お誕生日おめでとう

愛しのドラえもんの誕生日である。

22世紀に生まれたにも関わらず、ドラえもんから見たら過去の人間であろうわたしが今ドラえもんに対して生まれてきたことを祝う。

藤子・F・不二雄のSFはサイエンスフィクションではなく、すこし不思議の意だということがこういうところから感じ取れる。

ドラえもんはいい。ドラえもんのことを考えると切なくて泣きたくなるような気持ちになる。

元々は猫型ロボットとして生まれ、しっかりした耳を持っていたのに、それをネズミにかじられ失ってしまう。それがショックでメッキが剥がれるくらいに泣いてしまった結果、青ダヌキと揶揄される今の風貌になってしまった。

見た目にそれなりの執着があるのか、好きな子のためにかっこよくならないと振り向いてもらえないと、こんな頭でっかちじゃダメだと、スリムでなくてはいけないと、無理な肉体改造を強行する面も持ち合わせる。

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アイデンティティを失ったことを嘆き悲しめる高度な知能、それによって肉体が変化してしまう不安定さ、合理性を追求するが故の過ち。

考えれば考えるほど本当に本当に可哀想で愛しい。どうか彼が一生幸せに暮らせるように、遠い過去から祈る。