記憶しかない夏に

菅平 ここも例外ではないんだ

コロナはどこへでも押し寄せ 沢山の人生を飲み込んでいく

お世話になった宿の名前を 忘れていた

もし今もあるなら 少しでも力になりたくて

久々に同期に連絡した

もうその宿はなかった

 私が馬鹿馬鹿しい程はまり込んだあのテニスサークル

随分前に消滅している

もう記憶しか残っていない 私の菅平

同期は海外にいた 白髪が増えたと笑っていた

あの頃を振り返ることは ほとんどなかったけれど

それは今まで そこそこ幸せに生きてきた ということか

『たまに振り返る』 若い頃の思い出はその程度がいい

だから今思い出そう

若さという痛々しい美しさが一面を覆う菅平の夏

あの空気を取り戻すため 少しでも 動いていこうと思う






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