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偉大なメンヘラ・太宰治のエッセイ

太宰治全集をKindleで最近読んでます。彼の代表作『走れメロス』は全国の学校で読み継がれ命を賭けてでも約束を守る大切さを教えてくれますが、本人は借金返済の約束を破り続けたそう。ですが、今回話したいのは彼のエッセイ。小説と違いサクッと読めるし、言語感覚が現代に近いので明治の文豪たちより読みやすい。何より太宰治が面白い。エッセイを読んで、いちばんの衝撃はnote読んでるのかってほど今でもこんな感覚で生きてる人多いよなーってところでした。日々死にたいやら、オレは不幸やら。家庭環境も才能も顔も恵まれてるのに卑屈でメンヘラ気質。そりゃ三島由紀夫は嫌うし、今でもファンが多いって納得できますね。
おすすめのエッセイは『美少女』。30代で嫁との慰安旅行で温泉に行った時の話です。何がいいってまずタイトルが最高。noteのタイトルが『美少女』ですよ。今でも美少女の話してる人がいることからも分かるように現代でも全然話題の根幹になってるようなテーマですね。内容も最高でまず嫁のために温泉に行くんですけど、その温泉も混浴。この時点でアタマに?マークが浮かんだんですけど先に進めます。温泉ってことで誰でも入れるわけでその場に他に人がいるわけで、それが太宰の見立てで地元民4人。1:3にグループが分かれておりで問題が3の側。3人のうち2人は老婆だったんですけど、問題はその間に挟まれるようにいたのが17歳の美少女。太宰治は見惚れてしまうわけです。嫁がいるのに。30代なのに。そこから記述されるのが、その少女が如何に美少女かってことを頭のてっぺんから、胸、くびれに尻に出立ちに至るまで詳細に記すわけで。現代でも大人気の文豪による綿密な美少女描写はエロいに決まってます。30にもなる男が嫁と混浴に来て一回りも年下の少女に見惚れるなんてシチュエーションを包み隠さず残してくれて感謝しかないです。この話にもまさかのオチがあってエロいだけでない一つのエッセイとしても完成度が高いので一読の価値非常にありです。
他にも浮浪者だらけのところにルポ取材に行くつもりが、言葉が出にくいので話すことが出来るようにベロンベロンに酔っ払って行ったところ美少年しかいなかった話や、療養中に見た雑誌に載っていた大学教授の訃報記事に寄せられた彼と親交があった人物からのコメントから全然知らない教授ひととなりを知り喪失感に襲われるって頭のおかしくも笑えるエピソードが盛り沢山でした。

リンク貼れるか分かりませんが200円で偉大な文筆家の日記が読めるのでコンビニでおにぎり買うの我慢して買うと幸せになれるかも知れません。

『太宰治全集・280作品⇒1冊』


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