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週刊ユグド通信Vol.80『王都陥落と十七聖騎士団』

 チェンクロ本編の前日譚である王都陥落。ユグド大陸の盟主だった聖王は聖王国最強を誇る十七聖騎士団を率い二度の決戦に挑み、最後は黒の王に肉薄しますが不意を突いた魔神の奇襲に倒れました。

 これだけ聞けば十七の大軍団を率い団長に檄を飛ばす姿が想像されそうですが、実際に前線に出撃した聖騎士団は半分にも満たなかったことをご存知ですか?
「そんなバカな! 王国存亡の危機に何故出し惜しみを!?」と思われそうですが、今回は王都陥落から第一次王都奪還作戦に参加したであろう聖騎士団を考察検証したいと思います。


1.十七聖騎士団とはなんぞや?

 聖王国の教本によれば聖王国で奉られている十七聖人が聖王国を平定する際に集った十七の騎士団が由来とされています。(この説自体は後年に生み出された俗説とされています)それでは十七聖騎士団の役割と序列を簡単に解説します。

・【第一位】聖剣騎士団

 聖剣を管理する聖王国最強の部隊。聖剣騎士団の団長は聖騎士団総帥も兼任。過去には聖王専属の護衛『剣聖』も多く排出してきた。

・【第二位】聖血騎士団

 王位継承者である聖王家の護衛に特化した部隊。全聖騎士団で最も小所帯。(それでも数十人はいる模様)

・【第三位】聖域騎士団

 聖都の守護を担う部隊で拠点防衛に関しては全聖騎士団随一の実力を誇る。

・【第四位】聖戦騎士団

 全聖騎士団中最強の突破力を持つ突撃部隊。戦場の一番槍や殿を務めることが多い。

・【第五位】聖典騎士団

 式典警護と聖典の発掘研究を主任務とする部隊。

・【第六位】聖光騎士団

 防御や腕力に長けた重騎士団と思われるが詳細不明。

・【第七位】聖鉄鎖騎士団

 元々は異端者を捕える罪人護送部隊。

・【第八位】聖杯騎士団

 聖杯の守護、探索を主任務とする部隊だが、聖王国の聖杯は失われて久しい。

・【第九位】聖刻騎士団

 部隊全体が異邦人で占められた外人部隊。

・【第十位】聖廟騎士団

 聖王家の墓所である聖人廟を警護する部隊。

・【第十一位】聖鵬騎士団

 馬上から鳥を使役する遊撃部隊。偵察、撹乱、陽動を得意とする。聖血に次ぐ小所帯。

・【第十二位】聖槍騎士団

 聖槍と呼ばれる三又の槍をシンボルとする重騎士と海兵の混成部隊。海上や砂浜での戦闘に秀でている。

・【第十三位】聖箴騎士団

 聖王国の耳目とされるので諜報が専門と思われるが詳細は不明。

・【第十四位】聖供騎士団

 聖騎士団の兵站を担う補給部隊。戦闘はあまり得意ではないが騎士団諸派に匹敵する程度には戦える。全聖騎士団最大の兵員を抱える。

・【第十五位】聖楽騎士団

 式典での演奏、慰問を担う団員全員が楽器を扱う楽団部隊。

・【第十六位】聖隷騎士団

 暗殺、諜報、要人警護を秘密裏に担う聖騎士団の汚れ役。

・【第十七位】聖輪騎士団

 士官学校の訓練生で構成された部隊。教官(幹部)には剣術指南級の古強者が居並ぶ。

2.最前線に出せなかった訳

 如何に十七聖騎士団と言えど戦闘に不向きの部隊があるのが分かりますね。まず序列十一位以下は元々戦闘以外の役割に特化した部隊です。第十七位【聖輪】や第十四位【聖供】と第十五位【聖楽】は元々戦闘不向き、第十三位【聖箴】と第十六位【聖隷】は普段公の場に現れること自体稀になります。第十一位【聖鵬】は偵察や遊撃には参加したかもしれませんが前線は支えきれません。第十二位【聖槍】は海軍なので平原では真価を発揮出来ませんし湖都や九領への牽制(※)を考えれば無闇に動かせません。

 では序列十位以上の部隊は全て前線に投入したのでしょうか? これも無理でしょう。第二位【聖血】は元々要人警護専門。そうでなくとも目を離したら前線に飛び出しかねないユリアナ王女に目を光らせる必要があります。しかも第八位【聖杯】は当時団長のオルドレード卿の野心で解体されています。

(※)九領筆頭のシュザなら混乱に乗じて戦を仕掛かねません。実際第二部の後日に断念した描写も…

3.出撃したのは幾つ?

 結局十七聖騎士団と言っても実際に前線に出たのは最大で八軍団。しかも第十位【聖廟】の先代団長は無策な特攻を部下に命じていたことが新団長シンフォニアのクエストで語られています。一方当時の第五位【聖典】の団長はお人好しだったとしか言われていませんので少なくとも前線で指揮を執れる人物ではありませんね。そんな訳で最大八軍団で指揮の低い部隊もあるという有り様になります。

4.そして多くの団長が亡くなった

 まず王都防衛戦で【聖剣】のユーゼルと【聖域】【聖戦】【聖光】の団長が亡くなったことが『1,300万DL記念クエスト』で語られています。当時は将に過ぎなかったイルヘルミナも後に団長に昇格していることから聖鉄鎖の団長も『第一次王都奪還作戦』で亡くなったのでしょう。また【聖刻】のパメラスも義勇軍が出会った当時は部下の扱いに四苦八苦していたことから先の戦で先代が戦死した可能性があります。

5.聖騎士団再編

 当時の状況が如何に深刻だったかは聖騎士団一の素行の悪さを誇るイルヘルミナの大抜擢が分かりやすいですがもう一人大抜擢があります。それが聖光団長のリフレット、彼女と聖典のローエンディアが聖騎士団に入った事情は『聖都外伝』で語られていますが、一般的に庶民向けの騎士養成所を出て聖騎士団の団長になった例はありません。それほどまでに聖光騎士団は壊滅状態だったのでしょう。

6.聖騎士団の現在

 ユリアナの采配で無能な団長とお飾り貴族騎士の大半は名誉職への異動が完了。それもあって現在の聖騎士団は先代の頃以上に実戦的な組織に生まれ変わりました。そういう意味では伝説の剣ランスバーンのような個人の強さを別とすれば、今の聖騎士団は歴代最強と言っても過言ではないでしょう。

今回は以上となります。

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