妄想レイディオ #6

もし、貴方が突然、言葉を無くしたら?

午前0時を回り、今夜も始まりました「夜な夜な倶楽部・妄想レイディオ」
今晩は、DJのKUNIです。
毎回、ボクの独断と偏見で気になるニュースを取り上げ、そのニュースの内容をキッカケに、知的で、お馬鹿な、お気軽トークを繰り広げます。
番組の命綱は、この一台の電話だけ。
(SE:リリ~ンと、電話が鳴る音)
リスナーの方とこの電話を繋いで、KUNIとのお喋りと、素敵な音楽で、朝までおつきい下さいませ。さてさて、今夜の気になるニュースはこちらです。
皆さん、ご存知ですか?4月25日は、さて何の日でしょうか?
まぁ、まぁ、分かりやすいのが「ファーストペイデー」、「初任給の日」なんだそうですね。ボクにもサラリーマン時代と言うのがこれでもあって、確かに25日が給料日だったから、随分前のこの4月25日が初任給の日だったんだけど、全く記憶にございません。飲みに行ったのかなぁ?もう、銀行振込だったから、現金支給じゃないと、あんまり記憶にないよね。
その他、「歩道橋の日」、と言うのもありますね。日本で初めて、鉄骨製の歩道橋が架けられたのが、1963年の4月25日だったそうで、なになに、日本初の鉄骨製の歩道橋は、大阪駅西口の中央郵便局前に架けられた・・・と言うことなんで、あっ、この歩道橋は覚えてるなぁ。1991年の西梅田開発まであった、と言うこだから、あぁ、あれか。こっちは覚えてる。不思議だね、人間の記憶って。と言うか、不思議なのは、人間の脳なんだろうね。
今日は、そんな脳のお話しになりそうだと言うことなんですが、まず、4月25日は、実は、今年から「失語症の日」でもあるそうです。
失語症、「失う」に、言語の「語」の文字と、症状の「症」の文字で「失語症」。KUNIは、聞いたこと、あるかなぁ~と言う感じに過ぎなかったんですが、これは、誰しも突然に起こりうる障害なんだそうです。誰しもって、ボクにも?おぉ、ディレクターが大きく頷いていますね。そんなに嬉しそうに頷くなよ。まぁ、まぁ、みんなに、その可能性がある、こう言う場合、可能性と言う言葉はおかしいのか?まぁ、危険性がある。ボクも、リスナーの皆さんも、例外じゃないってことね。オッケー!分かりました。心して聞こうじゃないの。では、早速、ゲストと電話を繋ぎましょう。えっと、言語聴覚士の、う~ん、まず、この仕事が分かんないぞ。まぁ、いいや。ゆっくり聞いていきましょう。
言語聴覚士の“くるみ”さん、です。もしも~し、こんばんは!
「こんばんは。言語聴覚士の“くるみ”です」

西村さん

この言語聴覚士と言うお仕事も、ほぼ初耳で、色々とお聞きしたいんですが、ここではとりあえず、とりあえずですが「失語症のリハビリを行う人」と言う風に説明させておいていただいて、まずは、早速「失語症」ってなんなんですか?基本のキの字から教えて下さい。
「まず、人間の左の脳に、聞かれたことがあると思いますが、言語中枢と言うのがあるんですよ」
それは、聞いたことがあります。
「その言語中枢に、何らかのキッカケで、例えば脳梗塞とか脳炎、脳腫瘍、くも膜下出血などの脳出血、さらに事故などで損傷を負ってしまうと、そう言う障害が出てしまうんです」
その、そう言う障害が、どう言う障害かが聞きたいのですが。
「この障害のある方は、皆さん、悔しい!とおっしゃいますね」
悔しい?はぁ?まだ、全然、分かんないです。
「一言で言うと、イメージしやすいのは、例えば、KUNIさんがアメリカに行ったとして、いや中国の方がいいかな?まぁ、KUNIさんが、ちょこっとだけ中国語を学んで中国に行ったとしますね。だけど、ちょっとかじっただけの語学力のところに、ワァ~と中国語で言われても分からないし、こっちにも言いたいことがある、それはちゃうねんとなっても、さて、中国語で何と言ったらいいのか分からず、何も言えず首を振るだけ、と言う感じかしら」
いやぁ~、まぁ~イメージは、確かに出来たんですが、いやぁ~確かに困るだろうな、まぁ、確かに少しは悔しいとも思うんですが、ダメだ。まだ、全然、分かんない!
「KUNIさんの顔も分かるし、KUNIさんがどう言う人物かも分かる。また、KUNIさんと自分の関係性も分かる。だけど、KUNIさんと言う言葉が出て来ない」
まぁ、最近、ボクも、そんなことよくあるんですが・・・。
「じゃぁ、リンゴは、何か分かる。絵には浮かぶ。だけど、リンゴと言う言葉にならない。皮を剥いて食べるもの、であることは分かる。しかし、それがリンゴだと言う言葉に結びつかない。だから、リンゴだと言えないし、リンゴだと聞いても、あぁ、皮を剥いて食べるものね、とは、すぐには結びつかない。だから、例えば入院していたKUNIさんのお見舞いにガールフレンドが来て『リンゴ、食べる?リンゴよ?皮を剥いて食べるもの。リンゴが分からないの?あぁ、もう貴方は、何もかも分からなくなったのね』と、KUNIさんの横で泣き崩れたとして・・・」
嫌な例えですね~
「KUNIさんは、『それが皮を剥いて食べるもんやっちゅうのは、分かってんねん、ただ、リンゴと言う言葉に結びつけへんねん、何もかも分からなくなった訳ちゃうねん』と、それこそ言葉に出来ず、心の中で呟いている状態のようなことを言います」
ほぉ、ほぉ。何となくですが、分かって来た気がします。失語症と言う名前ではありますが、ただ話すことが出来ない、と言う訳じゃない。ボクには、聴覚障害を持つ友達も大勢いますが、彼らの中にも、上手く発声・発音出来ない仲間もいる。だけど、彼らは、言葉は分かっている。なので、LINEでは、喋ることが出来ないその反動からか、めっちゃ長文を送ってくる。また、彼らは、それを打つのがムチャクチャ早いんですよね。
でも、失語症の場合は・・・
「そうです。失語症の場合は、言葉が、なかなか引き出せないので、メール一つを打つのも一苦労と言う訳です」
おぉ、おぉ。何となく分かってきました。話すだけじゃなく、言葉を聞き取ることも、メールのように文字を打つこと、文字を書くこと、そして、読むことにも、何らかの差し障りが出てくることが、失語症なんですね。
「そして、それは、先ほど申し上げたような病気や事故をきっかけに、突然、起こりえると言うことです。すなわちジワジワなるんじゃなく、ガックンと、落とし穴に落ちるようになるんです。今まで、なんの苦労もなく出来ていたことが、です」
お~お~、それは怖い。それはヤバイって。昨日まで話せていた、メールも打てていた、しかし、ある時から突然に、それが難しくなる。俺、どうなっちゃったの?と言う感じですよね?あぁ、だから悔しいのですね。自分の気持ち、自分の意見、言いたいことはあるけれど、それを上手く伝えることが出来ないから。
「そうです。皆さん、そうおっしゃいます。悔しいと。例えば、医療や介護の現場でも、『その人はいいの。話せないから』と、ほっておかれることが多い。蚊帳の外。意見など聞いてくれない。でも、ご本人には、伝えたいこと、困ったこと、悩みがある。話せないから、何も考えていない、ではないにもかかわらず、です」
今、そうした失語症の人って、何人いると推測されているのですか?
「50万人はいると言われています」
そんなにいるんだ。東京で言えば江東区民、大阪で言えば東大阪市民程度はいる、と言うことね。そして、明日、そこに我々もカウントされるかもしれない、ってことですね。
それを知って欲しいがゆえの、記念日設定。4月25日は「失語症の日」になった、と言うことですね。オッケー、オッケー。ようやく、分かってきましたよ。こりゃ、自分事として、ここからはより深く聞いていこうと思いますが、まずは一曲、お聞き戴きましょう。
J-WALKの「何も言えなくて・・・夏」です。(続く)

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