見出し画像

穢れた救済者の象徴「天使」という言葉とカルト系作品の美少女

最近「天使」と言う存在に興味がある。と言うのも美少女キャラクターを救済の象徴とみなすとき、「天使」と表現されることが往々にある。他には可愛いキャラクターに対して「マジ天使」のような可憐さを表現や、「天使のように煌びやか」とかもあるけど一番気になる使われ方は、「さよ教」のようなカルト作品における「天使」。正直本作未プレイなので何となくしか知らないが頭のイッてる自称教師が妄想の生徒に対して激しい行為を行いつつもそんな業を許してくれる存在として天使を設定しているみたいな話だったはず。他にも沙耶の唄の沙耶も人間態の時には翼が生えてるし、僕の好きなlainでも玲音のことをスタッフは虐めたくなるような可愛い普通の女の子でもあり、天使のような存在として認識していることがガイドブックに書いていた。
美少女、特にカルト系作品の美少女のことを何故、穢れと救済を併せ持つ「天使」だと表現してしまうのか。この考え方の誕生理由を勝手に考えてみると、80年代以前の女性はサザエさんが代表するように、家庭に入る女は母として振る舞うように求められたのだと思う。そこにはある種の清純さや優しさなどが世間体的に求められて、サザエの存在はそれに反発する存在だった。ただ経済が好調になり女の解放がより進み、ぶっちゃけ文化のようなものが出始めていた。アイドルも松田聖子を代表するように山口百恵のような殿上人からお茶の間の女の子となり、女であること、個性を出すことの解放が起こり、女を武器としてうまく利用していた。ただしこれはあくまでもTV上の範囲に留まるもので、情報源がTVだった当時、女性性は松田聖子の範囲に留めておくのが普通だったのだろうか。ただこのストッパーが効いていたのはおそらくバブル期までで、バブル崩壊後は女子高生の買春などがより手軽なものとなり、90年代には女に対する清純伝説は完全に崩壊したのだと思う。これを真横で見て「女」という幻想を打ち砕き、ナディアとかナウシカのような美少女しか知らないオタク界に「女」を知らしめたのが庵野秀明のエヴァンゲリオンだと言えるだろう。ヒロインを見ても分かるように、ミサトさんはガサツだし、アスカは気持ち悪いっていうし殴るし、特にレイは人造人間で、所謂二次元美少女だし。また使徒はグロテスクな女性のメタファーだとも言われてる。そしてこんなアニメのオチは聖書引用からの二次元美少女、レイの天使化による人類補完計画による救済。これが庵野秀明の当時の答えであり、中身のない女子であり母でもあるフィギュアのような美少女が「天使」となり救済するラスト。後の作品に影響がかなりある作品ですがカルト系作品もエヴァの重力から逃れることはできなかったようですね。
(てか今思ったらあれって理想の美少女による二次元の理想世界で楽しく過ごそうね。なーんにも考えないでいいよっていう全人類オタク化による、オタクを骨抜きにして現実を直視させないようにする作戦だったのかも知れない。そう考えると二次元とは現実を補強してくれる存在として肯定しつつ現実を生きるラストをとったのはエヴァのオチとして良かったのかも。)
閑話休題。エヴァが示した残酷な穢れた天使という表現が、その後のカルト系作品の美少女の「女」を失った、つまりある種の人間性を剥奪された存在を「天使」として救済の象徴とするのは何故なのだろう。コレって綾波レイと碇ゲンドウとの近親相姦的グロテスクな関係性を後の作品は肯定してしまってる。だからこその許されざる解答だし、カルト作品だし、反社会的解答だからこそ僕は大好きなのでしょう。ですが、そもそも論に戻って美少女のことを指す「天使」ではなく、キリスト教本来の”天使”って一体どんな存在なんですかね。美少女キャラクターのことを「天使」に安易に例えてしまっていたら「マジ神」なんて言ってる人のことバカにしてはダメなんじゃないですか。というわけでいつになるかはわかりませんが天使について齧り付くぐらいしてみようと思います。

追記
ちらっと「天使」と言う言葉をwikiで見た感じ「天使が神のお告げを伝える伝令としての役目を負っている」というのがユダヤ教とキリスト教両者とも共有する考えで、おそらく今回の意味的に考えるとキリスト教徒を守ってくれる存在「守護天使」の方が近いかも知れない。ただ、wikiを見た感じだと美少女のことを「天使」と例える理由に腑が落ちないので、もしかしたらフランダースの犬の天使の表現に我々は天使のイメージが引っ張られてるのかも。つまり死のイメージが付き纏うカルト系作品での救済はフランダースの犬的な心清きものは救われるを裏返した、穢れた天使ですが不完全ながらあなたの業を許すと言う「天使」というより寧ろ「神」の方が近いんじゃないかなって思った。ただ、5分ほど見ただけの感想なのでまた今度じっくり見てみます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?