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安室奈美恵のヒット曲を、歌ってみた動画で楽しもう!

 YouTubeの歌ってみた動画から注目の作品をピックアップして見どころを綴る当ブログ。前回のTRFに続いては、安室奈美恵にフォーカスしてみよう。TRFのメンバー・SAMと安室奈美恵は結婚していた時期があり、安室奈美恵のライブ・ツアーの振り付けをTRFが担当したこともあった。また、シングル「LOVE 2000」発売当時のTV出演では、安室奈美恵とTRFメンバーの共演も実現した。

 僕はこのときのミュージック・ステーションを見ていた。それぞれがトップ・アーティストなのは間違いないが、安室奈美恵のバックを固めるのが、よりにもよってTRFとは!衝撃が大きすぎて受け止めきれなかった。圧巻のパフォーマンスに、画面に釘付けになったものだ。

 90年代の小室ファミリー・ブームの中心的存在のアーティストの楽曲が、どのように歌い継がれていったのか、鑑賞しながら楽しもう。今回は安室奈美恵のレパートリーの中でも、産休前にリリースされたベスト盤「181920」の収録曲から選んでみた。歌い手はすべて当ブログ初登場だ。


Meik「SWEET 19 BLUES」「IN DA WORLD」

 まずはMeikのカバーから。オリジナルの雰囲気を大きく崩すことなく、それでいて独自のアレンジで新鮮な感覚でも聴ける伴奏。これに歌を乗せるMeikだが、リズムをとる仕草が目を引く。いかにもダンス・ミュージックを通ってきた感じがありありと出ているのだ。ゆったりとした楽曲ではあるが、この曲のカバーでは珍しく、映像に躍動感を感じられる。

 中盤以降はオリジナルにはないフェイクで、バック・トラックの上を自由自在に歌で舞い踊る。オリジナル版は発売当時から聴いていて、それこそガムの味がしなくなるまで噛みつくしてしまったみたいに、すっかり消化してしまったというリスナーにも、また別の味つけでもう一度楽しませてくれる動画だ。

 さて、そんなMeikの持ち歌にも注目してみよう。これがとびっきりのキラー・チューンを持っている。その曲は「IN DA WORLD」。2017年には既にリリースされていたようだが、まったくもって僕は察知できなかった。もし「SWEET 19 BLUES」のカバーがなかったら、この先もおそらくこの曲に、いやそれどころかMeikの存在自体にも辿り着けはしなかっただろう。

 今年も新曲「Super Duper Love」をリリースして精力的に活動中の様子だが、やはり最初にとりあげたいのは「IN DA WORLD」。デビュー当時からMeikを知るファンには何を今さらかも知れないが、本当に良いものは良いのだから仕方ない。

 リリースから4年も経っているようには思えないほど、ピリピリと刺激に満ちたサウンドでハイにさせてくれるダンス・ナンバー。安室奈美恵の「WHAT A FEELING」や「In Two」といった激しい曲が入っているようなプレイリストに組み込んでも、場の雰囲気を壊さずにリスナーの気分を高揚させたままにしてくれるだろう。


MACO「CAN YOU CELEBRATE?」「運命」

 続いてはMACOのカバー。日本ゴールド・ディスク大賞の新人賞を受賞。メジャー・レーベルに在籍し、全国ツアーも売り切れるほど、しっかりと世に出ている。僕もこれだけ音楽について蘊蓄を語っておきながら、何と今の今まで知らなかったんだよね。いやあ~、ここは押さえておかなきゃならないアーティストだろう。

 ふつうなら「ありがとう」や「うれし涙」といった代表的な曲を入口にして、「へえ~、カバー曲も歌うんだ」と深く入っていくのだろうが、僕の経路はまったく逆。「CAN YOU CELEBRATE?」で聴きごたえのあるカバーを漁っていたら、彼女の新曲「運命」に辿り着いた。

 それでは「CAN YOU CELEBRATE?」から聴いてみよう。先のMeik同様、独自のアレンジによる伴奏ではある。だが、Meikのはフルバンド編成なのに対し、こちらはピアノ1本にストリングスが薄く覆いかぶさっているだけの、非常にシンプルなものだ。分厚いバッキングに守られはしないので、歌い手の持つ声そのものに説得力がないと、とてもとてもフルコーラスは間が持たない。

 そんな環境下でもMACOは最後までしっかりとリスナーを惹きつける歌唱を披露している。オリジナル版は大観衆へ向けて壮大なスケールで展開していく感じだ。それに対して、こちらはたったひとりのために、超至近距離で歌ってくれるパーソナル・ライブのような感じさえ受ける。またひと味違うテイストで、もう一度「CAN YOU CELEBRATE?」を聴いてみてはいかがだろうか。

 そんな彼女のオリジナル新曲が今年リリースされた「運命」だ。ドラマティックに展開するメロディー・ラインが胸を打つバラード・ナンバー。Bメロではリズムの強拍部分のタイミングが前に早まって、楽曲の流れに変化をつける。

 僕は、バラードのうちでも音程はいくらきれいに流動していても、ずっと同じリズム感で淡白に進行していくタイプの曲は、余程アレンジで盛り上げてくれない限りは、なかなか好きにならない。予期しないところで休符が入ったり、音の粒が密集したり広がったりというような変化に富む展開がいい。この揺さぶりのあるメロディー・メイキングに注目していただきたい。

 このように予定調和から抜け出すために工夫を凝らせば凝らすほど、覚えにくい曲になるので、ここで歌手の力量が問われる。その点、MACOは見事に歌いこなしている。



櫻井佑音「Chase the Chance」

 最後は櫻井佑音のカバー。この曲は大人でも最後までリズムに乗り遅れずに歌い切るのは、なかなか大変だろう。それが、こんな小さい子がダンスも込みで、ちゃんとショーとして楽しめる仕上がりで披露できているのはビックリ!ご両親や友人知人だけが関心を持って見ていられるようなキッズ動画ではない。この子のことを何も知らない僕でも、最後まで見入ってしまった。日頃から一生懸命練習しているのだろう。

 同年代の子たちは1曲をフルで歌いきるだけで精一杯なのかも知れないが、櫻井佑音は歌もさることながら、MCも流暢で場慣れしている感じ。これは将来有望かも知れないな。先のMeikやMACOのように、カバーがよかったから持ち歌も聴いてみるか!といっても、この年齢で持ち歌はさすがにないだろう。でも、いずれ持ち歌が持てるところまで到達できるといいね。


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