【IPOセカンダリー戦略・その2】即金規制明け狙い

IPOセカンダリー戦略の基本的なパターンをいくつか紹介していきたいと思います。その2はIPOでは初値高騰銘柄で起きる初日で初値が付かず2日目以降に初値が持ち越しというパターンのIPOでの戦略です。

このパターンでは「即金規制」という状態に入りますので、需給面で歪みや生じやすくそこを狙った短期売買の成功確率が上る可能性があります。

パターンの戦略を考える上で、まずは「即金規制(即日現金徴収規制)」をしっかり理解しておく必要がありますので最初に説明します。

即日現金徴収規制とは、新規上場銘柄が上場初日に値段がつかなかった場合などに、相場の過熱を抑えるために実施される規制です。

通常、株式取引では約定日から起算して3営業日目に決済されるため、受渡未到来の売却代金を買付けに充てられますが、即日現金徴収規制が実施されると受渡しが完了している資金が必要になります。

マネックス証券のQ&Aより

証券会社で買付余力とは、例えば持ち株を売却すればすぐに余力として次の売買に使えますが、実際は3営業日目に決済されます。即日現金徴収規制はそのお金は使えませんよということです。例えばIPOセカンダリーで勝負しようとして100万円現金余力があるとして、初値が付いて50万分買ってすぐに売ったとしても、もう50万円分は即金規制のため、その日のその銘柄の売買では使えません。(それぐらい買いのパワーを規制で抑えているということです)

またいくつかの取引規制があり

  • 現物成行買い注文の禁止(株価押し上げ要因になるため)

  • 制度信用取引の新規建注文禁止

  • 一般信用の新規買建禁止

と信用取引での買い注文や、成行注文もできないので、買いでインするなら指値で注文する必要があります。

いずれにしても市場の規制で「過剰な過熱感を抑えて株価をそれ以上上げさせない力学」が働きます。逆に言えば、この即金規制が解除されれば、規制で買えなかった力が働きやすいということで、初値が付けば翌日に即金規制が解除されるので、そこを狙ったセカンダリー戦略というのが今回紹介するパターンです。

即金規制の狙い目というか歪みが出る部分は3つあります。順を追って紹介します。

「1つ目:即金規制明けで溜まった買いエネルギーに普通に乗る」

最も単純な考え方です。市場の規制によって初値や、初値以降の初日の買い圧力が抑えられているわけですから、翌日以降即金規制明けで売買が通常活性化します。

IPOがとにかく好調なときは、超期待IPOでは何連騰もしますので普通に売買の波に乗るという方法です。買いのタイミングは初日の株価が抑えられている状況の時に、そのIPOが有望だと判断すれば買い、そして2~3日程度過熱して高騰すれば十分として売ればいいでしょう。

最も単純な考え方の方法ですが、正直なところ「有望なIPO」なんてごく僅かですので、数年に1度ぐらいレベルでヒットするぐらいの感覚で見ておいたほうが良いでしょう。

この単純な方法は一応ということで書きましたし、セカンダリー勢が期待してよく取る行動ですが、多くは失敗するぐらいの感覚で見ておきましょう。参加しているセカンダリー勢も何度も失敗しても損切りが速く、損小利大で頑張っているように見えます。

「2つ目:翌日即金規制明けの買いを期待して買い、翌日の規制明けで売り」

こちらは超短期で分かりやすいパターンです。1つ目の手法で書いたように即金規制明け(初値が付いた翌日)では買いが入りやすくなるので買い圧力が強くなるのが予測されます。ですので、初日の引け前までに即日現金でも買える有利な部分で勝負するという方法です。

この方法は実際多くの人がセカンダリー作戦で取っていると見られますので、即金規制に入ったIPOでは初日の14時半~引け前までに、即金規制明けを狙った買いがよく入ります

しかし、この方法は初日の値動きをよく見るセンスが必要になります。初日が明らかに即金規制の影響で買いが少なく、値動きで苦しんでいる時に使いたい作戦になります。

例えばになりますが、出来高を見て公募売出し総数の他、ロックアップのかかってない既存株主の売り玉の数も調べておいて、十分売買をこなしている上でまだ買いが少ないと感じられる場合は、即金規制明けの買いパワーが活きてきます。逆に、まだ揉み合ってなくて売り玉が相当数残っている場合は、即金規制明けの買いがあっても、売りのほうが強く翌日の伸びが期待しづらいです。

この方法を使う場合は「公募売出し総数(公募組の売り玉)」「残り売り玉の総数(既存株主)」「初日の出来高」の3つを見て、即金規制ながら十分売買をこなしているという時に使いましょう。

「出来高÷売り総数」の回転を数字で取っておいて、その後の値動きがどうだったかをデータ化しておくと、どの程度の回転力があれば入って良いのか判断が付きやすいです。

「3つ目:即金規制明け狙いの買いを期待した、先回り買い引け売り」


3つ目の手法は、さらに一つ前の先回り買いです。即金規制に入っているIPOでは先の2つの方法で買いが入りやすい状況になっているので、その買いが入ることを期待して、先回りして買う方法です。

この方法の狙い方は初値が期待以上に高騰して、その後下げてしまった時に使える手法です。特に初値天井タイプで、後場の14時前までに勢いをなくしてしまった時に使えると言えるでしょう。

比較的一番簡単に入りやすい方法になりますが、その分、しっかりと初日の引けには手仕舞いしたい手法です。値幅はそれほど取れませんので、単打ヒットで成功打率を上げていく方法ですね。

2つ目で挙げた即金規制明けの買いはだいたい14時半~引け前に動意づくことが多いですので、その前の段階で買いの判断をしたい手法ですね。


即金規制明け狙いの手法は、市場規制による買い圧力が抑えられていることを理由に狙うセカンダリー手法になります。

重要なデータとしては「出来高÷売り総数」の回転力になるでしょう。

買い圧力が抑えられているにも関わらず、十分な売買をこなしているか?というのが即金規制明け以降の株価の変動の重要な指標になります。

IPOでは即金規制に入る(初値が2日目以降に持ち越しになる)銘柄がたくさんありますので、その銘柄の初日の出来高と翌日以降の株価の動きをしっかりデータベース(パターン)として残しておくと、即金規制明け戦略で入るべきかが掴みやすいでしょう。

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