飛べない烏の話


私は文を書く作家でも詩人でも
小説家でもないのに
最近は自分の言葉やぐっときた言葉を
またノートに書き留める日々を
送っている。

本来ならばこの週末
わたしはスマホの画面と向き合うことは
無いに等しいのだけれど
雁字搦めに絡まった棘のない有刺鉄線に
締め付けられた心臓が
早く楽にしてくれと言わんばかりに
どんどんと脈を打つ。

今度、本を買いに出かけよう。
紙の本を。

今日は映画を2本観たし
久しぶりに絵も描いた。
なんならこの波に乗りこの後小説も
読んでしまおう。

実は、ここだけの話だが絵を描くのは久しぶりだ。私は筆が進まないなら描く必要はないというタイプの絵描きだから描きたいという欲求が湧いた時にのみ紙とペンを握る。
だから数ヶ月描かないなんてザラだし数ヶ月描き続けることもよくある。
絵には自分の感情が如実に表れる。と私は思っている。少なくとも私はそういうタイプの絵描きだ。

真っ白なキャンバスが沢山ある私の自室で今日選ばれたキャンバスは段ボール色のものだった。段ボール色の土台に描く時、大抵心には高い波が。周りのことなんか一切合切気にしないで全てを攫う獣が息を荒げている。

4枚の絵を描いた。
人様に見せるような出来ではない。
けれど、日の目を浴びないものだからこそ
きっとこの子の舞台は来月のあの場所だ。

ぐつぐつと温まる温度が
まだ手でも触ることのできる状態であるからわたしはきっと普段身につけている華奢で高価なネックレスじゃなくてシドヴィシャスよろしく学生の頃徐に手にした有刺鉄線のネックレスを身につけると思う。

乱暴に書き殴った言葉でさえ
いまの私の痛みを和らげるのであれば
鋭利な凶器なんて怠惰な狂気なんて
要らないのにどうせまた明日は
変わらずやってくるのだろう。


今日は沢山の花を咲かせた。
折れた麒麟の首を眺めた。


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