ふと思いついた「なにかしらについて」の覚え書き。
この度、5年日記帳なるものを手に入れた。 一ページに5年分の同じ日の記入欄が収まっている。それを入手してから筆を入れるまで2日間を要した。 ここに書き留められない事柄たちはどこへ行くのだろう、日記帳に対してきっとそんなに正直になれないだろう。 そんなことを考えていたら、どうもなにか恐ろしい感じがして。そうそう、それに5年という時間、それがそもそも恐ろしい。 とはいえ先程0.3㎜の緑のボールペン(0.3mmは緑しかなかった)で、今日一日を細い4行の隙間に押し込んでみた。 書き
人のお宅にお邪魔し、通された部屋に本棚があると、家人に断りを入れて本棚を見させてもらう。そして、しばらく眺める。 本棚にはその人が如実にあらわれる。勇気を持って断言する。なぜならこれは、数少ない私の信じている事柄だから。 ちょっと勇気が足りなくて注釈を入れるが、本棚を眺めて感じた違和感が追々恋愛の終わりの原因となることはしょっちゅうであったし、しっくりとくる本棚の持ち主はありがたいことに今のところ漏れなく好きな人達だから。 日記を盗み見るよりずっとその人のありのままの姿がそ
数日前の朝、通勤中のこと。 車内で鼻歌を歌っていたら、唐突に「喪失」という言葉が脳裏に現れた。 はて、とそれからしばらく「喪失」を思い出しては考えていたのだが、どうやら私は喪失について言葉を器用に選択出来るほど詳しく知らないようだった。 喪失とは失うことなのだろうか。 失うことに変わりないのだろうが、なにかもっと多くの意味を孕んでいるように感じた。なんとなく剥きになり、どうにか言葉を選び出そうとした。 今日の夕方、会社から自宅へ向かう途中のこと。 信号待ちの車内で、前に並
胸を張って「人を愛することを知っている」といえる人はどのくらいいるのだろうか。 自分の話をすれば、私は多分愛することを知らない。こう書いてしまうとなんだか寂しい気もする。 猛烈に人を好きなって、あっという間に結婚した。そしてあっという間に別れた。結婚生活は2年で、それをあっという間と表現すべきかは個人によると思うが、とにかくその人にはもうなんの執着もない。 昔、こんな夢を見たことがある。 男と私が広くはないマンションの台所で料理をしている。黄金色の光が窓から差し込んでいた
昔書いていた日記をアップしていきます。 新しく書いていく予定ですが、noteを始める足掛かりとして。
※10年前の自分のあまりのポップさに愛しさと切なさと頭はたきたい気持ち 何事も自然が一番。 無理をすることに慣れてしまったり、 自分を怠け者だと思い詰めたり、 自分を偽ったり、 人に優しく出来なかったり。 そんなことからもう解放されましょう。 私達は頑張ったって空は飛べないのです。 空を飛べない自分を責めるなんてやめましょう。 地上でなにかをみつけましょう。 そうホワイトタイガーの彼(画像)は 体を張って私達に教えてくれています。 地上に生き
ひとしきり作業を終えた後、 長電話をして、 パソコンに向かう。 外はさっきまでの豪雨など、まるで無かったことのように静かである。 雨の気配を残すのは、網戸に付いた水の跡だけ。 秋の虫が鳴いている。 これは私の空耳だろうか。 何もかもが平穏である。 ここで私は気がつく。 あぁ。私は夜が大好きだと。 これは気のせいでも、無い物ねだりでもあるまい。 暗さが好きなのか、静けさが好きなのか どちらにせよこの世の切れ間みたいな自由な雰囲気が私を静かに興
ある人が私にこう言った。 「それは君の青さだよ。」 またある人がこう言った。 「それは君の若さに嫉妬しているんだよ。」 私は後者の言葉に救われながら、 その言葉を信じきることも出来なかった。 使い古された、余りにも普遍的な言葉達に胸を詰まらす毎日。 知らないことが多すぎて、惑わされそうになる毎日。 全てが色鮮やかに見える瞬間のそのすぐ後に、 腹の中の不安が私の世界の色彩を奪ったりする。 灰色の中に取り残された私はなんだか途方にくれてしまって、
創作した文章を長さに問わずまとめていきます。
彼がその決定的な違和感に辿り着いたのは今日の昼のことだった。 彼は昼食をとるために会社の界隈を歩いていた。この間まで春を匂わせていた空気もここ数日で急に夏の湿り気をふくみはじめ、シャツと肌の間にねっとりとわだかまっている。彼は無意識に眉間に皺を寄せ、シャツを肘の上まで雑に巻き上げた。 普段なら近い部下や同僚と連れ立っているのだが、今日は誰もつかまらなかった。こういう一人の昼食は久しぶりだった。 彼はどこに向かうわけでもなく、人並みに乗るように信号待ちの塊の中