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【読書記録】2024年5月26日〜6月1日

 みなさんこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
 人生のB面に入ってから読書に目覚めたオヤジ、タルシル📖ヨムノスキーです。

 いよいよというか、とうとうというか、あっという間に6月。
 先週もちらっと書きましたが、今月は推し作家さんの本が出るわ出るわ。
 ざっとリストアップしてみるとこんな感じ。

6月7日
 雨夜の星たち/寺地はるな 徳間書店
6月11日
 繭の季節が始まる/福田和代 光文社
6月12日
 俺ではない炎上/浅倉秋成 双葉社
 新・本所おけら長屋(一)/畠山健二 祥伝社
6月13日
 オオルリ流星群/伊与原新 KADOKAWA
 かぞえきれない星の、その次の星/重松清 KADOKAWA
 闇祓/辻村深月 KADOKAWA
6月20日
 塞王の楯(上・下)/今村翔吾 集英社
 ブレイクニュース/薬丸岳 集英社

 夏の文庫フェアが控えているので、できるだけ出費は抑えたいところなのですが…。 
 うーん、悩む。
 これってとっても贅沢な悩みなのでは。

 ということで、いつもの通り今週出会った本たちをご紹介します。

【2024年5月26日〜6月1日に出会った本たち】

⚪️氷獄

著者 海堂尊

【内容紹介】
 新人弁護士・日高正義が初めて担当する事件は、2年前、手術室での殺人事件として世を震撼させた「バチスタ・スキャンダル」だった。被疑者の黙秘に苦戦し、死刑に追い込めない検察。弁護をも拒み続ける被疑者に日高正義は、ある提案を持ち掛けた。こうして2人は、被疑者の死刑と引き換えに、それぞれの戦いを開始する――。(「氷獄」)

出版書誌データベースより

【感想】
 「バチスタ」シリーズの謎の部分を解明する短編集。
 〝双生〟は1994年、桜宮姉妹が東城医大の田口先生の下で研修していた頃の話で、姉妹の性格の差が明確に。
 〝星宿〟は2007年冬で〝ナイチンゲール…〟の後。シリーズ全体の中でもかなりグッとくる話。
 〝黎明〟は2012年で、東城医大の12階に新たにホスピスができて一悶着。末期患者には現実を受け入れさせるべきか、希望を持たせるべきかという難しい話。
 最終話の〝氷獄〟。コレは「バチスタ」の加害者・氷室の話と極北で逮捕された三枝医師の裁判の行方を描いたもので、意外なところで東日本大震災が絡んできてびっくり。読み応え抜群。

⚪️モルフェウスの領域

著者 海堂尊

【内容紹介】
 日比野涼子は未来医学探究センターで、「コールドスリープ」技術により眠りにつく少年の生命維持を担当している。少年が目覚める際に重大な問題が発生することに気づいた涼子は、彼を守るための戦いを開始する……。

出版書誌データベースより

【感想】
 2010年、コールドスリープが法律で認められ、ひとりの少年が5年間の眠りにつく。その少年の名は佐々木アツシ。そう〝ナイチンゲール…〟のあの少年であります!
 桜宮市のAiセンター跡地にできた未来医学探求センターで眠るアツシの生命維持業務を担う日比野涼子は、覚醒後のアツシの人権に対する重大な問題に気づく。
 それから5年が過ぎ目覚めたアツシは両親が離婚したことを知る。
 身寄りのないアツシに待ち受ける過酷な運命とは!?
 SF的な設定に倫理問題などが絡み思った以上に内容は複雑。
 涼子に人としての生き方を叩き込んだのは多分〝ブラックぺアン〟のあの人。

⚪️アクアマリンの神殿

著者 海堂尊

【内容紹介】
 未来医学探究センターで暮らす佐々木アツシは、真実を隠して中学生活を送っていた。彼の業務は、センターで眠る、ある女性を見守ること。だが彼女の目覚めが近づくにつれ、少年は重大な決断を迫られる――。

出版書誌データベースより

【感想】
 〝モルフェウスの領域〟の続編。
 前作とは異なりアツシの学園生活が描かれます。
 これがまたなんともハチャメチャで実に面白い。
 特にドロン同盟の4人のやり取りが軽妙で馬鹿馬鹿しくて思わずニヤリ。でもそれだけではなくて、アツシは究極の選択を迫られるし、アツシと同い年で病院に入院していた佳菜ちゃんのエピソードは本当に切ない。
 この物語ではアツシが生きる目的を見つけ、夢に向かって新たな一歩を踏み出すものの、あの人が目覚めるところまでは描かれずに終わる。
 残念だったのはアツシと瑞人兄ちゃんとの再会シーンがなかったこと。

⚪️医学のたまご

著者 海堂尊

【内容紹介】
 曾根崎薫、14歳。桜宮中学に通う、ごくフツーの中学生の彼が、ひょんなことから「日本一の天才少年」となり、東城大学の医学部で医学の研究をすることに!?冷や汗と緊張の連続の中、ある検体をPCRで分析したところ、思いもよらぬ大発見をしてしまい教授も研究室も大騒ぎ。学級委員の美智子、ガリ勉メガネの三田村、ガキ大将のヘラ沼と「チーム曾根崎」を結成して事態を乗り切ろうとするが、大学病院と医学研究の不正に直面して……。お調子者のカオルの決意が、あなたの胸に勇気と希望の火を灯す。賑やかで爽やかな医学ミステリ!

出版書誌データベースより

【感想】
 〝アクアマリンの神殿〟から繋がる物語。
 主人公は曾根崎薫。そう〝ジーン・ワルツ〟の双子の片方で、お父さんのステルス伸一郎に引き取られた方。
 薫はある試験の成績が日本一だったため東城医大の研究生となる。ただコレには仕掛けというか理由があって…。
 同じ研究室の先輩・佐々木アツシのような天才ではなく実はごく普通の中学生。だからなのか最初は薫にあまり魅力を感じなかったのですが、大人の汚い部分に触れて、心が折れそうになりながらも、父親や同級生、そして良識ある大人に支えられ、自分の進むべき道を見つけていく姿に胸が熱くなりました。

⚪️医学のひよこ

著書 海堂尊

【内容紹介】
 ことから東城大医学部に通うことになった、生物オタクの中学3年生・曾根崎薫。仲間たちと洞穴を探検していると見たこともない巨大な「たまご」を発見する。大事に育てようとする薫たちの前に立ちはだかったのは、動物実験を目論む研究者と日本政府だった。薫たちは、おとなたちの謀略から大切なモノを守り切れるのか?<いのち>を巡る大冒険医療小説!

出版書誌データベースより

【感想】
 〝医学のたまご〟の続編。
 この物語はチーム曾根崎の4人が未知の生物の卵を見つけるところから始まり、生まれた人間のような生物を守ろうとする子どもたちと、研究やその他の目的に利用しようとする大人たちの戦いの幕があがるところで終わる。
 確かにこの事件は大事なんだけれど、続けて桜宮サーガを読んできた者としては薫くんと忍ちゃん、そして理恵先生とみどりさんが対面したというのが同じくらい大事件でした。しかもさりげなく牧村くんや小夜さんまで出てるし。
 ところで、今理恵先生が付き合ってる人ってまさか清川先生とか?

⚪️医学のつばさ

著者 海堂尊

【内容紹介】
 東城大医学部に通う中学三年生の曾根崎薫は、クラス委員の進藤美智子、ガキ大将の平沼雄介、医学部を目指すガリ勉の三田村優一ら同級生たちと、洞穴の中でみたこともない巨大な「たまご」を発見する。薫たちは孵化した謎の生物に〈いのち〉と名付け育てようとするが、動物実験の材料にしようとする文科省に囚われてしまう。〈いのち〉の奪還を試みる薫たちだったが、やがてある医療をめぐる壮大な陰謀が明るみになり、米国政府をも巻き込む巨大な騒動に発展していく……。

出版書誌データベースより

【感想】
 読んでる途中で、そうか〝アクアマリン…〟の結末はそうだったのかとため息を一つ。
 とにかくまず言えることは、このシリーズ3作品を読んだだけでは、本当の面白さはわからないということ。なにせ「桜宮サーガ未来編」ですから、過去とのつながりが大事。
 日本の上層部やアメリカの関与についてはかなりざっくりで、この辺りがジュニア向けといえば納得もできる。まぁマスコミ批判はしっかりしてるけど。
 「桜宮サーガSFパート」として今後どう展開していくのかが楽しみ。
 最後に語られる最先端医学を研究している科学者の以下の言葉が身に沁みます。

最先端医学を研究している著名な科学者はこう言っている。『最良の防衛策は規制ではなく、すべての科学を公開する仕組みを作ることだ。そうすれば人々は研究全体を眺め、何が起きているかを把握し、科学者が危険なことをしようとしている時は警告する。何をしているかわからなければ要望もできない』とね。

本文より

⚪️夢見る黄金地球儀

著者 海堂尊

【内容紹介】
 トラブル招聘体質の平介の元を訪れた旧友が、無謀な計画を持ち込んだ。行き当たりばったりの計画と町工場の技術を駆使した黄金地球儀強奪作戦の行方は? 待望の文庫化!

Amazon書誌情報より

【感想】
 桜宮サーガのスピンオフ作品。
 ちなみに田口、白鳥、高階といったいつものメンバーは登場しません。
 出てくるのは4Sエージェンシーの牧村と小夜、そして玉村警部補。
 時代は2013年。主人公は〝医学のたまご〟シリーズでも登場したヘラ沼くんの父親・平助と祖父で発明王(?)の豪助。
 シリーズでちょくちょく登場していた「ふるさと創生一億円」事業で作られた黄金地球儀をめぐる話。
 ガラスのジョーとかいうヘンテコな人物が登場し、いつもの作品とは違ってコメディ色がかなり強い印象。なんとなく伊坂幸太郎さん風味を感じたのは私だけだろうか?

⚪️コロナ黙示録

著者 海堂尊

【内容紹介】
 豪華クルーズ船内で新型コロナウイルスのパンデミックが発生。政府の対応が後手に回る中、厚労省技官・白鳥の差配でクルーズ船の感染者を東城大学医学部付属病院で引き受けることになり、不定愁訴外来の田口医師が対策本部長に任命された。一方、北海道の雪見市救命救急センターでもクラスターが起こり、センター長の速水たちも濃厚接触者に……。混乱する社会状況に彼らはどう立ち向かうのか!?

出版書誌データベースより

【感想】
 桜宮サーガ「コロナ編」の1冊目。
 2019年秋のコロナ発生から、豪華客船での隔離、緊急事態宣言、学校の休校、1家庭2枚のマスク配布などのいわゆるコロナ騒動に加え、花見とか国有地払い下げ問題など当時の政権というか首相が抱えていたスキャンダラスな出来事を漏れなく取り込んだ感じ。
 医療パートではどんどん感染者が増えていく中での現場の混乱がリアルに描かれます。特にトリアージの問題、この物語では医療資源が限られる中で「70代無職の高齢女性」と「25歳の研修医」が感染した場合、どちらの治療を優先するかといった究極の選択が突きつけられます。あなたが医療関係者だったら、はたまた患者家族だったらどっちを選びます?

【まとまらないまとめ

 いかがでしたか。
 「桜宮サーガ」もいよいよ大詰め。
 トータルで29タイトル36冊を読み終え、残るはコロナ編の2冊を残すのみ。長いようであっという間のひと月、なんだか一人で盛り上がって、この記事だけ読んだら何を言ってるのかわからないかも。とにかく「面白いってことだけ伝わればいいか」と開き直ってみたり。
 今週主に手に取ったのはいわゆる「田口・白鳥シリーズ」ではなくて、コールドスリープや未知の生物と遭遇するといったSFテイストの物語たち。
 特に驚いたのは〝モルフェウスの領域〟が生まれた経緯。
 この物語には、2007年が舞台の〝ナイチンゲールの沈黙〟と2022年が舞台の〝医学のたまご〟の両方に登場する「佐々木アツシ」という人物がいるのですが、この2作品で年齢に矛盾が生じていることを読者に指摘された海堂さんが、その辻褄を合わせるために書いた物語だとか。
 この矛盾を見つけた読者さんもすごいけれど、それを解消するために物語を1本、いや続編もあるから2本書いてしまう海堂さんってすごい!

 さーて、桜宮サーガの次は、何を読もうかな。

最後に
 読書っていいよね。


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