妄想レィディオ #12

大丈夫なの?環ちゃん(前半)

午前0時を回り、今夜も始まりました「夜な夜な倶楽部・妄想レイディオ」
今晩は、DJのKUNIです。
毎回、ボクの独断と偏見で気になるニュースを取り上げ、そのニュースの内容をキッカケに、知的で、お馬鹿な、お気軽トークを繰り広げます。
番組の命綱は、この一台の電話だけ。
(SE:リリ~ンと、電話が鳴る音)
リスナーの方とこの電話を繋いで、KUNIとのお喋りと、素敵な音楽で、朝までおつきい下さいませ。さて、さて、今夜の気になるニュースは、こちらです。小さな小さなニュースだったので、メジャーなマスコミは取り上げなかったかと思いますが、明るいニュースだし、ボク、大変気になっているテーマなので、今夜、取り上げてみました。
5月3日だと言うことですから、本当に、つい最近。東京に住む拡張型心筋症と言う病気で明日をも知れない命だった生後僅か8ヶ月の女の子の赤ちゃんが、ニューヨークの大学病院で、心臓の移植手術に無事・・・成功しました!オッケー!ハッピー!!グッドニュース!!!良かったよね。確かに、海外での移植手術って、かつてほど珍しいことでは無くなったのかも知れませんが、“今”ですよ。それも、アメリカのニューヨークで。この新型コロナウィルス感染拡大の最中、どうやって、アメリカに行けたの?と思いませんか?いや、本当に、滑り込みセーフと言った感じ。この女の子の赤ちゃんが家族とともに、アメリカに渡ったのは2月の24日だったと言うことですから、あと1ヶ月渡米が遅かったら、手術はもちろん、入国すら出来なかったのではと思われます。
いやぁ、本当にギリギリセーフだったんですが、このニュースを聴いて、頭に浮かんだのが、この人!早速、電話繋ぎをしちゃいましょう!もしもし、こんばんは!
「こんばんは。KUNIさん、ご無沙汰しています。青山竜馬です」
おぉ、青山さん、お久しぶりです。

画像1

さて、リスナーの皆さんは、覚えておいでですかね?青山さんのお嬢さん・環ちゃん、当時は2歳だったかな。その環ちゃんも今回のこの女の子の赤ちゃんと同じく、拡張型心筋症と言う病気で、もう心臓移植と言う道しか助かる道は無くって、国内移植を待っていられる状態ではなかったことから、2016年に渡米。そのための費用、実に3億円余りが、僅か数ヶ月の寄付で集まり、さらにアメリカに渡って病院到着直後に奇跡のように即ドナーが見つかり、手術も無事成功。そんなニュースがあったこと、覚えておられますかね?その環ちゃんは、日本に帰国後も、元気に過ごしておられるとお聞きしていますので、その環ちゃんのお父さんの青山竜馬さんに、ゲストでお出ましいただきました。
青山さん!あれから、3年~4年が経った訳ですから、環ちゃんも、もう小学校ですよね?
「そうです。6歳。6歳と半年くらいになりましたね」
新一年生ですよね。って、このご時世だけど、入学式は?
「入学式はありました。入学式だけは、学校側もやってくれたんですが、それ以降は、登校していません」
確か、環ちゃんは、特別支援学級でしたよね。
「そうです。身体は、同年代の子どもたちと比べても、まぁ、小柄だねと言う程度にまでは成長していますが、運動能力と、知能に関しては、発達に遅れがあって、まぁ、3歳児程度かな。だから、まずはしっかり歩くところからと言う目標を立てて、毎日、朝1時間半、午後から1時間半、一緒に散歩をしています」
計3時間の散歩って、もう、散歩の域は超えているよね。
「ここは、スパルタで、歩かせていますよ(笑)」
そんな中、コロナ対策と言うのは、何かされておられるんですか?やっぱり心配でしょ。
「いや、あの~、実は、そんなに変わんないですよ」
えぇ!?変わらないの?大きな手術をしたお嬢さんを持つ親としては、心配でしょうが?
「もちろん。ただ、世の中って、今回のコロナだけじゃなくウィルスだらけで、ノロウィルスとか、インフルエンザウィルスとか、もう色々ね。そんな中で、彼女たちは、やっぱり弱いんで、もう術後から、手洗いだとかは基本の“き”の字で、ズッとやってきているので、今だからと言って、そんなに変わらないんですよ」
おぉ、そう言う意味ね。今、青山さんは、移植手術を受けた人は「弱い」とおっしゃいましたが、どう弱いんですか?
「要はね、病気に罹りやすいんですよ。風邪を引きやすいんですよ。何故かと言うと、彼女の場合は、ドナーの方から心臓を戴いた訳ですが、ほっておけば、その心臓と、自分の身体が喧嘩をしちゃうんですよね。戴いた心臓も、他人からなので、元の身体からすると異物なんですよ。だから免疫作用が働いて、喧嘩しちゃう。ですから、喧嘩しないように、わざと免疫力を落とすんです」
あぁ、わざと。それはお薬で?
「そうです。それが、免疫抑制剤と言われるお薬です」
おぉ、その名前、聞いたことある!それは、常に飲んでおかないとダメなんですか?
「はい!一生。一生!一生!!」
と言うことは、常に風邪を引きやすいと言うか、ウィルスにかかりやすいのね。それは移植手術を受けた人は、皆?心臓だけに限らず?
「そうです。腎臓移植、肝臓移植、白血病の方も骨髄移植ですから、皆さん、そうです、病気に罹りやすいです。ちょっとした感染症が、悪性リンパ腫みたいな大病になるんですよ。だから常に気をつけなくっちゃダメで・・・」
なるほど。と言うことは、この新型コロナウィルスの感染が拡大する前から、ズッと気にし続けてきた、と言う訳ですか?
「そうです。今でこそ“三密”を避けろ、と言われていますが、それはもう、彼女が手術を終えた直後から、私たちは、心がけています」
変な言い方だけど、怖いのは怖いけれど、慣れてはいる、と言う感じですか?
「そうですね。慣れてはいますね」
そんな慣れている青山さんが、ズッとやっている習慣とかあれば教えて下さい。それはリスナーの方にも参考になるかと。
「ボクが気を付けているのは、外出先から戻れば、真っ先に風呂に入りますね。家のドアを開けたら、まず、風呂場に直行。シャワーを浴びて、ウィルスを流しちゃう。それをズッとやってますね」
なるほど!昔、よく、新婚家庭のコントで、夫が会社から帰ってきて、出迎えた妻が「お食事になさいます?お風呂?それとも・・・私?」みたいな台詞を言いますが、「食事」よりも「新妻」よりも、まず「お風呂」だと言うことですよね。リスナーの皆さんも、まず「お風呂」、心がけて下さい。しかし、そうした対策は万全にしておられるとは思いますが、この新型コロナウィルス、怖いのは、怖いでしょ?
「あのね~、医療崩壊と言うことが怖いですね。今も申し上げたように、うちの子って、やっぱり何か起こりやすいので、急にね。そうなった際に受け入れしてもらえない、と言う状態になるのでは、と言うのが一番怖いです」

画像2

なるほどね。ところで、今日のゲストの青山さんと、実に親しくお喋りをさせていただいていますが、何故、こんなに親しくさせていただいているかと言うと、そのキッカケは一冊の本。「なんでもない日はとくべつな日」と言う娘の環ちゃんを救うために、青山さんたちご両親はもとより、友人の皆さんがどれだけ奮闘したかと言う、あれはドキュメンタリーと言うのかな、そうした活動がまとめられている一冊の本を拝読させていただいてからなんです。その後、実際に青山さんと出会い、こうやって親しくさせていただいている訳ですが、あの本を改めて読むと、3億円を超す寄付が数ヶ月で集まったであるとか、環ちゃんの双子のお姉ちゃんが亡くなった際に、葬儀を行ってくれたその葬儀会社からも寄付が寄せられたなどの奇跡のエピソードが満載なんですが、やっぱり、医療関係者の献身的なサポートと言うことに心打たれますよね。その医療機関の崩壊が怖い、と言うのは、ボクらが思っている以上に、青山さんのその思いは強いんだろうな。今も、環ちゃん、定期的に病院には通っているんですか?
「1ヶ月に1回通院していたところ、このコロナの影響で、今は2ヶ月に1回に変わりました」
おぉ、それは、今のところは安定していると言う裏返しだよね。
「でもね、こうした子たちって、突然、悪くなる可能性があるんですよ。拒絶反応が突然出る。それが一番怖い。病院に行ってケアしてもらわないと命を落としちゃう可能性もある。まぁ、うちは幸いにして、そうしたことは、まだありませんが」
って、でも、昨年の年末に、環ちゃん体調壊したことあったんじゃなかったっけ?
「そうそう、昨年の終わりに意識障害みたいなのが自宅で出て、痙攣っぽいのが始まって、呼吸困難になって、これはまずいなとなって、救急車呼んで、大学病院に行ったんですよ」
行ったんですよ、って、そんなに軽く言える事態と、ちゃうやんか!
「まぁ、その時は、痙攣による誤嚥性の肺炎になったんじゃないか、と。入院しましたね。一週間ぐらいかな」
いやいや、それ、例えば今起こっていたら、病院が迅速に引き受けてくれたかどうか、分かんないんじゃないの。そう思うと、やっぱり怖いなぁ。
「まぁ、うちの子、運がいいんですよ。とりあえず、このまま何もなければいいと思っています。ホント、何でもない日は特別な日ですよ。今は、凡事徹底ですよね」
凡事徹底ね。何だか大学受験以来、本当に久しぶりに聞いた四文字熟語ですが、皆さんにもそれを胸に刻んでいただくとして、ここで一旦休憩。一曲、ご紹介しましょう。
これは、青山さんの思い出の一曲?
「そうです。応援してもらっていたアーティストさんです。環が移植を受けた時に発表した曲で、私のバイブルソングです」
分かりました。Hi-STANDARDの『ANOTHER STARTING LINE』です。♪
(続く)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?