True End ?

「あっ」
と思ったときには遅かった。ゴンッと鈍い音。
先程までの微睡みはなくなり、またやってしまったと落としたスマホを見て溜め息をついてしまう。

本体に大きな傷が入り、修理に出すと決めてから一層扱いが雑になっていた所、もう何度目かになってしまう行為に、ふて寝しそうなのを堪えて、手を伸ばす。

どれくらい寝ていたのだろうか、何気なしに時間を確認しようとしたが、画面が写らない。
微かに掌から熱さが伝わる一方、何をしても一向に変わる気配がなく、焦りが募る。落ち所が悪かったのだろうか、沈沈とした中そう思っていたが、ふと気付く。
この部屋はこんなにも暗かっただろうか、と。

目が慣れるまでの数十秒で、不安感と恐怖で完全に目が冴えてしまった。
ようやく電気のスイッチを入れると、ちょうど時計から音が鳴った。その音にも大きく反応してしまい、誰も見ていないが面映ゆい気持ちになる。明かりがついたことで恐怖心がなくなり、体が火照ってきた。

いつのまにかスマホの画面が切り替わっているのに気付き、すぐ確認する。
問題なし。一安心して眠りにつくのだった。

不吉だったことに気がつかないまま。

(了)