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もはや我が子。

子育ての記憶ではありません。作品の、ある推しに対する小話です。(※ネタバレを含みます)


今、放送しているアニメで「ダイの大冒険」というものがあります。実はこれ、90年代前半にも一度アニメ化されていて、その時は打ち切りになってしまい原作のラストまでの話にアニメが追い付きませんでした。追い付けませんでした。とても悔しかった記憶があります。あるキャラクターの成長が、まさにここからクライマックスという時でした。この子は主人公ではありません。最初は、脇役にでもなってしまえ!と怒りをぶつけた相手でした。彼の名はポップ。職業は魔法使いです。私を含めた往年のファンは皆知っていることですが、後に彼は偉大な称号を自ら名乗ります。今回やってるこのアニメが、OPシーンを見る限りだと原作の最終回までやってくれそうな気がするので、それに希望を託しています。最終回目前まで行かないと、彼の人間臭いところから滲み出ている性格の良さ、成長に伴う凄み、彼の本来与えられた役割・・これらが読者には届かないからです。

さて、ポップに怒りをぶつけたのは序盤のクロコダイン戦のときでした。ダイ達二人(※もう一人、マァムという僧侶戦士の仲間がいます)が、クロコダインとその軍団に襲われているロモス王国の王様達の元に駆け付けようとした時のことです。ダイは勿論、マァムも迷いなく駆け付けようとします。これは「友情・努力・勝利!」を掲げている(いた?)ジャンプ作品の一つですから、当然の行動とも言えますよね。まして、勇者、魔法使い、僧侶戦士、なんて序盤パーティーとしては読み手にはとってはかなりわくわくさせられる組み合わせだと思うんです。私もそうでした。三人のうち、誰が欠けてもその次の展開への興味が薄れると思っていました。残念なことにそれは当たってしまいました。ポップは、先に行ってしまったダイに続いて私たちも王様の元へ駆け付けよう、と声をかけたマァムに対して強い拒絶を示すのです。自分は、好きで魔王軍と闘うわけじゃないし、ダイのせいで次々敵が襲ってくるんだと言葉を吐きます。それを見たとき、私は話の続きを読むのが少し嫌になりました。人生先のことが分からないように漫画の展開もそうであるという悲しみを最初に覚えた漫画だったように思います。「ダイの大冒険」は、前回の記事に書いた漫画(高河ゆん著 源氏)を初めて読んだときより、更に幼いときに読んだ漫画でした。なので、読み手にとって思うようにならなかった悲しみが怒りに変わり、冒頭の脇役発言に至ったのです。それでもポップは脇役の登場人物に諭されてダイの救出に向かい、無事ダイを助けることに成功し、脇役にならないで済んだという結果が残りました。皮肉とも言えるかもしれません。しかしそれが幸いしたのか、この後のポップは悩み迷いながらも邁進を続けることがほぼ可能になります。途中、ポップの師匠になる人物マトリフが出てくるのですが、あんなに弱そうな魔法使いは見たことないと、彼について嘆きます。情けなさを見過ごせず特訓もしてくれます。そんな情けない彼が、物語が進むにつれ信じられない伸びしろで成長していくので、彼を推しとするならば涙無しには読めなくなること必須なのです。熱い展開が待っています。詳しくはこの作品を一人でも多くの人に見て欲しいので書きません。しいて言えば、終盤の対シグマ戦で「自分は賢者ではない、・・・〇〇〇〇とでも呼んでくれ!!(←ここ最重要課題。私はこの単語を拝むために毎度頑張って読んできていると言ってもいい。)」。というポップの台詞に行き着いたときの感動を共有したいなという、ちょっとした欲があるぐらいでしょうか。

最早、我が子の成長を見るが如しで、私は毎週テレビの前にかじりついて見ています。これは私の経験則ですが、読んだ回数を覚えていない作品の推しほど、我が子のような思いで見つめてしまいませんか?手を差し伸べたくてもその手を我慢してぐっとこらえて静観し、成長を待つ人も多いのではないでしょうか。その後推しから得られるものは作品次第ですが、どんな結果であれ推しが成長していく過程を見られるというのは本当にその作品に出会えたことによる、幸せで贅沢な時間です。

ダイの大冒険が再びアニメ化すると情報をキャッチしたときの私は、
久しぶりに、生きてて良かったとガチ泣きしました(加齢って嫌な事ばかりだ・・と嘆いていた時期だったので)。もしかしたら、最初のアニメを見ていた世代の誰かがアニメ業界の偉い人になっていて作ってくれることになったのでは?と妄想を膨らませましたし、そう思うと、加齢も悪いことばかりではないと思えました。元来ネガティブな私には、このような吉報によって生きる喜びを日々与えてもらっている気がします。

きっと、これからもね。


ここまで読んで頂きありがとうございました。

完。

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