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にっぽん怪盗伝『正月四日の客』

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角川文庫「にっぽん怪盗伝」 『正月四日の客』本番 & 取材の模様など。
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#蕎麦

蕎麦尽くし和LIVE

2022年正月四日上中里そば浅野屋を舞台に、池波正太郎作『正月四日の客』を津軽三味線と語りの和LIVEが実現。食との初共演だ!13名様限定のLIVEチケットは、蕎麦セット(粗品付せいろそば))とちょい呑みセット(おつまみ4種・日本酒(1杯)・せいろ蕎麦)の2種をご用意。告知を始めるとお客様の反応が素晴らしい。正月にお蕎麦屋さんで蕎麦も食べられてお酒も…という付加価値を魅力に感じてくれたようだ。一週間ほどで完売となった。 本作の舞台化を考えた時から、この蕎麦尽くしが目標だった

江戸名代の店〔無極庵〕

実在した蕎麦店…ご存じだろうか。 (池波正太郎作『正月四日の客』より)…上野仁王門前にある蕎麦屋、無極庵に奉公することを得た庄兵衛は、この江戸名代の店で修業をし、三十五まで勤め上げた。… 因みに、上野仁王門前<うえのにおうもんぜん>は、今の〈あんみつ みはし〉辺りから〈鈴本演芸場〉付近一帯の旧町名らしい。 『正月四日の客』主人公の庄兵衛は<無極庵>で蕎麦の腕を磨き、本所の枕橋に女房と店を開く。それが本作の舞台〈さなだや〉であり、屋号の由来〈さなだ蕎麦〉がストーリーのカギ

ほれ、常泉寺という寺があるね…

1596年(慶長元年)創建の古刹。 池波正太郎作『正月四日の客』では、ここに大泥棒の手下が寺男に成りすまして住み込む。 作品に登場する寺が現存するのは有難い。登場人物が行き来する場所の位置関係もイメージしやするくなる。 昭和3年、言問橋の完成にともない新たに作られた言問通りは、常泉寺の境内の中央を分断する形となった。政府は常泉寺に対し、代替地を用意し寺院を移転するよう提案したが、常泉寺は歴史が古いことを重要視し寺域を縮小して現在地にとどまった。 『正月四日の客』の主たる

上田の蕎麦に喉鼓(『正月四日の客』)

池波正太郎に『正月四日の客』という短編がある。「にっぽん怪盗伝」に収められたピカレスク小説のひとつだ ・さなだそば『正月四日の客』には、黒々と光った無骨な手打ちそばを、辛み大根おろしの絞り汁とそばつゆを合わせた〈真田汁〉なるもので食べる〈さなだそば〉が出てくる。作中、信州・上田松代で食される〈さなだそば〉に思いが募り、旅に出た。 池波正太郎が通い、〈真田そば〉をメニューにする〈刀屋〉。営業時間は11~18時とある。もちろん売り切れ御免だ。一体間に合うのか。道々、収穫期の田