車椅子ダンサー・MIHOの 「二度目のガンになりました。で、それが、なにか!?」

~ #12 最先端医療を信じて・・・~

「MIHOさんって、こうした事態でも動じませんよね。                  不思議な人ですよね?」

ボク・黒子がそう尋ねると、この物語のヒロインで、元車椅子ダンスの日本チャンピオンMIHOさんは、こう答えました。

「よく言われます!(笑)」

と、こうやって、前回・第11話は終わりました。
しかし、本当は、こう続いていたのです。

「でも、ちょっと考えますよ。ホンマに、これから生きていけるんかなぁ、どれぐらい今後生きられるんかなぁって、思う瞬間はありますよ」

図2

MIHOさんは、生後5ヶ月で脊髄の神経内に腫瘍、すなわち小児ガンが見つかり、摘出手術を受けます。そのため、その後は、車いす生活を余儀なくされますが、それ以降は何ら問題のない“健康体”でした。それが、去年の5月に 腎細胞ガンが見つかります。すなわち、これが人生二度目のガン。翌月には摘出手術を受け、これで、一安心かと思いきや、まさかの短期間での再発。4月下旬に、緊急入院して検査をしてみると、ガンは、脊髄に転移していて、MIHOさんの背骨のちょうど曲がっている先端に“めりこんでいる”状態だと言う診断が下されたのです。しかし・・・

「手術は難しいと言われました。手術をすると、逆に悪くなる可能性があると。多分、神経をいじるからやと思いますけど。じゃぁ、放射線治療かと思っていると、放射線も難しいと。と言うのも、私の背骨が曲がっているからなのか、放射線を、直接患部に当てることが出来ない場所らしいんです。どうしても腸に当たってしまうって。だから、それも止めといた方が良いとなって。で、結局、化学療法となって、さらに化学療法の中にも何種類かあるそうですが、その中で考えられた結果が、免疫チェックポイント阻害剤治療なんです」

画像2

(入院中のMIHOさんの病室の様子)
“免疫チェックポイント阻害剤治療”と言う言葉はご存知なくても、「オプジーボ」と言う名前は聞いたことがおありでしょう。従来の抗がん剤のようにがん細胞を直接攻撃する薬ではなく、免疫細胞が、がん細胞を攻撃できる環境を作り出すと言った、実に画期的な新薬のこと。MIHOさんは、そうした最先端医療を受けることになったのです。

「3週間に一回点滴治療を受けます。入院中に一回受けて、退院後も一回受けました。まずは、計四回続けて、その四回が終わった時点で、そのまま続けるのか、治療方法を変えるのか、見極めるそうです」

一回の治療にどれだけの時間がかかるんですか?しんどくないですか?

「私の場合は、オプチーボとヤーボイと言う薬を両方入れているんですが、どちらも一回30分程度。その合間に生理食塩水を30分入れて、終わってからも30分生理食塩水を入れます。ですから、化学療法室に入って2時間くらいですかね?」

画像3

たった、それだけ・・・なんですね?じゃぁ、気分が悪くなるとかは?

「何にもない、です。普通の抗がん剤だったら、代表的なのものは、吐き気とか脱毛とかですが、そう言うのは基本無いそうです。ただ、他の副作用は様々あるそうで、私の場合は発疹でした。退院して一週間くらいで、全身真っ赤。もう痒くて、痒くて。でも、痒みぐらいやったらええかと、そう思いましたね。あと、食欲ですか?全く問題ないです。何にも変わらない・・」

最先端医療の凄さには、本当に驚かされます。ZOOMの画面の先のMIHOさんは、それまでと何ら変わらないのですから。今、治療真っ最中のガン患者などには決して見えません。でも、「もう、これで安心ですね!」とは、なかなか言えない厳しい現実を、MIHOさんは、医師から突きつけられたのです。

「この薬が効く可能性は40%だって。半分いかないの。そうしたデータって、あまり誤魔化されたくもないけれど、あまりにハッキリ言われるのも、ねえ!」

ねぇ!と言われても、ボクには、その数字が低いのか、高いのか、即断出来ません。多分、医者と言うのは少し厳しめの数字を言うもんだと思うけれど、だからと言って、やっぱり手放しで喜んで良い数字ではなさそうです。MIHOさんは言います。

「パーセンテージで決められて、たまるか!って思います。分ったわよ、その40%に入ればいいんでしょ!と思う」

流石、MIHOさん。でも、続きがまだありました。

「と、思える時もあれば、やっぱり・・・思えない時もある。不安と希望が、行ったり来たり。例えば、昨日まで痛くなかったところが、今日痛くなっていたら、これって進行してるんちゃうのと思って、冷や汗出てきます。でも、今、そんなこと考えても仕方ないし。信じるしかないですよね、この最先端治療を」

それが正直な感想に違いない。でも、「話すことが一番のストレス発散」と言うMIHOさん。ならば、私・黒子は、これからも、MIHOさんのお話しを、伺い続けますよ。そして、書き続けましょう、MIHOさんの最先端医療によるガン闘病記。もちろん、そのタイトルは「回復への道!」。
皆さん、引き続き、応援よろしくお願いいたします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?