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妄想レィディオ #30

~トランスジェンダーのトイレ問題!?~

午前0時を回り、今夜も始まりました「夜な夜な倶楽部・妄想レイディオ」
こんばんは、DJのKUNIです。
毎回、ボクの独断と偏見で気になるニュースを取り上げ、そのニュースの内容をキッカケに、知的で、お馬鹿な、お気軽トークを繰り広げます。
番組の命綱は、この一台の電話だけ。(SE:リリ~ンと、電話が鳴る音)
リスナーの方とこの電話を繋いで、KUNIとのお喋りと、素敵な音楽で、朝までお付き合い下さいませ。さて、今回気になったニュースは、こちら!
「大阪の商業施設で戸籍上の性別は男性で、性自認は女性の客が、女性用トイレに入り、警察に通報されるトラブルがあった」と言うもの。
確かさぁ、男性は男性トイレに入らなければならない!って言う法律は無いんだよね、そこは銭湯と違って・・・ディレクターが副調整室で頷いているのがガラス超しに見えるので、多分そうだよね。但し、本来の目的以外で、男性が女性トイレに入ると建造物侵入罪や、迷惑防止条例違反になる可能性がある。そりゃ、そうだ!しかし、性自認が女性だと思っている人が、女性用トイレに入って、通報されるって、ちょっと可哀想かなと、フェミニストのボクは思っちゃうんだけど、えっ!?ディレクターは、今度は首を振ってる。えっ『私は、私の中では女性です、と言い張れば、誰もが女性トイレに入れちゃう・・・じゃないですか』ってか。いや、まぁ、そうだけど。実際、性同一性障害で、男性から女性へと移行する人にとっては、そう言われちゃうと身も蓋もないんじゃないのと思って、今夜は、こんなゲストをお招きしました。LGBTの当事者の方々と、そのアライ・LGBTを理解支援しようとする人々が集う居場所作りを進めておられます「特定非営利活動法人・MixRainbow」の理事長、みのりさんです。
もし、も~し!!こんばんは!

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「こんばんは!」

まずは、みのりさんのプロフィールを簡単にご紹介しますね。1968年・昭和43年生まれ。性別は、男性から女性へのトランスジェンダー。ホルモン治療を経て精巣摘出術の後、2018年12月に改名されたと言う方ですが、早速お聞きしましょう。
このニュースをお聞きになって、ズバリ、どう思われました?

「詳細な情報が入って来ていないので、何とも言えませんけど、本当に当事者であるなら“一足飛び”にやっちゃったのかなぁ~と思いますね」

一足飛びにやっちゃった・・・何?どう言うこと?

「いきなりトイレっていうのは、私たちにとっては、やっぱり難しいことなんですよね。何かあったとき、怖いので。診断書が出ていれば、診断書を常に持ち歩いている人もいたりするんです。怖いから。」

う~ん、まだ、今一つ、理解できないぞ。『いきなりトイレ』って、どう言うこっちゃ?えっと、まずは、みのりさんは、今は、女性用トイレを使っておられるんですよね?

「そうです。女性用トイレを使うようになったのは、6~7年前からかなぁ」

それまでは、男性トイレ?

「はい。でも、やっぱりね、しんどいんですよ。じゃぁ、男性のトイレでも、個室に入ればいいのかもしれないんですけども、確かに、一時期は、そうもしてたんですが、どっちにしろ、その男性用トイレに入るっていうこと自体がね。なんでこっち入らなあかんねん!って感じでしたね」

で、女子トイレに?

「いえ。まず、私が“ホルモン”を打ち出したのは40歳過ぎからなんですが、“ホルモン”を打って、すぐ女性になれるわけもなく、人にもよるんですが、私の場合は5~6年をかけて、一応、見た目も女性になりました。この移行期が、まず、なかなか難しい」

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今、手元に若い頃のみのりさんの写真が届いたけれど、可愛い男の子やなぁ

「わ~い、褒められちゃった。二十歳かな。ちょっとチェッカーズを意識してたかも」

まぁ、これは、若い頃の写真だけれど、40歳を超えてから“ホルモン”を使用されて、次第次第に見た目は女性になっていくわけだけど、まだ男性トイレを使っておられたわけですよね?

「そうです。私が男性トイレで用をたして、手を洗っていると、男性が入ってきて、私を見て『えっ!?』と言う表情をされて、一旦外に出て、確認してから、また入って来ると言うようなことが頻発するようになってきて、流石に、もう男性トイレは無理かなぁ~って」

で、女子トイレに?

「いえ!次は多目的トイレ」

なるほど。順番があるのね。

「でも、ここも問題がありました」

問題?どんな??

「数ですよね、数が少ない。実際、ある時、数が一個しかない多目的トイレを私が使ってました。そして、用をたして、出ました。すると、目の前に車椅子の人が、ズッと待ってたんですよ。私の場合、選択肢が他にもあるといえばあるのに、この車椅子の人は選択肢がここしかないのに、そこに、ズッと待たせてしまってた自分っていうのに気づいて。それは、もうあかんと思って。で、男子トイレでもあかん、多目的でもあかん!ってなったったら、もう女子トイレしかないて思って」

そこで、ようやく女性用トイレに、ね。
みのりさんが、冒頭「一足飛びに」と言っていた意味が、朧気ながらだけど分かってきたぞ。最初に女性用のトイレを使ったことは覚えてますか?

「一番最初は、たくさんの人がどんどん入れ替わるところがいいと思ってました。どさくさ紛れに行けるかな、と思って。そして、あまり並ばないで済む広いところが良いかな、と言うので映画館のトイレに行ったんです。映画館のトイレって、皆さん次から次に使うでしょ。のんびりするために行くところじゃないので、うまく誤魔化せるかな、と思って」

なるほど、映画館のトイレね。確かに、あまり周囲を気にしていないかも?
実際、どうでした?

「全然問題ありませんでした」

そこから、ようやく女性トイレに行けるようになったんだ。なかなか長い道のりですね。

「見た目が女性になったかなと思えてから、そこから数年かかりましたね」

そんなに!実に気を使っておられたんですね。

「外出先で、トイレに行かなくて済むように、外出の予定がある時は水分をあまり摂らないようにするとか、トイレに行くことを我慢して、膀胱炎になったと言う仲間も数多くいますよ」

ひぇ~、そうなんだ!!今回のニュースで、みのりさんは“通報された側”を、もっと擁護されるのかと、ボクは、思っていたんですが、そうじゃない!。本当に用をたす目的で女性用トイレに入ったとしても、そこに十分な配慮があったのか?、と言うことに、みのりさんは疑問を持っておられると言うわけね。

「結局、重要なのは見た目ですよね。これを“パス度”と言います。自分で、女性に見える、と思っても、何も知らない第三者から見て、本当にそうだろうかと言うことを、やはり自分でチェックしないと」

って、知り合いじゃなく、何も知らない第三者に、先入観なく、どう判断してもらうんですか?

「いくつかパス度を測る方法が、実はあるんですよ。今は、ちょっともう減ってきちゃったんですけど、一番最初に簡単にできたのは、コンビニチェック。コンビニのレジって、かつては客層をチェックするボタンがあったじゃないですか。このお客は10代、20代、40代とか。女性客ならピンク、男性は青のボタンとか。そこで、私は、どっちのボタンを押されるかって・・」

店員さんの手元を見てた、と言うわけですか?

「そう。代金を支払う際に、さりげなく見るんですよ。ピンク!よし!!みたいに(笑)」

そんなことをされてたのね。

「でも、コンビニのレジが最近は変わっちゃった。そこで、次は、チェーン店のカレー屋さん。注文すると、伝票がテーブルの上に置かれますよね。あそこにはM・F・Cと記載する欄があるんですよ。Mは男性、Fは女性、Cは子ども。意外と皆さんご存知ないけど、店員さん側は入力しているわけ。それを見て、おっ、今日もFだ!とか思うわけですよ。この確率が上がっていくと、あぁ~、いい感じかも!って思うのね」

知らなかった!!!!

「まだ、ありますよ。映画館でレディースデーってあるじゃないですか。なので、そのレディースデーに、わざと映画名だけを言って、あと大人1枚とか言うんですよ。で、レディースデー価格で、チケットを購入出来れば・・・良し!と言う感じですよね」

そうしたパス度チェックを何度も何度も重ねた後、ようやく女子トイレに入れるようになったと言うわけですね。ある種、涙ぐましい努力ですよね。

「繰り返しになりますが、いきなりトイレっていうのは、難しいです。なんかあったとき怖いので。やはり、そういうことやってました。」

今回のニュースで通報された側が、本当に犯罪目的でなく女性用トイレに入ったとしても、それは“一足飛びではなかったか?”、と言うみのりさんの発言、ようやく理解出来ました。

「その人が、本当に当事者だったとしたら、周りの人から、こうした話を色々聞くとか、相談をするとかって言うことが、あんまり出来てなかったんじゃないかな、きっとね。もし、周囲に仲間や先輩がいたら、『無茶しちゃダメよ』みたいな話を聞いていたと思う。そう言う意味から、私たちは、当事者と、そのアライが気軽に行けるような、話が出来るような居場所作りをしているんです」

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なるほどなぁ。みのりさんの活動の意義も、よ~く分かりました。
しかし、まだまだトランスジェンダーの方々のこと、よく知らないと言う方々も多いと思うので、そうした方々に伝えたいこととは?

「やっぱりね、当事者もすごく困ってる、 困っていて気を使ってる、そこは理解してあげてほしいなぁ、と。もちろん、あからさまに犯罪目的で入ってきたような人は、もういくらでも通報していい!そじゃない人は・・・あの・・・やっぱり・・・って言っても、一瞥しただけじゃ、分からへんからなぁ~」

ですよね~。そこが、この問題の難しさですよね~

「ここは、トイレ側の改善が待たれますよね。例えば、男性トイレ、女性トイレと入り口は、従来通りに二つにしか分かれていないけれど、中に入ると、さらに、もう一つ“配慮スペース”があるとか。あるいは、男女側どちらも、すべて個室になって、その個室の中に洗面台も付いているなどのトイレであれば、当事者も当事者で無い方々も、あまり周囲の目を気にすることなくトイレタイムを安心して過ごせるのではと思いますね」

いやぁ、トイレタイムって、重要ですもんね。ボクらも、このトイレ問題、大いに考えていきたいと思いました。いやぁ~、みのりさん、大変興味深いお話、ありがとうございました。また、色々と教えて下さい。

「こちらこそ!また、呼んで下さいね」

はい!もちろん、もちろん!
今夜のゲストはLGBTの当事者の方々と、そのアライ、LGBTを理解支援しようとする人々が集う居場所作りを進めておられます「特定非営利活動法人・MixRainbow」の理事長、みのりさんでした!

さぁ、今夜は、チェッカーズではなく・・・
やっぱりこの曲で締めたいと思います。
皆さん、良き夜を、そして、良き明日をお迎えください。

植村花菜で「トイレの神様」♪


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