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サーキットを知った、あの日。

サーキットってどんなところなんだろう。
走ったことはもちろんないし、行ったことも実物を見たことすらなかった。

とりあえず、サーキットに行けばわかるかと思って、一番近くの鈴鹿サーキットでググった。(一番近くのサーキットが鈴鹿って、今思うと本当に幸せだな。)
2018年春。その頃の鈴鹿は、8時間耐久レースの告知が大きく出されていた。
2018年7月26〜29日の4日間。

4日間行ったろ。
あと、8耐はレースが始まる前に、公開のテスト走行が見れることを知った。
しかもタダで(観戦券見せると無料)。タダ。
これは私にとってはかなり重要なことだ。サーキットのことなんて、レースのことなんて、何にも知らない人間が、いきなりプロのライダーが走ってるところを、生で、しかも無料で見れるんだから。

日程をチェックすると、運良く休みと公開テスト日が重なったから、行ったよ。
(何日かあるうちの2日間行けたんだけど、そのうちの1日はチケット忘れて泣く泣く帰ったのはここだけの話…。)

私にとって人生初めてのサーキット。初めてのモータースポーツ。サーキットが見える前から、エンジンの音がよく聞こえてくるんだけど、
その音は公道でよくきく音とは全然違ってて、暴走族のあの爆音とも違ってて、なんかすごく気持ちのいい音だったのは覚えてる。

コースとそこを走るバイクを見た。
これ、人が操作してるの?どうなってんの?
最初はしばらく走り去る度に笑っちゃうくらいに、速かった。速すぎて笑っちゃうよ。
うまく言えないけど、音に迫力があって、バイクに迫力があって、サーキットもでっかくて迫力があって、バイクもライダーもメカニックもオフィシャルもフラッグもそこらへんにある看板もなんでもかっこよく見えた。しばらく動けなかったよ。目が離せない。

とにかく、初めて見たサーキットは衝撃的だった。
こんなにびっくりしてるけど、これでもまだ練習って…なんなん。
終始このテンションで、サーキットの端から端まで歩いて探検した。第1コーナーからスプーンカーブまで。広かったよ(当たり前)。めっちゃ焼けてた。

あと、サーキットを走るパニガーレは、他のどのバイクよりも美しい。
音が全然違う。R1も低めだけど、パニはもっと低くて、グランドスタンドに座ってると地響きを感じるくらい。エンジンの詳しいことは全然わからんけど、この音には、毎度惚れ惚れする。反則的だ。

ちなみに、この年にパニガーレで8耐に出てるチームは1つだけだった。
大阪の方にあるドゥカティショップのチームらしい。
レースをする人達はどんな人なんだろう。という興味のままに、大阪に行った。夜勤入り前くらいしか行ける時間がなかったけど、
一言「レース頑張ってください!」がどうしても言いたかったので、行った。

緊張しながらもなんとか、「レース頑張ってください!」が言えた。
そしたら、なんとレースに出るバイクを間近で見せていただきました。

このバイクを8時間走らせるために、いろんなところがカスタムされてて、なんと言うか、すごかった。(語彙力なくて悔しい。)
あの時、あの鈴鹿サーキットで、どのバイクよりも特徴的な音で、スタイルで、どのバイクよりもかっこよく走ってた、そのバイクを目の前にしているだけで、
もう胸がいっぱい。
バナーレーシングの皆様、お忙しい中本当にありがとうございました。
(その後、急いで帰って、夜勤へ行ったその後のことは、あんまり覚えてない。笑)

8耐スタート。

名古屋から1時間半を4日間、通ってみた。
4日間ずーっとバイクのことだけ考えていられることが超幸せ。楽しい。
予選、4耐、トップ10トライアルなどなど、繰り広げられる走行の度に、
ラジオ片手に、スマホでレース用語を検索しながら、膝に公式プログラムを開いて必死にレースを見た。
サーキット上で、バイクが走ってるだけで楽しい。
それと同時に、私もあの中に混じりたい。願わくばライダーとして。
こんな華やかな舞台に立ってみたいと思った。

8耐決勝。
ルマン式スタート好き。スーツ着てる人が、バイクに向かって走っていくあの姿が個人的にすごく好き。
トップ争いも盛り上がっていろんなことが起きてすごかったんだけど、自分が一番感動したのは、パニガーレを走らせてるあのチーム。

そのチームは、スタートして30分もたたない時に、大クラッシュ。パニガーレを走る姿を見るのを何よりも楽しみにしてた自分にとっては、めちゃくちゃショックだった。
でも他のチームが周回を重ねる中、私はそのチームのピットから目が離せなかった。
バイクはピットに返ってくるのか?直したら走れるのか?どうなる?
まだ序盤だ、きっと間に合う、きっと走ると思ってた。

でも1時間以上過ぎても、バイクがピットから出て来ることはなかった。
リタイアしたのか?もう走らないのか?ってめちゃくちゃ不安になった。お願いします、もう一度パニガーレが走る姿を見せてください!!!
なんでかめちゃくちゃお祈りしてた。笑

転倒から2時間くらいした頃、バイクが直されて、パニガーレがピットから出てきた。
すっごい嬉しかった。もう一度、私の大好きなバイクが走る姿が見れる。

それと同時に、急いで8耐のレギュレーションを調べた。
「完走」の定義を。
バイクを直している時間が長過ぎて、完走はできないことがわかった。

でも、走り出した。

その時走ってるその姿に、とてつもなく感動した。
ほぼ最下位からのリスタート。
でも確実に周回数を重ねて、順位も上げていた。なんでか、すごく感動した。
最後にチェッカーを受けた瞬間、なんか涙出た。
完走はできなかったけど、それでも懸命に走ってるその姿が、とても魅力的だった。すごくかっこいいチームだった。素敵なチームだった。

レースっていいな。私もあんな風になりたい。
叶うなら、ライダーとして。

そう思った8耐でした。





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