1374の話


昔から強くて、弱くて、魅力的な人だったよね。誰よりも弱い自分を誇らしく思っている。

漫画の登場人物に例えるならきっと
エリザベスが似合う。
ヒールを鳴らしながら剣を振るうしかなかった。

仕方がなかった。轢かれたレールを歩いているわけじゃない人生だけど、何からかわからないものに縛られる生き方だった。
自分で自分の首を絞めていることに気づいていながらもその泥沼の中を泳ぐしかない。

私は酸素をあげたかった。
私が君の酸素になりたかった。
君の代わりに溺れたかった。

生憎私は泳げなくて。

煙草の煙が薄く開いた唇から漏れる度に
不幸ごと君の中から出て行ってしまえばいいと
何度思ったか。

君が震える度に私は君を抱き締めた。
私に君の涙を止める手段は持ち合わせていないけれど君の震える肩を包むことは出来るよ。

誰よりも遠くて誰よりも傍に君のことを守りたい。君が私の前からいなくなってしまっても私は君のことを守り続けるから。

ずっと、君の「大丈夫」になる。

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