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相手に言う必要は無いが理論武装とコミュニケーション能力は必要…クレーマー対処法【職業人向け】

つい先日も私の職場で同様の事案が起きたばかりですし、現場次第では毎日の様にあるクレーマーの対応ですが、警備員に限らず法的な正解を知らないと適切な対応と言うのは難しいので、今回はその辺りを書いていきたいと思います。(有料設定はしていますが、過去記事含め無料で全文読める投げ銭方式です。)

犯罪はもちろん、迷惑行為を行う人物に対しての対応と言うのはとても難しい物です。

前回は乗客同士でトラブルに発展してしまった事件についてなので『余計な事はせずに、逃げるなどして身を守れ、罪悪感を感じると言うならスタッフや警察等に連絡して』と言う話をメインに書いた訳ですが、今回は貴方のお仕事中にそうした事が起きてしまった時のためのお話です。

仕事中…つまり、自分で迷惑行為をする方を発見した場合だけでなく、上司に対応を任されたり、他のお客様から苦情として持ち掛けられた場合など、何もしないという選択肢は封じられがちです。

そんな時にどう対処するか?

本人の力量は勿論、職場にも恵まれていないと『自信がある』とまで言える人は少ないでしょう。

まず、法律や警察等の判断基準を知る事で、メリットとデメリットを頭に想像しながら行動をする事が出来ます。

今回の様に『声掛けの際に身体を揺った行為』を『暴行罪(猥褻罪)だ!』等と言ってくるケース…更に仕返しとばかりに自分の身体に触ったり、小突いて来ると言った発展系も考えられますね…。

【そのままシャイニングウイザードをぶち込んで「お客様?暴行罪と言うのならこの位はされてから仰って戴いた方が良いかと思いますよ?…ふむ、歯が折れて上手く喋れていませんね、残念でしたー」と言ってやりたい】気持ちも解りますが、人生を棒に振ってまでそんな事をしてやる必要はありません。

ここで必要なのは『正当な業務(理由)』と言う概念です。

こちらの記事も参考にして頂けると良いかと思いますが、【我々、警備員(従業員)には、お客様の安全などを確認すべくお声掛けや、場合によってはお身体に触れる事も御座いますが、それは『正当な業務』の一貫であり、まかり間違っても『暴行罪』や『猥褻罪』と言った違法性のある行為にはなりせん。逆に、お客様の側には我々、スタッフへと触る正当な理由は無いと思われますので、仰っていた様に罪に問われる為、お辞め頂くのが宜しいか思います。勿論、ご納得されず我々を犯罪者と決め付けられるのであれば、警察や裁判などを頼って頂くべきで、犯罪者扱いをする相手に謝罪を求める事の無駄を弁えて頂くのが宜しいかと】

と言った趣旨を伝えられる事が『出来れば』ベストなのですが、1対1でクレーマーと向き合ってる状態でこの様な事を伝えようものなら、前回の記事で解説した高校生のマウント行為と同じで『逆ギレして殴り掛かってくる』可能性の方が高いです。

その為、間に警備員や警察官などを挟んだ状態で書面にした物を渡して貰うなりするのでなければ、本旨である【『正当な業務』行為をしているのに犯罪呼ばわりされるのは完全な言い掛かりに過ぎない】と言う点を踏まえながら、自信を持って行動してくれれば良いでしょう。

また何事にも面倒事を避けたい上司や会社が、部下やお客様の安全を無視して「何が何でも警察沙汰は避けろ!通報したら減給だ!」など行動を縛ったり「あいつが我々を無許可で撮影しているのは肖像権の侵害だ!力づくで取り上げろ!」と言ったように法律的にアウトな命令をしている場合などは「それは業務命令ですか?それに従い何かあった場合の責任は取って頂けるのですね?」等と確認しておくのが良いでしょう。

勿論、緊急事態なら問答をしている暇はないので『あとで会社と揉める覚悟はしつつも、身の危険まで感じたら110番通報!その上で会社にも連絡』は選択肢として、頭に入れておいて下さい。

もちろん、警察沙汰となればトラブル発生は明確になり、上司は報告書を上げなければならないでしょうし、数時間程度にせよ何人分も人件費は掛かるでしょうから、経営側の都合を顧みないで良いよ、と言っている訳ではありません。

あくまで、安全を軽視しないで置く方が、もしもの時を考えると安く付きます…そもそも、我々が呼ばなくても、他のお客様や相手が先に呼ぶ事は防げませんし、余計に説明の手間が増えますよ。などと言って穏当に説得するのが賢いでしょう。

上の記事に書いた救命関連で119番通報を行う際の注意点とも被りますが『緊急通報は故意に嘘を言ったり、嫌がらせの意図でしなければ、誤認などを含めて必要性を感じ次第、誰もがして良い行為』です。

勿論、我々警備の人間だけで片付く問題については引き受けるのがお仕事ですが、何にしても後々事件に発展する様な事があれば、早い段階で警察を呼び、もしくは双方の言い分を把握して貰うだけでもしておけば良かったと後悔する事になるでしょう。

たまに『警察を呼んでも忙しくて来てくれない事がある』ので宛にならないなどと仰る方が居ますが、それは間違いです。

かつてはそう言った事も認められていたかも知れませんが、現在の日本では震災などの広域被災などでも無い限り、通報し身の危険などを感じる旨を伝えて貰えれば、多少の遅れがあっても、現地へ確認に向うルールとなっております。

ただ交番などに駆け込んでも、別の事件へ出動し人員が足りないと言った事は多い為、襲われて逃げ込むスポットとしてならともかく、お巡りさんに来て欲しいだけであるなら、その場から携帯などを使った110番通報を行うのが良いです。


これで『法律等を踏まえた現場レベルの対応』『経営側との調整』『警察の呼び方』と皆様に実践して頂く事を考えてお伝えするべき内容は十分だと思います。

ここから先はむしろ、荒事に慣れてしまうとはどう言う事であるのか、つまりドン引きしてしまう様な内容を書きます。有料設定で隠すのも良いかと思いましたが、ツイッターの方では結構口走ってしまっているので、いつも通り価格設定はしつつも無料で全文読める投げ銭方式のままにしたいと思います。


散々逃げろ逃げろと言っておいてなんですが、私なら『土下座を求め迫られる』状況まで行ってしまった場合は【相手の鼓膜を割る勢いで『動くな!』と怒鳴り付けた上で、ボコボコにする】を選んだ事もありました。

本当は『相手がちゃんと動きを止めて冷静になったら距離を置き、先の正当な業務の概念など対話をしながら警察を待つ』辺りも選択肢なのですが、はっきり言って長話を聞いてくれるケースなら荒事まで行かないですし、そもそも私のガタイを見て事を構えない事も多いです。

また、呂律が回らない上に、途中で攻撃をされた場合に舌を噛む恐れなどもあるので『静止を無視して襲ってきたので乱闘になりました』で通し『動くな!』より、ほぼノータイムで釣瓶撃ちにするのが有効と言うだけの話です。

半端な声量だと無意味どころか相手が調子付く可能性もあるのですが『動くな!』は我々警察・警備の人間が良く使う言葉でもあり、それをされた事がありはしても慣れる事までなかなか無い為、多くの場面でチンピラ等にも効くマジックスペルなのです、勿論、効かない事もあるのでそのまま向かってくるつもりでは居ますが。

なお↑の『喝撃(一部の流派などで呼ぶ)』自体も『暴行罪』や『強要罪』、場合によっては傷害罪に問われかねない行為ではありますので、基準としては先程述べた通り『土下座の強要』と言った同罪に当たる行為を確認した上でぶつけるのが基準の一つと成ります。

何度か書きましたが、正当防衛に該当する実力行使は、本来なら罪に問われる行為なのです。正当な場面で行使しなければ単なる犯罪だと、良く覚えて下さい。

判断を誤り過剰防衛…有罪となれば関連の資格も含めて一発でパァですし、警備員としてもお終いですので、必要な場面が来た時に尻込みし、可能な限り被害を抑えつつも殴られる寄りの選択を選ばざるを得ない…どちらかと言うとそれが警備と言う仕事の辛いところです。

上の記事を書いた時もそうですが、私は荒事…特に刃物の話をしたり、それにちなんだ訓練などをした際に、思い出す人物が二人居ます…お二人とも既に亡くなっていますが。

一人は従軍経験のある方で『目は潰れ耳と指(と歯)は取れる物だが、それさえ覚悟しておけば人間はそう簡単には止まらない』と仰っておりました。

それは平和な社会では迷惑行為や犯罪を行う側にこそ備わり易い物である事まで含めて含蓄に富む言葉です。


もうお一方は『刃物男から人一人の生命を救ったが、引き換えに人差し指を失った』と言う経歴をお持ちの方で、その事件を機に現役引退をされ、事務職をされていた頃にお会いした方です。

「助けた相手も感謝してくれて、十分な退職金も貰ったし、割り切らなければいけないが、率直に言って後悔している…俺はあの時、助けになど行かなければ良かった」とちゃんと仰ってくれたからこそ尊敬しています。


生兵法は怪我の元でしかありません、荒事には常に自分は勿論、相手に怪我を負わせてしまうリスクが伴いますし、正当防衛はそう簡単に認められる物ではありません。もちろん、結果が明白で無ければ犯罪もまた立証されるのは難しい面がありますが、正当防衛を主張する側が行った本来違法である行為と言うのは、その点で逃れようが無い責任と向き合う事になる訳です。

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