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漫画「ブスに花束を」が面白い


あらすじ(wikiより)

自らをブスと自虐する高校1年生の田端花は、日課としている教室の花瓶の花の交換のため、早朝から登校していた。花に触れている時間の楽しさに浸るあまり、余った生花を髪に挿して悦に入っていたところ、たまたま早く登校してきたクラス1のリア充イケメンこと上野陽介に出くわし、その姿を目撃されてしまう。恥ずかしい姿を見られたと花はパニックになり、あらゆる自虐の想像を尽くすが、一方で以前から花瓶の生花を替えている人のことが気になっていた陽介は、その人物こそ田端花だと知れたことを機に、彼女と話すようになっていく。

イラストで言うと、真ん中の女の子が田端(主人公)、右のイケメンが上野君、左の可愛い子が(あらすじには出てないけど)クラスのアイドル鶯谷さん。(主人公がブス扱いされてることを除けば)普通の恋愛漫画。
※本筋には関係ないですが、登場人物の苗字はみんな山手線の駅名らしいです※

普通この手の漫画は、「主人公は実は美人だけどオシャレとか一切していないせいで気付かれていない」パターンが多い気がするけど、この漫画では一切そんな事ない。
読み始めた最初は(いくらなんでも、主人公だし途中から可愛くなっていくのでは?)と思いっていたが、6巻まで読み終えたところ全然変化が無い。なんなら、少しだけ登場するモブ女性よりも可愛く描かれない。
性格も素直ではない・・・というか、根は非常に良い子なのだがこれまでの人生でずっとクラスの隅っこで生きていた為、「自分がモテるはずがない」どころか「自分が他人に受け入れられるはずがない」レベルの捻くれた思考回路になってしまっているため、好意を全然素直に受け取れない。
仮に誰かの好意が向けられても、素直に喜べずに「ワタシなんかに気をつかってもらって申し訳ない」といって恐縮する感じ。正直、個人的にはひねくれ方に非常に共感出来る。

イケメンの上野君も、顔だけではなく性格も良いので男女問わずモテるけど本人が恋愛経験なし&興味なし&ニブチン。好意を向けられても全然気付かず、女心にもさっぱりわからないのでなんの悪気もなく無自覚に相手を振ったりしてる。

こんな二人が、あらすじのようなきっかけから少しずつ仲良くなり、ちょっとずつ自分の気持ちに気付いていき・・・みたいな感じの話。

「どうせ恋愛漫画なんて美男美女の物語だろ?」みたいな考えで読むと全然違う。上野君は美男で間違いないんだが、主人公の田端さんは(読み進めている限り)クラス内で一番のブスだと思う。田端さんと同レベルのブスに描かれているのは田端さんのお母さんくらい。正直、見た目での希望は無い。
見た目もクラスでの立ち位置も全然違う二人だけど、実は二人とも性根からいい奴で、こんな2人が少しずつ接近していくのが・・・非常にやきもきするというか、そこが面白い。

アニメ化は既に決定しているらしいが、声優は誰なんだろう?可愛い声の人にしてしまうと、また話が変わってくるような気がする。
個人的には映画化もあるのでは?と思ったりもするが・・・そのへんのアイドルを黒髪にして前髪降ろさせて眼鏡かけるのだけは絶対違う。見た目で全く評価されない主人公がイケメン男子と少しずつ近づいていくのが面白いのに、主人公を「ブス扱いされてるけどメイクさせれば実は美人」にしてしまうと、この話は根底から崩れてしまうと思う。


以前、「映像研には手を出すな!」という漫画が実写化されたことがあった。

メインは3人の女の子なのだが、このうち一人(山下美月が演じる「水崎ツバメ」)はカリスマ読者モデル。
もちろん、山下美月がカリスマ読者モデルの役をすることには何の文句もないが、となりに齋藤飛鳥がいたら「お前も美人だろ」ってなる。というか、少なくとも私はそう思った。
この作品は、別に主人公がブスとは言っていないハズなのでそこまで問題は無いが、やっぱり違和感は残る。

「ブスに花束を」で言えば、クラスのアイドル鶯谷さんはどれだけ可愛い子がやってもいいけど、田端さんは違う。
クラスのアイドルがいるにもかかわらずブスに心惹かれていくのがこの作品のキモのはずなのに、田端さんのほうも美人にしてしまったら「上野君の好みが鶯谷さんじゃなくて田端さんだったんだね」という話になりかねない。
それをやるなら、別にこの作品である必要はない、と思う。


決まってもいない実写化についての話を述べたせいで色々脇道にそれてしまったが、この漫画は「主人公がブスだからこそ面白い」のだと思う。
私のように「どうせ恋愛漫画ってイケメンと美人がくっつくだけだろ?」なんてひねくれた思考を持つ人にお勧めしたい。

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