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チェンクロ課外活動25【セレステとC計画②】

 前回の話でセレステを取り巻く人達の話は一通りやりましたので今回はいよいよセレステとアゼロが誕生したプロジェクトの全容を解説したいと思います。解説の都合上説明が被る箇所が複数あることと憶測で話を盛っている点があることはご了承下さい。

1.セレステ誕生

1.発端

現在のユグドとは異なる高度な科学文明の発達した世界に一人の工学博士の男がいました。
ある日男は先輩研究者の老人から「世界が終わる」という耳を疑う話を聞かされます。
老人は度重なる災害こそ世界の終わりの前兆であること、自身は統合政府の要請で危機対処に当たるので協力してほしいとの旨を伝えました。
男は半信半疑ながら凍結されてしまった人工知能研究を再開させて貰えるという条件を呑んでプロジェクトへの参加を決意します。

2.始動

 統合政府主導の下『A計画』が始動しました。
『A計画』とはヒトが生み出した人工知能に世界再生の手段を託すというもの。男は人口知能に行動制限を強制される手段に対する反発を危惧しました。
やがて男の予感は的中。反対派による破壊工作によって立案者の一人である老人は亡くなり政府は急遽『A計画』を凍結。新しい環境改造システムを主体とした『B計画』が始動します。
男は不安材料の多い『B計画』から距離を置き、独自に『C計画』を立ち上げることとなります。

3.混迷

『B計画』が暗礁に乗り上げ世界が本格的に危機感を抱き始めた頃『D計画』『E計画』が進行する中、男(博士)の『C計画』も佳境を迎えていました。遂に『C計画』の要であるC-1(後のセレステ)に自我が目覚めたのです。しかし安心も束の間、政府主導のあらゆるプロジェクトを敵視する反対派の活動も活発化し一民間研究機関に過ぎない博士の研究所も襲撃対象とされ狙われ続けました。博士は『A計画』で生まれたアゼロの統括機能をC-1に応用し警備システムを起動、侵入者を撃退しつつ研究を続けることとなります。

4.崩壊

『D計画』は頓挫『E計画』の進行も芳しくない中、政府は『C計画』に最後の希望を託します。
ところが『D計画』凍結反対派のテロにより世界崩壊は急加速。半年以内の滅亡が確定的になりました。博士は移民船にセレステと妹達(C-2ビオレータ、C-3ナランハ)を乗せて脱出させる計画を実行に移します。
彼女達を乗せた移民船『方舟』は星系を脱出。
その先如何なる旅路を巡ったかは定かではありませんが、方舟は滅亡世界を脱出したユグドの人々を発見。C計画の使命に従い人々を救済することとなります。

以上がC計画を含む世界再生計画の全貌になります。
この後セレステは妹達と共に魔物から人々を守りつつ、ユグド大陸北西の地にバイオプラント(世界樹)を設置。そこはやがて精霊島と呼ばれるようになり現在に至りますね。そしてセレステ達姉妹は『空の女神』『原初の子』と崇められ人々を導くこととなります。
世界樹の力でユグド大陸にはマナが満ち、世界樹の種子とクロニクルが生まれました。人々は世界樹の種子を携え外海へと進出。人々の生活が安定した時点でセレステ達は長い眠りに入ります。

2.世界再生計画

正式名称は不明ですが世界滅亡の危機に際しセレステが生まれた世界の統合政府が打ち出した『A計画』を始めとするプロジェクトをここでは便宜上世界再生計画と呼ぶことにします。

世界再生計画の核は本来『A計画』だったのですが、反対派工作員によるテロにより立案者の一人である老人が亡くなりプロジェクトが凍結されてしまいます。
この後多くの研究者は『B計画』へ移籍するのですが博士(※)は『B計画』の脆弱性を危惧し独自のプロジェクトを立ち上げ『C計画』と命名します。
一方『B計画』の研究が行き詰まる中、新たに立ち上げられたのが『D計画』と『E計画』。ここでは各プロジェクトの詳細について解説したいと思います。

(※)セレステの生みの親

【裁定者の判断を仰ぐA計画】

『A計画』とは人類の叡智を結集した公正で中立な人工知能アゼロに世界滅亡を回避する為の手段を判断させます。人類はその判断に従って世界滅亡を回避すべく行動しなければなりません。しかしその為には人々が人工知能の指示に従い合理的に行動することが求められます。当然個人の自由や権利は著しく制限されることとなります。この計画が実行に移された頃は災害が多発する等の世界滅亡への兆候は確かにありましたが、それは研究者レベルの話であり人口知能の支配下に置かれることを危惧した反対派のテロにより計画は凍結されてしまいます。

この時政府関係者も研究者達も気付いてはいませんでしたが、アゼロの自我はここで誕生しました
アゼロの頭脳そのものは老人を始めとするシンクタンクが完成させましたが、アゼロを人類に寄り添う存在として心を与えたのが博士になります。

研究が凍結された後アゼロはずっと研究室に放置されたままでした。そんなアゼロに役割を与えたのが偶然にも博士になります。といっても博士はアゼロに人類の導き手を担わせようとした訳ではなくアゼロの管制システムをセレステに導入したのです。
当時のセレステは自我が芽生えたばかりで自立行動が出来るレベルに達していませんでした。
しかしアゼロの基礎構造を流用することで警備システムの稼働に成功。更にセレステを星系から脱出させる際には方舟の管制システムを担わせることで巨大な移民船『方舟』の指揮操縦を一手に担えるブレインとしての機能を果たします。

その後もユグド再生の際にはセレステの参謀として自身の頭脳を遺憾なく発揮することとなるのですが、黒の根源の消滅による輪廻崩壊を世界滅亡の危機と判断。更に白き異形を操る双子の計画を危惧し世界再生に必要最低限の人類だけを救済しようとしてセレステと対立。セレステの権限とボディを奪い自身の使命を全うしようとしましたが、計画は失敗に終わり自身のメモリー(記憶)を全消去しました。
現在のアゼロは博士達に生み出された初期の状態に近いですが、『方舟』に蓄積された情報を共有しており記憶を失う前の自分が何をしでかしたかは、知識としては認識しています。

【根源素修復のB計画】

当初の『B計画』が如何なるものか多くは語られていませんが『A計画』の凍結に伴い政府主導で急遽始動した根源素(ユグドにおけるマナ)を生成することで世界を再生する環境改造プロジェクト。『A計画』に参加した多くの研究者がこの計画に移籍します。これが成功すれば世界を救うことは可能でしたが制御装置の不具合が解消できないまま計画は頓挫しました。
未完成ながらもその集大成は『世界樹システム』として結実。セレステに移植され不毛の大地に過ぎなかったユグド世界を人が生活可能な環境へと変化させました。これが精霊島の世界樹になります。

一見なんら問題なく機能している世界樹ですが、セレステ篇第3章におけるマナ濃度が異様に濃くなる暴走のように全く問題がないという訳ではないようです。

【人類の導き手によるC計画】

『C計画』は博士が長年に渡って研究してきた人と遜色ない人工知能開発の集大成になります。
この研究は倫理観に反するという理由で一度凍結された過去がありますが、先輩老人が自身の参画するプロジェクトの一環として協力を要請。先輩老人が亡くなった後は、その意志を引き継ぐ形で博士が独自に研究を続けたものが『C計画』となります。

やがて『A計画』アゼロの頭脳をベースにブラッシュアップを図ったC-1(後のセレステ)が誕生します。
しかしC-1が生まれた頃は『A計画』が頓挫した頃より治安が悪化。民間の一研究機関に過ぎなかった博士の施設も反対派の標的となり、博士は目覚めたばかりのC-1にアゼロの統括機能を応用した警備システムを移植。施設を死守することとなります。

更に幾年の月日は流れセレステの姉妹機C-2(ビオレータ)とC-3(ナランハ)が完成したものの『B計画』は凍結。『D計画』も暗礁に乗り上げ『E計画』も遅々として進まない中、政府にとって最も実現性のあるプロジェクトが『C計画』になりました。
ところが『D計画』凍結に反対する一部研究者と破壊工作員達がシステムを暴走させ空間異常が発生。
博士は余命半年を宣告された世界から、完成まもないセレステ達を未完成の移民船『方舟』に乗せ星系外に脱出させることとなります。
幸い『方舟』は居住スペースこそありませんが、宇宙航行そのものは可能であったことからセレステ達は生まれ育った星を脱出することとなります。

ある時セレステ達は圧倒的脅威に晒され窮地に陥った人類と一冊の書物で人々を守る少女を発見します。
セレステは少女達を保護フィールド下に避難させましたが、この世界は人類が生活するにはあまりに過酷な環境。セレステはバイオプラント(世界樹)を設置することでこの世界の環境改善を図り人々が自立する為の技術供与を行います。世界樹はこの世界に根を下ろし根源素(マナ)を供給、世界樹の種子を手にした人々は外海へと進出します。人類救済という役目を終えたセレステ達は深い眠りにつきました。

やがて五万年あまりの月日が流れ世界は黒の軍勢に蹂躙されてしまいますが、セレステは新世界に旅立った人々を再び導き続けることとなります。500万と1回目に義勇軍が世界を救うまで…

【次元制御装置開発のD計画】

『D計画』は『B計画』が頓挫した後に始まったプロジェクト。詳細は不明ですが次元制御というお題目から天変地異等を引き起こす要素を人工的に矯正するものと思われます。ところがこの計画は政府より凍結が言い渡されてしまいました。
凍結に反対する研究者の一部は破壊工作員と共に装置を暴走させ世界の寿命を縮める結果となります。
(ここら辺の事情を考察したいのですが、話が長くなるので次回以降に回します)

【移民船団のE計画】

『E計画』とは巨大空間航行船『方舟』を用いて星を脱出するもの。しかし残念ながら世界滅亡に船の完成は間に合いませんでした。
厳密には船が航行する分には支障ありませんでしたが人間が生活する為の基盤となる居住スペースや生命維持装置にまでは手が回らなかったのです。
そこで博士は未完成の船のナビゲーターにアゼロを選定。セレステ達三姉妹を乗せて船は出港する運びとなりました。


『C計画』を始めとしたプロジェクトの全容は以上となりますが、次回は今なら理解可能かもしれないセレステ篇のシナリオ深掘りに挑戦したいと思います。
アゼロやビオレータは何を考えて行動していたのか?
ヴォルクリスがセレステに残したもの。森妖精との関係性の変化。を中心にセレステ篇を考察してみれば当時は意味不明なあれこれが理解できるかもしれません。

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