演芸界の今に思う事 その5

今回は上方落語協会での動きに触れ、思う事を書いてみます。

今回の銀瓶さんの動きはとても大きい意味があると思います。

私は一サラリーマンで単なる演芸ファンです。
だから個人事業主である噺家と所属団体或いは業界との関係性について不案内です。
それでも自分自身の社会人経験に照らし合わせ、また演芸ファンとしてこの演芸が長く続く事を願って拙いnoteを書いています。

演芸ファンもそれぞれに色んな意見があります。
中堅や若手は芸を磨く事に精進し、業界全体の事を云々するのはもっと客を呼べる実力者になってからという意見もあるでしょう。
ただ、これからこの業界に在籍し続け次世代に繋ぐ役割がある中堅若手が声を上げる事に大切さがあります。

私は、この夏に定年退職を迎え三十数年間勤めた会社を離れる予定です。
自分自身も会社もそれを取り巻く社会環境も大きく変わりました。
入社時はまさにバブルで、会社も社会もイケイケドンドン。
右肩上がりを前提に、業績だけを目指す風潮でした。
ご承知の通り、今はこれまで通り財務指標も重要ですが、サステナビリティ(持続可能性)も同時に求められます。
現在在籍する社員の殆どがいなくなり、この先長く在籍する今の若手、今後入社してくる人達にどんな会社を残していくのかを考える事が一番重要だと思っています。
その為に老兵は何が出来るかを考え行動する、また中堅若手も同じように考え行動を起こす。
それぞれの立場の人間が考えを持ち寄り建設的な議論が出来る土壌作り、それが何より大切です。

これは会社だけの話ではなく、想像も出来ないほど環境が変わり正解が誰にも分からないこの時代に生きる人全てにとって同じ課題だと思います。
当然、客の構成意識が大きく変わり、競合相手も次々変わって行くエンタメ界も同じ状況でしょう。
最初に書いた通り、私はその激流の中で落語、演芸界が生き残っていく事を望んで止みません。
その為に色んな意見がある中、この先どうありたいかを考え行動を起こした銀瓶さんに賛辞を送りたいと思います。

江戸の噺家の中ではSNSで自身の考えをきちんと文書にして発信されている中堅若手の方もいらっしゃいます。
繰り返しになりますが、色んな意見があるのは当然です。
それを議論するきっかけを提供する行動や発信がある事が健全だと思います。
(ネット上でよく見られる一方的な誹謗中傷ではなく)

これからも演芸界に思う事を細々と書き綴るのも、老兵が出来る事の一つかと思っています。
最後までお付き合い頂いた方、誠にありがとうございます。

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