【読書記録】〝Aではない君と〟薬丸岳 著
みなさんこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
人性のB面に入ってから読書に目覚めたオヤジ、タルシル📖ヨムノスキーです。
毎日報道されるたくさんの悲惨な事件のニュースを見る時、大抵の人は「もし自分が、または自分の家族が被害者だったら」というふうに考えるだろうと思います。もちろん私もその一人です。
しかし、物事に絶対というのは絶対ないわけで、ある日突然加害者(冤罪含め)、または加害者の関係者になってしまうことがあるかもしれません。
最近読み終えた物語は、「もし、自分の子供が人を殺してしまったら、親としてどう向き合っていくべきか」というテーマのものでした。
以前読んだ東野圭吾さんの〝手紙〟は、強盗殺人犯の弟が主人公の物語で、これはこれでとても考えさせられる物語でしたが、〝Aではない君と〟の加害者は14歳の少年。主人公はその父親の吉永です。
吉永は、数年前に離婚し、仕事も私生活も充実していて、子供とは数ヶ月に一度しか会っていないという状況。
息子の事件が知れ渡り、恋人には別れを切り出され、会社では左遷。
事件を起こした息子は、逮捕されても何も語ろうとしない。
吉永は事件の真相を解明するために自ら「付き添い人(成人の事件で言うところの弁護人的役割の人)になることを選択し、少しずつ息子の気持ちに寄り添っていきます。
私も一応子を持つ父親なので、この物語を読んで、自分は
真っ当な父親だったか?
子供たちの話に耳を傾けたか?
子供たちが発するSOSに気づけたか?
etc
そして、改めて「親」とは何かを考えさせられました。
物語の中で吉永の父親は語ります。
…この言葉は本当にドキッとしました。
なぜなら、恥ずかしいことに私はまず先に、物事の良し悪しを考える人間だったので。いや、今でもそうかもしれません。「良し悪し」というか、どうしても「周りにどう見られているか」が気になってしまう。だから子供たちを叱るときもつい言ってしまうんです「他人に迷惑をかけるな」と。
…子供たちはだいぶ嫌な思いをしたんだろうなぁ。
さて、気を取り直して。
物語では大きな問いが投げかけられます。
これはまた答えに詰まる問いです。
私も即答できる自信はありません。
これを読んでいて、直接繋がりはないかもしれませんが、昔ある深夜の討論番組で、確か学生が発した「なぜ、人を殺してはいけないのか?」という質問に、えらい学者先生やコメンテーターが誰も答えられなかったというエピソードを思い出しました。
物語ではこの難問に対して吉永が一つの答えを提示してくれています。
とにかく、親として、人としてとても考えさせられる内容の物語でした。そして、自分の至らなさを思い知らされる、私にとってはかなり辛い物語でした。
しかし、何気ない場面の、何気ない一文が、そんな私の心を引っ張り上げてくれました。
この言葉を、今、子育てに悩んでいるパパ・ママに贈ります。
それは、弁護士神崎家の家訓
あぁ、この物語に出会えてよかった。
最後に
読書っていいよね!
【この記事で紹介した本】
タイトル:Aではない君と
著者:薬丸岳
出版社:講談社
レーベル:講談社文庫
ページ数:464
解説:西上心太(文芸評論家)
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