮食品の近くにパン屋さんのようなコーナーがある。大量のパンが透明な蓋付きショーケースに乱雑に並ん

#9 always曇り空

北京首都国際空港でのトランジットからおよそ12時間弱。 そろそろ飛行機にも飽き始めたころ、離陸のアナウンスが流れ、ミズノと私を載せた飛行機はドイツのフランクフルト国際空港に到着した。 時刻は2018年12月16日17時15分。 時差が生じているので日付は日本を出発した日と変わらない。 人生ではじめて感じる時差に、日本から遠く離れた地に来たんだなと嬉しくなった。 飛行機を降りて、キャリーケースをピックアップし、まず取り掛かったのはSIMカードの差し替え。インターネットがなけれ

#8 映画見放題、寝放題

飛行機に17時間も乗るなんて絶対暇だよ飽きちゃうよ〜~~と思っていたけど、そんなのは杞憂に終わった。 機内で見られる映画は、洋画や邦画、アニメなど種類が豊富。 中国の航空会社の飛行機なので字幕に日本語はない。英語もままならず、中国語は微塵も分からないが、音声は英語で字幕を中国語にするとかなり見やすかった。 中国語は分からないけど、普段から漢字に親しみがあるのでなんとなく言葉を理解できる(ような気がする)。 英語が聞き取れなくても、中国語字幕で分かる漢字を拾って内容を推測した

#7 スパンが鬼短い機内食

飛行機の楽しみの一つと言えば、なんといっても機内食。 空の上とは思えない美味しい食事、一見「なんだこれ」という一品や「思っていた味と違う!?」に出会えるのがとても楽しい。 栄養を気にかけてくれているのか、どのタイミングでも野菜や果物が出てくる気がする。鮮度命な食材が飛行機の中で食べられるなんて技術は本当に素晴らしいな。 と思えば、パスタにコッペパンとケーキ、という炭水化物の武力行使みたいな機内食も出てくる。ツンデレ(?)だ。 長時間フライトになればなるほど時間感覚は狂って

#6 恐怖の北京空港乗り換え

23日間のヨーロッパ周遊に向けて日本を発つ日が来た。 家を出発したのは、まだ夜も空けていない真っ暗な早朝4時すぎ。羽田空港行きの高速バスに乗るべく、バスの停留所まで母に車で送ってもらった。 母へ、あの日は早朝に車を出してくれてありがとう。感謝しているので、数年経った今でも「飛行機の時間、もっと考えればいいのに……」と小言を言うのは勘弁してください。安い飛行機がこの時間しかなかったんです……。 母の運転する車の助手席で、忘れ物がないか、無事にヨーロッパ周遊を遂行できるかとド

#5 どこに何日滞在する?

飛行機のチケットやホテル、各国間の移動手段は、ミズノとLINEでやり取りしながら分担して予約することにした。この予約が少々大変。 当たり前だが、安くて良いものはすぐに予約が埋まってしまうので時間との勝負だ。良いものを見つけて「これどうかな?」とLINEして返信を待っていては、ほぼ確実に売り切れる。サーティワンでアイスを食べながらでも顔を突き合わせてその場で決めたらよかった。 しかも、2018年12月16日の早朝に日本を出て、翌年2019年1月8日の夜に帰国する23日間のヨ

#4 HISのお兄さんを困らせた日

行き先と日程を決めたものの、出国のおよそ1か月前の段階で予約も何もしていなかった。 やばいやばいと言いつつ、心のどこかでは「とはいえ何とかなるだろう」と思っていたミズノと私は、とりあえず地元のHISの窓口に向かった。 飛行機のチケットとホテルを別々で個人で予約することもできるし、大体その方が安かったりするのだが、場合によっては旅行代理店のパッケージツアーのほうがトータルで見ると安いこともある。なんてったって金欠なので、1円でも安いプランで渡航することに心血を注いでいた。 が、

#3 金欠女子大生のヨーロッパ周遊【概要】

ヨーロッパは計50か国から成る地域だ。そのなかで今回「どうしても行ってみたい国」「移動経路を考えた時に行きやすい国」を主な条件として、行き先は5か国に決めた。 選んだ国は、ドイツ・ベルギー・オランダ・フランス・イタリア。 ドイツは、中国で1回乗り換え(この旅ではじめて覚えた単語、トランジット)をすればフランクフルト国際空港に着くので便利だ。しかもミズノが移住したいぐらい好きな国。外せない。私はベルギーとフランスだけはどうしても行きたかった。チョコレートの本場でメーカーごとに

#2 忘れていたよ、近々に迫りくる卒論提出&国試

このヨーロッパ周遊記の登場人物は主に2人。 ヨーロッパ周遊に誘ってくれて本エッセイ出版時のデザインを担ってくれた(&原稿をあげるのでが遅い私のお尻を叩いてくれた)グラフィックデザイナー・ミズノと、徒然なるままにこの文章を書き口癖は「仕事辞めたい」な限界会社員・イトウ。 ミズノは高校の同級生で、ありがたいことに10年以上の仲だ。ミズノは大人になっても都内のでかい公園でピクニックしながら「ねるねるねるね」を練ってくれるし、サイゼでご飯してくれるし、いい意味で幼児の心を持っている

#1 突飛な提案を軽いノリで許諾

「ねえ、ヨーロッパ周遊しない?」 23日間に及ぶ初の長期海外旅行のきっかけは「スタバの新作飲みに行こうよ」レベルの軽すぎるお誘いだった。 新型コロナウイルスなんて言葉が存在しなかった2018年。私はビッグシティーTOKYOの片隅で大学生ライフを満喫していた。 とはいえ、奨学金を借りる貧乏学生だったので、あまり大学生らしい遊びはせず、バイトと学業、サークル活動に明け暮れ、気付けば大学4年生に。 志望業界の内定をもらい、卒論に向けて血眼になって研究を進めていたころ、周りの友