お受験@米国  その3

随分間が空いてしまいました。書いたからには多くの方に読んでほしいのですが”スキ”とFollower合わせても10人にも満たない現状で正直書く気が失せてました。。。ごめんなさい。でも2名のFollowerの方がいるのでチカラを振り絞って(おおげざ)書いてみました!

ここまで米国における大学受験のプロセスや重要項目の一般的な説明をしてきました。今回は実際に息子の例をあげ、より具体的に説明します。

高校入試:当初は全く私立にすすむつもりはありませんでした。息子も親も近くの公立で十分という考えでした。何故なら我々の住んでいるエリアは学区が良いので私立に行く理由がないと考えていたのです。米国では学区と家の値段が密接に絡んでいでます。簡単に言えば家の値段が高いところはその分地域の固定資産税が高く、その分学校に入るお金も多く、最終的に良い学区になるのです。ただその1で説明したとおりシリコンバレーは異常な家賃・不動産の上昇で公立の先生のモチベーションや学校の予算自体に課題が出てきてます。中学も終わりに近づく中、息子の親友が私立を受ける、というのに息子が刺激され受験ギリギリのタイミングで私立をトライすることにしました。確か2017の11月末頃だったかと思います。ここでは中学の成績とテストが評価項目になります。現在も同じかもしれませんが当時高校受験の際には共通テストがありその結果が重要です。またテストや成績以外、つまり課外活動で大きな実績があれば勿論それらをアピールすることが出来ます。学校によってはEssayを複数のテーマで書かせるとこもあります。
因みに娘も私立の高校に昨年入学しましたがこちらは学校の成績+EssayがメインでテストはCovidの影響もあり共通テストでなく州つまりローカルレベルのテストでもよくて、正直あまり重視していない雰囲気でした。
私立にはアカデミックにほぼフォーカスしている学校やIQが高い子だけを受け入れる学校、あとは息子が通うようなカソリック系の学校などがあります。宗教国家である米国ゆえかカソリック系の学校は結構多く、通常勉強だけでなくスポーツや他のクラブ活動含めて幅広い教育をオファーしてくれます。そんなことも考慮し費用面ですこし躊躇しましたが、息子の高校受験をサポートすることにしました。といっても何ヶ月も塾に通うということはなく模擬テストを2−3回うけてあとはYoutubeなどの無料のネット上のコンテンツを利用して勉強していたようです。結果はまず”補欠”で少し待たされましたが無事に合格しました。
一部のぶっとんだ学校を除けば私立はそれほど入学は困難ではありません。中学の成績がトップクラスでなくても中の上くらいのところにいれば大体のところは受かると思います。あとはお金です。息子の高校は年間の費用が$23K、4年間でザックリ$100K です。結構高いので公立も選択肢ですね。その場合はカリフォルニアはオススメできません。違う州であれば公立でも先生のモチベーションがそこそこ高くかつ予算も問題ないところがあります。

高校入学 :高校は通常4年間です。因みに中学は通常2年間なので大学入学の年齢は日本と同じです。さて一年目から早速日本との大きな違いにぶち当たりました。その1で説明しましたが勉強面では学校の成績が極めて大事です。あくまで高校でカリキュラムの範囲なのでここで差別化するのは難しいのですが色々方法はあります。AP(Advanced Placement) とHonorという高いレベルのコースを修得するのです。通常のコースはAをとっても4点、つまり全てのコースでAをとってもGPAは4.0なのです。学校の勉強をしっかりやればAはそれほど困難でないので結構な確率でAは取れます。従ってちゃんと勉強すれば皆が皆4.0とか3.95とか高いスコアになるのでAPやHonorのコースをとるのです。これらのコースは通常1点の加点があるのでここで差別化できるのです。なので最初からAPやHonorコースをとればいいのですがここにはルールがあります。例えば"US History AP" というAPコースを取りたければ”US History"を先に修得する、という具合です。MathもAP CaluculasABが取りたければCaluculasAB、そしてCaluculasABの前にはAlgebra,  Geometoryを先に修得とかです。
我々はこういう仕組みをよく知りませんでした。これは致命的でした。
まず高校入学の前にMathのテストを受けさせられエントリーのレベルを決められます。実はこの時点で既に中学で高校のAlgebraとか終わっている子もいます。中学でAdvancedクラスをとったり、夏季コースで修得していたりするのです。うちの息子は特に中学時代になにもしなかったのでテストを受けさせられ結果高校では一番低いレベルからのスタートとなりました。同じ高校にいくことになった親友も同じ状況だったとのことですがエントリーポイントの重要さを認知していたので学校に頼み込んで3度もテストを受け、更にネットのチカラを借りながら最後はそこそこの点を獲得して息子より一段高いエントリーポイントになったとのことです。その時点では息子も大して気にしておらずまぁ入ってから頑張ればいい、なんて考えていました。これは大きな間違えで息子のケースで言えばエントリーが低く、Mathに関しては高校3年間のうちにAPコースを修得する権利さえ無いことが判明したのです。説明が遅れましいたがGPAの評価は高校2年、3年が対象期間なのです。4年生の時にAPコースにたどり着いてもGPAに基本カウントされません。高校4年生の成績は大学が決まった後に提出するもので”余程ひどくければOK”という類になります。
学校によっては夏季コースや外部の教育機関のオンラインコースでパスした結果を学校の成績、つまりGPAに組み込むことを許可するところもありますが息子の学校は許可しないシステムでした。つまり高校に入った瞬間からMathにおいて3年間でAPを取ることが不可能である、という事が判明したのです。これはGPAの数値に対する影響は勿論STEM系のメジャーを目指す学生にはBadNewsです。なのでコンピューター・サイエンスを目指す息子は課外活動での差別化が至上命題となったのです。

高校一年目:ということで課外活動が重要なのですが日本で言えばまだ中学3年生。将来何になりたいか、なんのメジャーを取得したいか、なんてはっきりと見えている子はすくないですよね。シリコンバレーという場所柄息子もコンピューター・サイエンスとか言ってましたが、それほど確固たる決意があったわけでは無いです。なんとなく、、、です。ということもあってか一年目は特別に課外活動を行なったわけでなく学校の勉強とスポーツにフォーカスしてました。ただスポーツは中学生の時に頭角を表したクロスカントリーに取り組みましたが中学までやっきたサッカーの影響で膝痛が原因で途中で幽霊部員となってしまいました。途中からレスリングをやってなんとか有り余るエナジーを消費していた状況です

高校2&3年目 :  されここからの2年間が大事です。学校の勉強、スポーツ、課外活動という3つの分野でフル活動です。
ちょっとだけ勉強の話をRecapします。学校の勉強、授業での積極性なども評価されますがやはり大事なのは宿題をしっかりこなし、クイズなどの小テスト、学期最後の大テストなどに対応しながらポイントを積み上げていくわけです。細かな評価もすべてガラス張りですべてOnlineで自分の評価が確認できるのが助かります。
ただ基本与えられた課題をやっつけていく、という受け身です。まじめなアジア人にとってはそれほど難しい事ではありません。そして今やシリコンバレーはアジア人だらけなのでここでの差別化は難しのです。

スポーツ。これは大学受験のためだけでなく結構多くの生徒が参加します。高校側は生徒の数を制限する競技に加え誰でも参加できる競技を用意します。メジャーなスポーツはやはりアメフト、そしてバスケ、サッカー、野球、水泳&水球などがあります。そして息子が一年目に断念したクロスカントリーも結構メジャーです。
膝は回復したものの走る事に興味を失っていた息子はなぜか水球に興味をもってシーズン前から家のプールでさんざん立ち泳ぎの練習をしてました。シーズン開始ともに空きのあったゴールキーパーのポジションを狙い練習試合にも出てそのままいくか?と思ったんですがクロスカントリーのコーチが”また走れ”とわざわざ声を掛けてきてくれたのが嬉しかったようで高校2年の夏クロカンにスイッチしました。これが非常に幸いしました。シーズン当初は同学年で7−8位のポジションでしたが練習の効果もあってかシーズン最後の秋の2つのレースで学年トップになったのです。このときから”これは大学入学に使えるかも!”というアイデアが急激に湧いてきました。
クロカンはコースの性質上、そのタイムがいくら早くても評価が難しいので高校2年の春のトラックのシーズンでどれくらいのタイムが出るか?出せるか?と楽しみにしてましたがここからCovidが始まりました。Covid以降も継続的に練習してましたが全てのMeetがキャンセルされ高校2年生のシーズンは静かにおわりました。

スポーツも課外活動の一つですがやはりアカデミック方面での課外活動も求められます。課外活動というのは本当にミステリアスで何をどこまでやればOKというのが無いのがミソです。従ってここは結構想像力が必要です。そして以前にも触れましたがLeadershipが極めて重要なのです。つまり自分でアイデアを出し、自分で実現し、一定の成果を出すことが求められます。テーマは勿論自分の目指すメジャーにマッチしているのが良いのですがMUSTではありません。また多くのアプリケーションの中からStandOutするためにやはりユニークである必要もあります。
理想的には非常にユニークな核となる課外活動が一つ、そして2−4個
ほどの比較的目にする課外活動で脇を固める、といった具合でしょうか。具体的なメジャーな活動としてはよくあるのは以下のとおり。

-スピーチ、ディベート系のクラブでの活動。ただ単に参加するだけだと大した評価にならず、何らかのコンペでのAwardを勝ち取ることが必要
-ロボット、Mathクラブ。上記と同様で何らかのコンペでのAwardを勝ち取ることが必要
-ボーイ/ガールスカウト。最上位のイーグルスカウトが取れればいい評価となります。ただこれも少し古典的になってきてユニークさに欠けてきている
-スタートアップ。起業はやはり評価が高いです。ただ起業する生徒も沢山いるので起業だけでなく、実績を示すことがもとられます。
あと勿論生徒会長みたいなロールも評価が高いです。
-スポーツ。大体は学校のクラブ活動になりますが学校にないスポーツでもOK。兎に角そのスポーツでTOPグループになることが大事

さてここから息子の具体的なケースです。
息子が彼の課外活動の概要をまとめたものあるのでそのまま紹介します。
I co-founded Linkare, an application that allows shelters to directly communicate with users to request products they need most. Currently, we’ve gained support from 3+ non-profit organizations, and are undergoing beta-testing.
=>ボランティア向けのNPOを友人と立ち上げ。 モバイルアップの開発、ボランティア団体との交渉、説明会の実施、AppのRollout等

I created the eMotion project, which provides less fortunate people with portable batteries. Last year, we created 5 sets of bike generators that students used to generate electricity for the homeless. This year we were granted $6000 by Silicon Valley Clean Energy to further our achievements.
=>自転車による発電装置を制作。それによりポータブルバッテリーを充電しホームレースにバッテリーの貸し出しプログラムを実施。最初は実験的だったが$6000のアワードをゲットし規模を5セットに拡大しより多くのホームレースに提供。因みに米国には高校生を支援するプログラムが結構あるのでそれを獲得するのも活動に色を添えます

I love the wilderness, and I have gone on more than 7 “Bushcraft” trips, where I created shelters and tools. Here is a video of one of my trips
こちらはブッシュクラフト、自然の中で自分自身のスキルのみで原始的な生活をすることです。

最後にスポーツ。これは先述した陸上です。3年生も残念ながらクロカンシーズンはコロナにやられ殆どレースはありませんでした、が3年の春(2021春)息子にとって初めてのトラックシーズンが始まりました。1マイル、つまりトラック4周のタイムを競う訳ですが 約1600 Mの有酸素運動なのでクロカンでのパフォーマンスにほぼ直結します。クロカンはコースによって全くタイムが異なるので一律で評価できる”マイル”が大学のコーチにとって重要となります。シーズン当初から4分26秒とまずまずのタイムをだしたのですがその後伸びず4:23でフンづまってました。ただ最後の最後で4:16を2回記録し目標として4:20秒ぎりを達成したのです。それも4秒も切った事で息子の大学選びに大きな選択肢を与えてくれました。

ということで息子の課外活動をまとめると。
1. 陸上・クロカン
2. NPO  : APP開発、リーダーシップ、マーケティング、ボランティア
3. EBIKE:  機械工学、電子工学、リーダーシップ、ボランティア
4.  BUSHCRAFT: リーダーシップ、ヒューマンスキル

という感じです。他には2年生の夏のロボット系のサマーコースや3年生の時の近くの大学の都市工学のサマーコースなど夏に何らかのコースを取ることもしました。ただこれらのサマーコースはコースによってはエッセイの評価による入学の選別があるものの、お金があれば多くの人が受けれるのでそれほど高い評価にはなりません。コース参加で教授とのコネを作る狙いがある生徒も多いようです。息子は2週間海外含めいろんなところから参加した生徒と共同生活したのは随分楽しかったようでした。

さて次回は最終編。今までやってきたことを踏まえ大学選びです。米国の大学は日本のそれと比べ費用感が全く違うので、その辺の生生しい話も含め紹介します。乞うご期待!


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