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【読書記録】〝ウェルカム・ホーム!〟丸山正樹

 みなさんこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
 人性のB面に入ってから読書に目覚めたオヤジ、タルシル・ヨムノスキーです。

 一冊読み終えましたのでご紹介します。
 今回ご紹介する本は、丸山正樹さんの〝ウェルカム・ホーム!〟です。

【あらすじ】
 大森康介は新米介護士。特別養護老人ホーム「まほろば園」で働き始めたものの、便臭にはまだ慣れることができない。しかも認知症の人、言葉が不明瞭な人相手の仕事は毎日が謎解きだ。認知症の登志子さんが一度だけ食欲を取り戻したのはなぜ? 口に麻痺のある當間(とうま)さんが言う暗号「アアイオウエ」の意味は? その答えにたどり着いた康介は、この仕事の面白さにちょっとだけ気づき……。
幻冬社ホームページより


 まず目を引くのはこの物語の主人公が高齢者施設の介護スタッフであるということ。
 今まで何冊か認知症介護や高齢者福祉をテーマに据えた物語を読んできましたが、主人公といえば医師や看護師という治療者目線か、家族などの介護者目線、そして当事者目線の物語がほとんどでした。しかしこの物語の主人公は先にも書いたように高齢者施設の新人介護スタッフ。しかも使命感に胸を膨らませて就職してきたわけではなく、一般企業に派遣社員として就職したものの派遣切りにあい、休職中にとりあえず介護士の資格を取って施設に就職したという。これはなかなか新しいリアルな視点だと感じました。

 いわゆる3Kと称される職場に悪戦苦闘する主人公の大森くん。高校時代の同窓会に行っても自分が介護の仕事をしていることを言い出せず、同級生の「俺も仕事がないから介護でもやろうかなぁ」という言葉にひどく傷つき、何も言い返せずに自己嫌悪に陥ります。

 就職したばかりの頃は何度も退職を考えた大森くんでしたが、先輩の叱咤激励もありなんとかその日その日をこなしていくうちに徐々に仕事を覚え、ある日、認知症の入居者の不可解な行動や、言葉が不自由な入居者の言っていることの意味が少しずつわかるようになってきて、介護という仕事の面白さややりがいに気がついていきます。

 そう、コレ大事です。
 ちょっとお説教臭くなってしまうけれど、介護業界に限らず最近は就職しても2〜3日であっという間に辞めてしまう人って結構多いようです。
 辞める方にもそれなりの理由はあるのでしょうけれど、こっちにしてみれば「おいおい、まだ仕事のこと何も教えてないじゃん!」って思ってしまいます。「石の上にも3年」という諺がありますが、まぁ3年は長いにしても、どんな仕事でも一通りのことを覚えるまでには、最低でも3ヶ月くらいはかかります。せめてそのくらいはその仕事と真剣に向き合ってみてもいいのではないかと思います。

 とてもポップな書影で、一見した感じではコメディ色が強いエンタメ小説かと思うかもしれませんが、読んでいくと、施設における夜間ワンオペ介護や、外国人介護者の受け入れ、入居者と家族との親子関係、大災害時の避難など、たくさんの課題が織り込まれていて、それについて全部書いてしまうと、とてつもなく長い文章になってしまいそう(本当はうまくまとめられないだけ)なので触れないでおきますが、「介護」という問題が目の前に迫ってきている世代としてはとても考えさせられる物語でした。

 介護業界に興味がある人、介護業界で働く人は一読の価値ありの一冊だと思います。

 興味のある方は是非!

 最後に、
 「読書っていいよね!」


【この記事でご紹介した本】
タイトル:ウェルカム・ホーム!
著者:丸山正樹
出版社:幻冬社
ページ数:312

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