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#ソロキャンプ 騒動から見る危機意識の低さについて。

ダブルスタンダードと感じる方もいるかも知れませんが、前回の記事はプライバシー権を侵害する『ネット特定』についての不当さなどを被害者視点で庇う…つまり加害者側を批判する方向性でしたが、今回の話題は安全性主体なので被害者側に求められる防犯意識などを中心とした内容です。
(今回の記事も値段設定はしてありますが無料で全文読める投げ銭方式です)

我々、安全産業の人間としてはビジネスチャンスとも言えますが日本も『水と安全はタダ』と言った安全神話が一人歩きしていた時代では無くなっています。

もちろん、誰もが生命や財産等を脅かされ無い事は国家を中心とした社会が守るべき基本的な人権その物ではあり、特に善良な一市民としての自覚を持つ人々がそれを求める事は当然なのですが、官民問わず安全に割けるリソースもまた有限である事を考えれば『多くの需要があり効率的な方法を中心とした防犯対策を取っていく』のは当然であると理解していただける事でしょう。

よく議論のテーマとなる『挑発的な服装で出歩く事』や『人目の少ない場所に出向く事』等でトラブルを呼び込み易くなる行為についてはどちらかと言うと愚行権の行使と言う側面が強く成ってきます。

同じ様に『ソロキャンプをした上での安全性』なんて、社会として確保出来るような代物とは考えられ無いと言って良いでしょう。

始めに言ったように安全神話は崩壊していますが、それでも日本が世界から見ると別次元に平和なのは、銃規制を始めとした施策と、警察警備を始めとした官民一体になった尽力、それに加えて一般人の協力があって、なんとか保たれていると言う話でしかないのです。

荒事に疎い人は安全を安く見積もりすぎ、『助け』を当然の物と考えてしまう傾向があります。

非力な事は仕方が無く責められるべきでは無いのですが、そうでない人間にとっても特に防犯の面での助け…『犯罪者に立ち向かえ』と言うのはとんでも無いリスクと労力を要する事であると言う事を知って戴かねば成りません。

スケールメリットを弄ればなんとかできる部分はあるのでこれから説明していきますが、要は自分の身を守れない人間を守るのに割いた人員のお給料を何処から出すかと言う話なのです。
要人が仕事中だけ一日8時間を誰かに護衛して貰うだけですら、要人は二人分稼いでないと駄目なわけです。公金を使うにしろ余程の立場で無ければ無理ですよね?

誤認や冤罪などを踏まえると、例え急場とは言え相手を安易に傷付ける事は許されませんが、互いに素手で同体格と言う前提なら『本気で暴れる人間を互いに無傷で抑え込む為には5人必要』と言うのが基本となります。
四肢に加え、胴体もしくは頭部をそれぞれ一人が抑える事で、抵抗をさせず無力化する事が出来ると言う計算ですね。

勿論、技術や装備などが無力化対象すべき対象と比べて充実していれば少なくて済みますが、それは逆も然りです。

警備の区分で言うと4号(身辺警備)いわゆるボディーガードのお仕事内容になりますが、本来であれば護衛対象の5倍から10倍の労力を割く必要があるのです。
勿論、人数だけいても駄目なので、訓練の費用も掛かりますし、優れた人材を選抜し、それに応じた報酬も用意せねば成り立ちません。
当然、一晩5万一日10万は安めの見積もりですし、365日24時間となれば年5000万からようやく商売として見込めると言ったお話で、特に今回のお話の様に街中でなく、山林などであれば警備人員の移動手段や寝泊まりの費用や負担なども倍がけと言って良いレベルだと思いますが、それでも要人のスケジュールに安全性を求めると言うのならこうした試算になります。
ともあれ安倍元首相が殺害された事件の様な失態も記憶に新しい訳ではありますが…

警備対象を人ではなく、キャンプ場と言う一つの施設として考え、警備の範囲やルールを絞る事で1号、施設警備と考えるのも手で、こちらは先程と比べれば安価で済みます。ただ、それでもお飾りに終わらせたくないのであれば一晩3万は見込みたい所です。この負担はキャンプ場の利用数で頭割り出来るので、規模にもよりますが毎月100万の警備費用を捻出するだけ値段に上乗せ出来るか?と言う点がネックになります。

あくまでレジャー…『楽しむ為には高額の費用負担も惜しまない』…と言った人が増えれば可能性が無いとまでは言えませんが、現実のキャンプ場運営やその相場を考えると私は手を出したくない事業です。

また、この区分1号施設警備の指導資格を持っている立場としても、キャンプ場と言う施設の特性として、コンクリートの壁で守られ扉を施錠出来る一般的なビルや住居と比べて、防犯上の問題が大きく十分な警備効果を求めるのは難しいと考えます。

紛争地帯の国境線のように地雷原や有刺鉄線を駆使する訳には行きませんし、広い敷地であれば高い塀や堀で囲む事も現実味が無く、仮に出来たとしても隣接する他者所有の山林などがあればそこに潜む不審者などを排除する事は不可能だからです。

監視カメラやセンサー位は予算さえあれば設置出来ると思いますが、それはあくまでリアルタイムでの、監視と迅速に駆け付ける体制があればこその話…一応、1つの敷地内なので厳密には対象から外れますが『機械警備(この記事のサムネイルにしたのがその責任者資格です)』と言う特に専門的な分野の技能も求められる業務と捉えて良いと思います。

勿論、今後技術の進歩と法改正によりドローンなどを活用する事で、少数の人員が多くの対象を監視、なんなら制圧等が可能に成らないとも限りませんが、現状はそうではありません。

結局の所、国家としての誇りにかけても護りたい『施錠した家屋内など』への侵入事案などに対しては公金が注ぎ込まれますが、そうでない場については、スケールメリットを見出だせる時にかぎり、なんとか商業チャンスを見出だせるかも知れない…と言った程度の物なのです。

セールスの側面は勿論ありますが『安全は安く買える様な物ではありません』し、我々安全産業の人間から言わせればソロキャンプなんて(各々万全を期すとは思いますが)危険に身を晒す事を楽しむアクロバットなレジャーであって、あらゆる面で選ばれし精鋭がトラブル回避のためになら他者危害でさえも覚悟の上でやるべき行為だと思います。

むしろ、この記事で述べた様な警備体制を敷いた上でやるなら『何がソロキャンプ?警備員におんぶ抱っこやん』と言うツッコミが入ってもおかしくないと思います。

誰も褒めたりしませんし、友達が居ないだけじゃ無いのならグループキャンプした方が良いと思いますし、安全性を求めるなら家に鍵かけてどうぶつの森をやっていた方が良いと思いますよ。

警備関連のnoteはこちらに纏めています。

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