出でよ!ジャンヌダルク!! #17

認定NPO法人Homedoorの理事長・川口加奈さん

「出でよ!ジャンヌダルク!!~女性経営者が未来を変える~」。
(毎月第一金曜日・午後7時~)https://www.be-happy789.com/
毎回、創業間もない女性経営者にゲストとしてご登場していただき、
何故、起業し、そして、今後、何をして行きたいのかを、お好きな曲とともに根掘り葉掘りお聞きしていきます。
11月のゲストは、設立から10年と言う認定NPO法人Homedoorの理事長・ 川口加奈さんです。

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(写真、左)
まず、川口さんが手掛ける事業内容を一言で言うと、「ホームレスの人々の路上脱出のサポート」。例えば「ハブチャリ」をご存知ですか?
川口さんは、こう説明されました。

「街中で見かける赤い電動自転車、シェアサイクル。今、ドコモバイクシェアさんと一緒にやっているんですけど、大阪市内で300拠点ほど、どこで借りても返せるレンタサイクルみたいなものをホームレスの人々と一緒に 運用しているというのがハブチャリです」

そう言われると、あれか!?とお思いの方も多いのでは。

【HUBchari】テープカット

そうそう、この赤い自転車です。確かに、最近よく見るこのハブチャリ。
しかし、このシェアサイクルが、どうホームレス支援になるかと言うと・・

「電動自転車なので、バッテリー交換をホームレスの人にしてもらう。一本交換すると200円みたいな感じで、ちょっとした小銭稼ぎになるんです。また、300拠点ほどあるので、自転車も偏ってくる。こっちにいっぱい、あっちに少ないみたいな。そこで、トラックを使って台数の是正を行ったり、あと、有人の拠点もアメリカ村にあるので、貸出・返却の受付をやっていただいたりしています」

そうなのです。主にバックヤードの部分でホームレスの方々に活躍していただいている、と言う訳。
「放置自転車対策」×「ホームレス対策」になっているのです。

HUBchariスタッフ

さらに、ホームレスの方が使用出来る宿泊施設も手掛けておられます。その名は「アンドセンター」。2018年にスタートした個室型の宿泊施設で、ホームレスの方は、二週間ほど無料で滞在できますが、そこで次の家を借りるための準備や、その期間、ここで仕事をしながらお金を貯めてもらおうと言うものです。

スタッフ集合写真

この写真の左側の建物がそうです。しかし、ここを利用する方々の、その年齢を聞いて驚きました。

「昨年度の相談者の平均年齢は40.8歳。下は18歳から、上は70歳ぐらいの方まで、幅広い世代の方から相談が寄せられています。10代がホームレス状態になるケースは、児童養護施設だったり困窮家庭の出身で、それまで非正規雇用に就いていたけれども、今だとコロナの影響もあって失職してしまう。しかし、若い人は貯金ができていない。そこで、仕事がない期間が長くなると、家賃が払えず、ネットカフェで滞在するようになって、ホームレス状態になっていくと言う経緯ですかね。また、家族連れで来られる場合もあります。母子の場合は、DVから逃げて来られたとか。あるいは、お父さんも一緒で、家族3人で、とか、兄弟で、とか。中には双子で来られた方もおられました」

なんと、「ホームレスの方々」=「おっちゃん」の図式では、もうないのです。と言うように、今回は、取材前に思っていた予想がことごとく裏切られました。そこで、いつもならば、そのゲストの起業を思い立った瞬間をラジオドラマ風にお伝えしていますが、今回は、様々な予想を「裏切られた瞬間」をこんな風にまとめてみました。

「NPOを立ち上げて10年。そんな節目の時にこのコロナ!
今後、企業の倒産が相次ぎ、ホームレスの方々が増える可能性がある。
しかし、ホームドアの主な収入源は寄付。
自分のことで精一杯のご時世で、寄付など、集まりにくいに違いない」
大谷は、そう予想しました。しかし・・・

去年の経常収益は1億2000万円、一昨年よりも5000万円も増えたのです。
世間は決して世知辛くはなかったのです。
「そっか、そっか、それは良かった。でも、宿泊施設も賃貸で、月額100万   すると言う、それを支払っていくだけでも大変に違いない」
大谷はそう予想しました。しかし・・・

毎月1000円の寄付をしてくれるサポーターを集める。
それが1000人集まればその家賃は支払える。そう言った作戦を取ると、なんと、1000人を優に超すサポーターが集まったのです。
「そっか、そっか、それは良かった。でも、NPO立ち上げから10年、
流石に、その間には、お金に困った経験もあるに違いない」
大谷はそう予想しました。しかし・・・

「お金に困ったことはない」それが川口理事長の回答でした。  
「確かに、立ち上げ後すぐには、なかなか寄付も集まらなかったので、
コンペで賞金を稼いだりしたこともあったけれど、徐々に助成金が貰えるようになってからは、助成金が支えてくれていたので、お金に困ったことなど、ない」とのことだったのです。
「でも、でも、とは言え、NPO立ち上げてから10年、きっと辛かったこともあるにちがい無い」と大谷は予想したんですが・・・

「私、記憶力が悪くて(笑)」と言うのが川口理事長の回答。
「何か、辛かったことあったかなぁ」と、
一切、泣き言など出てこなかったのでありました。

と言うように、予想をことごとく裏切られた大谷でしたが、こうも思いました。「オモシロイ!実にオモシロイ!!起業家のタイプに決まりきったものなどない!今後の活躍がますます楽しみなジャンヌダルクだ」と。
以上「大谷邦郎の予想が裏切られた瞬間」でした。

いやぁ、今回は、本当に驚きの連続でした。中でも、このコロナ禍で、経済が停滞する中で反対に寄付は増えたと言う点です。
川口さんは、こう分析されます。

「コロナで誰もが困窮状態に陥る可能性があるというその価値観を共有できた機会でもあったのかも。実は、有名タレントのホームレスの方々への偏見発言があったんですが、これまではやっぱり『自己責任だろ』と言う自己責任論って、結構、根強いなぁって思っていたんですが、今回は『そんなことはない!』『批判するなら寄付しよう!』みたいなツイートが拡散されたりとかもして、逆風でなく追い風になったように思います」

川口さんがホームドアを立ち上げて10年。この10年で、確かにホームレスの人々を取り巻く環境は良いにつけ、悪いにつけ変化しているのは間違いありません。

「実はホームレスの人の数っていうのは、厚生労働省の発表では年々減ってきているんです。でも、そういう中でやっぱり目に見えない貧困、ネットカフェだったり、そう言うところを転々としている人が増えている。かつて、ホームレスの人々は釜ヶ崎に集まって、そこで、仕事を探すと言う形だったものが、今は、ネットで仕事を見つけるので、わざわざ釜ヶ崎に集まっておく必要がない。また、安いホテルが、釜ヶ崎の周辺に集中していたけれど、今はネットカフェとかマクドで、夜は過ごす。なんかこう“見えざる貧困”で、釜ヶ崎が全国化しているとも言われているんです」

では、今後、川口さんは、どんな活動をされていかれたいのでしょうか?

「コロナがこの10年目に起きた事っていうのは、結構契機だったかなと思っていて。多くの人が、誰しもホームレス状態になる可能性がある中で、どうして行ったらいいのか?っていうことを考え続ける今後10年にしていきたいなって思っています。具体的には、若い相談者が増えている、家族連れが増えていると言う新しい傾向も、また非正規雇用を転々としてる人も多いので、非正規雇用でも安定していける新たな時代に合った、新たなサポートを開拓していけたらなと思っています。」

川口プロフィール4

さて、そんな川口さんに関して、一番予想を裏切られたのは、「省エネ型リーダー」だったと言うことです。周囲のNPO仲間はそう称し、ご自身も「めんどくさがり屋」と言います。これまで見てきた多くの起業家の皆さんのように、決して「熱く」ないのです。何故、熱くないのか?何故、省エネなのか?川口さんは、こう言いました。

「省エネなのは、これからもズッとやり続けたいからです」

なるほど!大いに納得!!リーダーにとって、この「省エネ」と言う資質も、将来にわたって事業を継続していくためには、重要な要素の一つだと思いました。

川口さんのお話しを聞いて、「認定NPO法人Homedoorに興味を持った」あるいは「寄付をしたい!」と言う方も出てこられたかと。そう言う皆さんは、以下のホームページをご覧下さい。このホームページからも寄付が出来ます!

さて、次回の放送は、12月3日(金)です。
どんなゲストが、どんなお話しをお聞かせくれるのか?
皆様!!お楽しみに!(*^_^*)

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